- ドイーン:画像生成AIを用いた間取図生成手法の提案New!
- 住宅建築において必要な作業に間取図作成という作業があります.間取図作成とは住戸の枠組みにリビングや寝室,トイレ,玄関といった部屋をどのように配置するかを考える作業があります. 間取図は部屋の種類や位置,大きさを分かりやすく示すことが出来るため重要なものとなっています. しかし,間取図を作成するには住戸の大きさや建築基準法,日当たり,生活動線など様々な要因を考慮して設計士が試行錯誤して作成しているため,時間がかかってしまいます.そこで本研究では,間取図を自動で複数生成し,提案するシステムを開発しています. 間取図を自動で生成し提案することで,間取図作成にかかる負担を軽減し業務の効率化を目指しています.また,画像生成AIを用いて間取図を生成することで,単純な矩形以外の部屋を含む間取図を提案し,設計士が思いつかなかったような間取りを提案できないかと考えています.
- マミリス:ブロックパズルと防災学習を組み合わせた防災ゲームNew!
- 災害が多い日本では,多くの防災ゲームが開発されており,防災行動のきっかけづくりに用いられてきました. しかし,従来の防災ゲームの多くは,防災や学習の要素が強く,ゲームであるにも関わらず,楽しさよりも学びに焦点を当てられています. そのため,本来のゲームより楽しさが損なわれている可能性がありました.そこで本研究では,ゲームに焦点を当てた防災ゲームである「マミリス」の開発を行いました. マミリスは,スマートフォン上で動作し,一人でプレイすることのできる防災ゲームです. 楽しみながら防災学習を行い,防災行動のきっかけを作ることを目指しています.
- マイクロブログを用いた郷土料理のおいしさ情報の取得とChatGPTの利用法の検討New!
- 観光で重要な郷土料理のおいしさ情報を調査する際には,マイクロブログが有用である可能性があります.Twitter(現X)などのプラットフォームでは日常的に投稿される観光客の感想を基に情報を集めることができますが,関係ない情報の除外が課題です.ChatGPTを使用して,文脈に基づき必要なおいしさ情報のみを抽出することが可能です.また,「シズルワード」を用いたおいしさの分析も効果的で,本研究ではそのような情報取得の際のマイクロブログの利用可能性とChatGPTの具体的な使用法について検討します.
- ID-POSデータを用いた家庭での食肉消費の特性抽出New!
- これまで,総務省が行ってきた家計調査など,食肉消費に関する多くの調査はアンケート方式で実施されています.アンケート調査は詳細な情報が得られる利点がある一方で,手間やコストがかかる上,調査票の作成には多くの注意点が必要とされます.これらの課題を解決するために,本研究ではID-POSデータを用いた調査方法の有効性について検討しました.ID-POSデータの活用により,従来のアンケートで得られていた消費行動に関する詳細な情報を効率的に抽出することが可能であるかを詳しく検証します.
- 機械学習を用いた全脊柱CTにおけるDISHの早期発見出New!
- びまん性特発性骨増殖症(DISH)は,脊柱の前縦靱帯に骨化が生じ,まるで一本の骨のようになる病気です. 頸椎までDISH が進展すると,軽微な外傷で重度の脊髄神経障害を引き起こす可能性があります. しかし,DISH は自覚症状がないため,患者が自ら受診することはほとんどなく診断が遅れることが多く, また,人間ドックにおいても,一般的な検査項目に脊柱の画像診断は含まれていません.一方で,救急外来受診者は全身精査のために全脊柱CT を施行します. そこで本研究では,救急外来受診者の全脊柱CT からセグメント化と機械学習を用い,DISHを自動検出する手法を提案します. 自動検出を実現することで,専門家でなくとも簡便にDISH の診断が可能になります. 早期にDISH を患者自身に知らせることで,転倒リスクを軽減し脊髄神経障害の防止に努めることができます.
- ミキミキボット:生活習慣改善維持を目的としたチャットボットの提案New!
- 生活習慣病は,癌や脳卒中,心筋梗塞など複数の疾患が含まれていて,死に至るケースも存在するため,注意が必要な病気となっています. しかしながら,自覚症状が見られないことから,自ら生活習慣病の予防や改善に取り組む人は少ないです.そのため,現在では,生活習慣病の予防を目的としたシステムが多数開発されていて,そのシステムの一つに「競争」があります. これは,お互いに影響しあうことでモチベーション向上を計る手法です. しかし,競争システムの問題点として,競争相手との実力差がある場合に,モチベーションの低下を招いてしまうことがあげられます. 現在あるシステムの多くが,この問題を考慮できていません.そこで本研究では,競争により起こる心理学的影響を2つの方法を用いて考慮し,生活習慣病の予防,改善を目的としたチャットボットを開発しています. このシステムはLINE上で利用でき,心理学的影響の考慮方法として,ランキングを利用して他のユーザのレベルが低くなるように調整することと,ユーザの努力を褒める言葉を掲示することを用いています. これにより,競争相手と実力差が生まれることを防ぎ,かつ,言葉によるモチベーション向上ができると考えています.
- チャットボットシステムの機能の改善による教員の負担軽減効果New!
- 学生の質問行動は,講義内容の理解度を深める上で非常に有益である一方で, 学生にとって,質問を始めとする自主的な発言には少なからず心理的な抵抗感があるとされています. 原因として,気恥ずかしさや,周囲から自身の能力を低く見られることを恐れることなどが挙げられます.これらを解決する手段の一つとして,情報技術を用いた教員と学生間のコミュニケーションを支援する試みがあります. 特に,Web サービスや専用のアプリケーションを通じたコュニケーションは, 匿名性や非対面性により意見発信の抵抗感が軽減されることが大きな利点とされています.しかし,こうしたシステムではほとんどの質問を教員が回答しており, 有意な質問数の増加に伴う教員の負担増加が問題視されている傾向にあります. そのため,講義における質問数を減らすことなく,教員の負担を軽減するためのシステムが必要であると考えました.本研究では,大学講義における学生の質問行動を促進することを目的としたチャットボット「SUSAN」を改良することで, 学生の質問の一部を自動回答にて解決し,教員の負担軽減効果を検証しています.SUSANは,LINE上で利用できるチャットボットで,教員と学生の質疑応答を仲介し,学生がより手軽に質問できることを目指しています. また質問者は匿名化された上で,質問内容を他の学生にも共有することで, 自分だけでは気づけなかった理解不足箇所を見つけたり,新たな気づきを得ることができると考えています.
- 共同住宅における間取図自動作成システムの開発New!
- 建物の設計図である間取図は,現状,設計士の経験に基づいて,手作業で試行錯誤しながら作成されることが多いです. 間取図は,建築基準法や隣接関係などのルール,住みやすさを考慮した配置など,多くの要素を考慮して作成を行う必要があります. そのため,作成に多くの時間を要します. また,複数の住戸を持った共同住宅は,敷地によって様々な形を持った住戸ごとに間取図を作成する必要があるため,作成により多くの時間を要します.間取図作成を支援するための研究として,いくつかのアプローチが提案されています. しかし,機械学習によるアプローチでは,細かい制約条件を反映することが困難であったり,最適化問題として扱うアプローチでは,複数パターンの提示が難しいなどの問題があります.そこで,本研究では,共同住宅における間取図の自動作成システムを開発し,共同住宅の間取図作成における負担の軽減や業務の効率化を目指しています. 本研究では,設計士の作成手順を参考にすることで,実用的な間取図を複数提示することを目指しています.
- ARを用いた簡便な体重推定手法を行うシステムNew!
- 近年,日本の高齢化に伴い,要介護認定者数が増えており,要介護認定者には寝たきりの患者のような起立困難者が含まれています.患者の健康状態の指標の一つとして,体重が挙げられますが, 起立困難者の体重を測るにはベッド式体重計の様な特別な装置が必要となってしまいます.従来の起立困難な患者を対象としたシステムとして,画像を用いた体重推定システムがあります.このシステムでは,画像から患者の身体部位長を計測し,体重推定式から体重を推定します.本研究ではARを用いて,従来のシステムでは得られなかった身体部位の厚みを測定することができる,ARを用いた体重推定システムを開発しました.
- ユバーン:スマートグラスを用いた看護師向けの医療安全向上システムNew!
- 厚生労働省の看護職員需給分科会中間とりまとめでは,急速な高齢化が進む日本は,第1次ベビーブームに生まれた世代,いわゆる団塊の世代が2025年に75歳以上となります.その結果,医療・介護の需要がピークを迎え,看護師が不足する病院が大半を占めることになると言われています.したがって,看護師の人手不足が深刻になると予想され,今以上に多忙となり,看護師業務手順でのヒヤリハットは増加すると考えられ,その対策が必要であります.看護師業務における注意事項の確認方法として,指さし・呼称・チェックリスト・ダブルチェックなどが多く利用されています.しかし,看護師1人で対応する業務における医療事故を未然に防ぐ手法は確立されておらず,ミスを減らすための対策が必要であと考えます.そこで我々は,ハンズフリーで利用でき,軽量なスマートグラスを用いることで,看護業務の安全の向上を図る.スマートグラスで撮影した画像から,医療機器を認識し,その認識結果から医療者が作成した注意事項や手順を表示することで医療ミスの防止と経験の浅い看護師に向けた支援を行う,看護師向けの医療安全向上のための注意喚起システムを提案します.
- 深層学習モデルEfficientNet V2 に基づく皮膚病分類システムNew!
- 2014 年時点で中国には約 25,000 箇所の病院があり, 約 17,000 人の皮膚科医が勤務している.皮膚科医は 1 日当たり約 100 人の患者を診断している .日本厚生 労働省の調査によると,2019 年における皮膚科医の週 平均労働時間は 53 時間 51 分であった.週 5 日の勤務 日であれば,一日当たり 10 時間以上働く必要があり, 皮膚科医の負担が大きいことが分かる.医師が長時間 にわたり多くの患者を診断することで,誤診をする可 能性がある.皮膚病は一般的によく見られる病気であり,疾患部 位は皮膚である.また,皮膚病は視診だけで判断でき る場合が多く,特徴は直観的で比較的分かりやすい.そ のため,皮膚科医の仕事の負担を軽減するために,医 師の診断を支援する AI が役立つと考えられる.本研究では深層学習モデルを通じて高精度の皮膚病分類システムの構築,患者は診察前に自分の病状を把握,医者はAIの結果に基づいて診断,医者の負担を軽減,誤診を避ける
- セマンティックセグメンテーション手法を用いたX線画像からの椎骨検出
- 脊椎圧迫骨折の診断には,簡便かつ早期に診断できる単純X線撮影を用いた検査が多く用いられています. しかし,X線画像は不明瞭な場合が多いため,医師が常に正確に読影できるとは限りません. そこで本研究では,診療現場でのX線画像読影の支援を目的として,撮影する際の患者の体位が様々であるX線画像における, CNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いたセマンティクセグメンテーションによる椎骨の検出手法を提案します. 体位が様々なX線画像に適したCNNモデルを開発することで,どのような体位のX線画像においても,迅速かつ正確な読影の支援が可能となります.
- チルえっと:シルエットを用いた共用空間におけるゆるやかなつながりを実現するシステム
- 近年,学校や職場などの同じコミュニティ内における人間関係の希薄化が指摘されています. 一方で,日常的にSNSを用いた交流が行われていますが,SNS上の人間関係を負担に感じるSNS疲れも問題視されています.そこで,本研究では,ゆるやかなつながりに着目しました. ゆるやかなつながりとは,直接的なつながりではなく,相手の存在を感じたり,興味や親近感を抱いたりする程度の心理的抵抗が少ないつながりのことです. 本研究では,適度な匿名性を持ちながら,相手の存在感を表現するものとしてシルエットを採用し,メッセージとともに共用空間で共有する「チルえっと」を開発しました.
- 360度カメラを用いた地震対策箇所提示システム
- 室内の家具類は,地震発生時に多くの危険をもたらします.東京消防庁が実施した近年の地震被害調査では,怪我をした人の原因は, 約30~50%の人が家具類の転倒・移動・落下によるものでした.これらから身を守るためには,家具類の転倒・落下・移動防止対策が非常に大切であるとされています.しかし,地震対策をしなければならない家具類は非常に多く,対策方法も複数存在するため,防災意識が高い人でも十分に対策できていない可能性があります. 地震対策を行っていない家具は,地震発生時に怪我や避難の原因になってしまいます. 室内の家具を全て対策するには,室内の家具が地震対策をすべきかどうかを調べ,適した地震対策器具を調査・設置する必要があります. そこで私たちは,360度カメラで室内を撮影し,撮影した画像内に写っている家具を一覧で表示し,その家具の地震対策に関する情報を提示することで,利用者の防災に対する知識不足を 補い,かつ地震対策が手軽になるシステムを開発しています.
- お土産の類似商品抽出のための Twitter の利用可能性の検証
- 旅行に行った際に多くの人が,友人や職場へのお土産を購入します. 食品関連のお土産を選ぶ際, 自分の食べたことのないものはおいしさの想像がしづらく,選択しづらい可能性があります. そのため,レビューサイトやSNSの口コミを参考にする人は多いです.しかし,SNSやレビュー サイトには多数の情報が投稿されており,自分の求める情報に容易にたどり着けるとは 限らないため,自分の食べたことのないお土産のおいしさの容易な想像を支援する必要があります. 我々は,食べたことのないお土産に自分が既に食べたことのある食品と類似する点がある場合, 類似する食品とその類似点を提示することで,未知のお土産のおいしさの想像を支援できるのではないかと考えました. 類似商品情報を抽出する媒体として,我々はTwitterに着目しました.Twitterは人々が率直な 意見や感想を投稿しているメディアであり,「ある商品が別の商品と似ている」といった意見 が投稿される可能性があります.そこで本研究では,類似を意図した表現(以降,「類似意図表現」 と表記する)を含むツイートの分析により,類似商品抽出におけるTwitterの利用可能性を検証します.
- スマートグラスを用いた苦手食材克服システム
- 近年,発育・発達の重要な時期にありながら,栄養素摂取の偏りなどの偏食に関する問題が多様化,深刻化しています.この偏食の原因として好き嫌いが挙げられ,小中学生の食事状況調査では,学校給食を残す理由の約 6 割が「きらいなものがあるから」と回答していることからも好き嫌いは大きな問題だとわかります.また,極端な偏食は一般的に,発育不全,免疫力 低下,便秘,肥満や生活習慣病,怒りやすくなるといった精神面の悪影響が考えられます. そこで本研究では,スマートグラスを活用することで,好き嫌いの対策を目的とし,苦手食材の克服を支援するシステムを提案します.
- 中国語での飲食情報提供のためのシズルワードの日中対訳表現の分析
- 近年,コロナウイルスの影響により,訪日外国人数が減少しています. しかし,入国規制の緩和により,今後は訪日外国人数が増加すると予想できます. また,コロナ禍以前の2015年~2021年では訪日外国人の中でも中国人が最も多く,その中でも観光目的で訪日する人が2015年~2020年に最も多く存在していたことが分かっています. このことから,今後は特に訪日中国人観光客が増加すると予想されます. 加えて,訪日外国人は日本食を食べることを最も期待していることが分かっており,飲食の重要性は高いといえます. 以上のような背景から,今後は訪日中国人観光客向けの,飲食関連のインバウンド対策が重要となると考えられます. そこで,本研究では「サクサク」や「かりかり」といった,食品のおいしさを表す表現であるシズルワードに着目します. シズルワードには擬態語やオノマトペが多く含まれるため,正確な多言語化が難しくなっています. そこで本研究では,中国語の飲食情報提供のため,シズルワードの日中対訳表現における,既存対訳表現と類似翻訳表現について分析を行います.
- 災害情報可視化による防災意識向上を促すチャットボットの提案
- 日本は世界でも有数の地震多発地帯です.地震の発生は予測が困難であるため,日頃から地震に備えて防災意識を高く保つ必要があります. しかし,大災害が起こった直後には意識が高まるものの,時間の経過とともに意識が薄れる傾向が見られます. また,自分が住んでいない地域やよく知らない地域で起きた地震について,その規模の大きさや影響範囲を直感的に把握することも困難です. そこで本研究では,地震発生地域の地図情報と,ユーザの身近な地域の地図情報を重ね合わせる機能を持ったチャットボットを提案します. 提案システムは,地震情報と2つの地図を重畳してユーザに提示します.これにより,地震発生地域とユーザにとって身近な地域の対比を容易にし,直感的に地震の規模や範囲を把握することを可能にすることで,継続的に防災意識の向上を促すことを目指します.
- スマートグラスを用いた視界の制限による集中力向上手法の提案
- 学習や作業において,集中した状態で取り組むと,効率的かつ,ミスの発生を抑えることができるため,集中力の向上が重要な要素となっています. しかし,学習や作業に集中したいが,集中が続かない,気が散ってしまうという状況は存在します. 集中が続かない主な要因として,3つ考えられます. 1つ目は,体調不良や寝不足といった「健康面の問題」です. 2つ目は,学習や作業の量や,難易度が見合っていないといった「タスク管理能力の問題」です. 3つ目は,周囲の人やものが気になるといった「環境面の問題」です. 本研究ではこの3つのうちの「環境面の問題」に焦点をあてます. この問題を解決する方法の1つとして自習室の利用が考えられます. 自習室では,それぞれの机が仕切りで区切られている場合や,余計な物が少ない場合が多いです. しかし,自習室のような,学習や作業に集中するための取り組みに特化している場所は限られます. そこで,本研究ではスマートグラスを用いてAR空間上で仮想の壁を表示し,周りの人や物を見えなくすることで,学習や作業に取り組む際の集中力を向上させる手法を提案します.
- SUSAN:講義における学生の質問行動を促進するチャットボット
- 学生の質問行動は,講義内容の理解度を深める上で非常に有益である一方で, 学生にとって,質問を始めとする自主的な発言には少なからず心理的な抵抗感があるとされています. 原因として,気恥ずかしさや,周囲から自身の能力を低く見られることを恐れることなどが挙げられます.そこで本研究では,大学講義における学生の質問行動を促進することを目的としたチャットボット「SUSAN」を開発しています. SUSANは,LINE上で利用できるチャットボットで,教員と学生の質疑応答を仲介し,学生がより手軽に質問できることを目指しています.また質問者は匿名化された上で,質問内容を他の学生にも共有することで, 自分だけでは気づけなかった理解不足箇所を見つけたり,新たな気づきを得ることができると考えています.
- 感情極性と関心度合に着目した流言の分析
- 近年,ソーシャルメディアが普及し,情報の発信や検索をする上で重要なツールになっています. ソーシャルメディアでは,誰でも気軽に情報を投稿したり共有したりできるため,正しい情報だけでなく「流言」が広がってしまうという問題があります.流言とは,十分な根拠がなく正しいかどうかわからない,または人々がその正しさを疑っているような情報のことです. 似たような言葉としては「うわさ」や「デマ」などがあります. 誤った医療知識や災害情報など,流言には人命に関わるものも存在するため,私たちは日ごろから受け取る情報に注意をする必要があります. そこで私たちは,流言の注意喚起を行うボット「ちるも」を開発しています.ちるもは,LINE上で利用できるチャットボットです.
- ドアクル:仮想空間における長距離の空間移動表現
- 現在,VR など仮想空間を利用した多くのコンテンツが開発されており, さらにはスタンドアロン型のVRが普及し始めるなどXRコンテンツを容易に利用できる 環境が整いつつあります.普及に伴い,仮想空間において長距離を一瞬で移動するなど 実現不可能な現象が利用されています.XRコンテンツでは,ユーザに体験を提供する観点に おいて,没入感や臨場感という要素がとても重要なものとなっています.この没入感を 増加させるという問題に対しては,様々な方面からアプローチが行われています.このような実現不可能な現象に従来の表現をそのまま利用してしまうとユーザに与える没入感や臨場感 が損なわれる可能性があります.そこで,本研究では,仮想空間でのユーザの目の届かない遠く離れた場所へ一瞬で移動する現 象に焦点を当て,身体的な動作と仮想空間特有の表現を利用した長距離での空間移動表現を提案 します.本手法では,ユーザの身体的な動きをシステムの操作に利用することで「仮想空間への没 入感」や,手で円を描くことで別空間につながる穴を生成することで移動先の空間と接続し,空 間移動中の表現を行うことで「遠く離れた別の場所に移動した感覚」の向上を目指します.
- 否定的感情に着目した飲食物に関するテキストの分析
- 近年のソーシャルメディアの普及に伴い,口コミやグルメサイトなどが広く利用されています.しかし,これらのサービスによる提供情報は万人に対して必ずしも有益な情報とはならず,場合によっては,閲覧者に不満や不快感を与えてしまう可能性も考えられます.これらの点から,消費者の「おいしい」「美味い」などといったポジティブな感情だけでなく,「おいしくない」「不味い」といったネガティブな感情にも着目する必要があると考えられます.そこで,本研究では,飲食物に関連する内容を含むテキストとしてツイートデータと口コミデータの否定的感情に着目することで,それらに含まれている否定的感情を表現する単語の特徴についての分析を行いました.
- 土地利用計画図作成における区画割自動化手法の提案
- 施設などの建築する際の土地の区画割において,現在多くの現場では様々なルールに基づいて専門家が手動で作成するというものになっています. しかし,区画割にはそれぞれの家の日当たりや公園の場所など,様々な要素が関係してくるため, 自然と完成までの工程も増え,完成まで平均すると約三日もかかってしまいます.また,区画割の結果に絶対の正解はなく,個人の経験が大きくされるため,人の数だけ完成図が存在します.そこで本研究では,様々な要因から多くのパターンを試すことができないという区画割の問題を解決するために区画割自動化の手法を提案します.
- 渋滞緩和策検討のためのナンバープレートと人流データを用いた混雑状況に関する分析
- 高野山は1,000m級の山々に囲まれた標高約800mの平坦地に位置する和歌山県有数の世界遺産です.高野山を訪れる主な手段として,電車やバスなどの公共交通機関が挙げられますが,自家用車やレンタカーなどの車で訪れる観光客も多いです. 特に10月から11月の秋期にかけて,紅葉スポットとして人気で,車での観光客も増加します. そのため,高野山内の主要道路において渋滞が発生することが問題となっています.そこで本研究では,高野山に設置されたカメラから収集された車のナンバープレートと観光客のスマートフォンから取得したGPSによる人流データに着目した分析を行いました. この分析により,ナンバープレートと人流データの新たな活用方法として,観光地での渋滞混雑の解消を狙います.
- 観光支援のための観光施設情報と人流データの関係性の分析
- 「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されている高野山は,日本仏教の聖地であり,観光施設や飲食店,多数の歴史的遺産が存在しています.金剛峯寺や壇上伽藍,奥之院など,総坪数 48,295 坪の広大さを誇る境内の中には多くの観光スポットが点在し,様々なルートで高野山を巡ることができます.しかし,境内が広大であるが故に発見されていない観光資源や,密かに話題を集めているが把握しきれていない観光スポットが存在する可能性があると考えられます.そこで,本研究では観光客のスマートフォンの位置情報から取得した人流データと観光施設情報に着目した分析を行います.時系列に沿った分析を行うことで,観光客の動向を把握し,実際の観光客の詳細な行動特性を明らかにすることを目的としています.
- シルエットを用いた公共空間における緩やかなつながりを実現するシステムの開発
- 近年,学校や職場のような同じ空間を共有しているコミュニティの中で,面識がなく交流したことがない人や, 面識があったとしても話す機会がなく,交流することがない人がいるなど人間関係が希薄となり, 同一空間のつながりが弱くなっていると言えます.従来の同一空間をつなげる手法に,駅に設置される伝言板や観光地・展示会場などに設置される交流ノートなどがあります. これらは,その場を利用する人が自由に読んだり,書き込んだりすることで,緩やかな交流の場を作ることができます,そこで我々は,利用者のシルエットとメッセージをプロジェクタを用いて共有空間に投影することで, 匿名で自由に発信し,同じ空間を共有しているコミュニティ内の人同士を緩やかにつなげるシステムを開発しました.
- POSパワー:客動線分析のためのID-POSデータを用いたエージェントシミュレーションシステム
- 店内の客の行動を把握することで,店内のレイアウトの改善や品揃えの改善につながります.そこで,客の行動を詳細に把握する方法として, 客動線分析という手法があります.客動線分析とは客の購買行動を実際に記録し,データ化することで店舗内の問題点を洗い出す手法です. しかし,実際に客の購買行動の軌跡をたどって記録をすることはコストが高いです.そこで,自動で客の購買データが蓄積され,多くの店舗が収集しているが,十分に活用されていないID-POSデータに着目しました.ID-POSデータとは 「誰が何を購入した」というデータが記載されているデータです.本研究では,ID-POSデータのみを使用し,客の購買経路を再現した結果を可視化するシミュレーションシステムである「POSパワー」を 開発しています.本システムは,客の行動を可視化させることで,簡単に客動線分析を行うことを目的としています.
- おいしさ情報と「匂い」:食事の感想作成タイミングによる文中使用表現の特徴分析
- 飲食に関する口コミ(感想)は,その食品や飲食店で食事を行ったことがない人にとって,そのおいしさを想起する上で重要な情報です. しかし,時間が経つにつれて実食時に知覚したおいしさ情報は忘れられたり,他の情報により変化したりすることがあります. そのため,同じ食品に対して用いられるおいしさ表現にバラつきがあり,おいしさが想起しづらくなる問題があります.そこで予備調査を行った結果,感想作成タイミングにより,匂いに関する言及に違いが見られました. このことから,本研究では食事の感想作成タイミングにより用いられるおいしさ表現の違いを分析しました. 3回の調査を行い,感想作成タイミングによる匂い表現の出現割合が最大で19.7ポイントの差があることから,忘れられやすい表現であることや,おいしさ想起において,匂い表現は食品の特徴によらず重要とされる傾向があること,感想作成者自身の情報は重要とされない傾向があることなどを明らかにしました.
- テラリン:ユーザの意図を反映可能なプレゼンテーションシステム
- 現在,感染症拡大防止のため,対面でのプレゼンテーションの機会が減少し,遠隔プレゼンテーションの機会が増加しています. 遠隔プレゼンテーションでは,遠隔会議システムを多く利用し,発表者が発表スライドを画面共有してプレゼンテーションを行います. このような場合,発表者は画面端に小さく顔だけ映っているか,発表者の姿を表示していないことが多いです. また,対面時のように発表者は体の動きや目線の動きを用いて強調や参照を行うことができなくなってしまう.それらのことから,遠隔プレゼンテーションは,対面のプレゼンテーションに比べて,発表者の姿や動作が見えないため,発表者の強調・参照が伝わりづらいです. そのため,発表者と聴講者の間で認識のずれが起こり,発表者の意図が正しく伝わらない等の問題が発生しやすいです.そこで本研究では,遠隔プレゼンテーションにおいて発表者の意図を反映可能なプレゼンテーションシステムを開発しました. 本システムは,発表者の動作をポインタに反映することで,強調表現とスライド操作を行い,発表者の姿をスライド上に表示します. ジェスチャによる直感的な操作によって強調表現を行い,発表者の姿を表示することでプレゼンテーションに親近感を持ってもらうことを目的としています.
- Docoitter SK Ⅱ:プライバシーを考慮したカードレス在室管理システム
- 既存の在室管理システムは,認証にIDカードを用いるものがほとんどである. しかし,IDカードによる認証では,読み取りエラーやカードをかざすわずらわしさ,渋滞しやすいといった問題点がある.そこで,認証にIDカードを用いない在室管理システム「Docoitter SK Ⅱ」を開発した. カードを用いず個人の入退室を識別する手法として「SHAL:俯瞰視画像から個人再識別のための特徴記述法」がある. SHALを利用することで在室情報の自動更新が可能になると考えた. 本システムでは,SHALを利用した人物の入退室識別と可視化システムによる在室情報提示を行った. 本システムの有用性を示すために,研究室内の利用者間および外部とのコミュニケーションを促す効果の検証実験を行った. その結果,本システムが研究室内のコミュニケーションを促す効果がある可能性があることがわかった.
- ちるも:流言への注意をうながすチャットボット
- 近年,ソーシャルメディアが普及し,情報の発信や検索をする上で重要なツールになっています. ソーシャルメディアでは,誰でも気軽に情報を投稿したり共有したりできるため,正しい情報だけでなく「流言」が広がってしまうという問題があります.流言とは,十分な根拠がなく正しいかどうかわからない,または人々がその正しさを疑っているような情報のことです. 似たような言葉としては「うわさ」や「デマ」などがあります. 誤った医療知識や災害情報など,流言には人命に関わるものも存在するため,私たちは日ごろから受け取る情報に注意をする必要があります.そこで本研究では,流言の注意喚起を行うボット「ちるも」を開発しています. ちるもは,LINE上で利用できるチャットボットです. 本研究では,ちるもを通じて流言の注意喚起をしたり,流言に関するクイズを提供したりすることで, ユーザが日ごろ目にする情報を疑ったり,その情報が正しいかどうか確かめたりすることをうながすのを目的としています.
- シズルワードを用いたお土産のおいしさ連想支援システム
- 日本は観光事業に注力しています.その中でも,お土産品の購入は観光消費の25%(国内日帰り旅行の場合)を占めています (参考:日本都市計画学会|観光・レクリエーション目的の国内日帰り旅行に関する旅行者全体及びその年代別における消費全体並びに消費項目別の現状について). その収入は観光地の地域活性化において重要な役割を担っています. 観光客がお土産を選ぶ際には,その土地に行かないと購入できないもの(参考:アサヒグループホールディングス|お土産に関するアンケート調査) や味のおいしさ(参考:プレスリリース|お土産に関するアンケート調査)を重視することが多いです.しかし,その土地特有のお土産は手軽に手に入らないため,食べたことのないお土産は味の想像が難しいです. 試食がない場合にレビューサイトやSNSから情報を得る人も多いですが,検索という手間がかかる上,必要な情報を見つけ出せるとは限りません.そこで,本研究では,お土産の味などに関する情報を提供し,おいしさの連想を支援するシステム「ほの味サーチ」を提案します. 2
- スマートグラスを用いた注意喚起情報表示機能を持つ医療安全向上支援システムの提案
- 多忙な医療現場では.インシデント・アクシデント,医療事故などが発生しやすく,多くの医療施設ではその原因を調査,共有することで,インシデント・アクシデント,医療事故を防ぐ取り組みをしています.しかし,医療行為をする際に,注意すべき事項を常に意識できるとは限りません.特に医療行為において少人数で行われる検査や手技は,現場の医療従事者による即時の判断が必要であり,不安定な心身状態などにより判断を間違えることは重大な医療事故につながります.そこで本研究は,医療安全の向上を支援する事を目的とし,医療従事者の負担軽減を考慮し,軽量かつ手技視野を妨げない拡張現実を利用できるスマートグラスを装着し,スマートグラスより取得した映像を用いて,医療機器の認識を行い,認識結果から特定した医療行為に関して,その手技の注意喚起情報をスマートグラスに表示するシステムを提案します.
- 実店舗と比較したネットスーパーの併売商品の分析
- これまで,ネットスーパーと実店舗の傾向比較は,あまり行われてきませんでした.しかし,ネットスーパーの商品の購発注された際,実店舗の陳列されている商品を取ってくるため,ネットスーパーの売り上げを考慮せずに店舗のみの在庫だけで管理を行うと,ネットスーパーによって売れた商品の影響により,実店舗では在庫切れといった状態に陥る可能性が考えられます.また,実店舗側でもネットスーパーの大量購買により陳列商品が抜けていると,新規の買い物客から見てもその店舗の商品の品揃えが良くないといった悪い印象を与えてしまい,次回の買い物では自店舗では購入してもらえない可能性も考えられます.これらのことを防ぐためにも,実店舗だけでなく,ネットスーパー側の売上や利用ユーザの購買傾向を知る必要があると考えられます.そこで,本研究では,ネットスーパーと実店舗を比較することで,ユーザ間で購買傾向の違いを把握し,これまで行われてこなかったネットスーパーのマーケティング戦略の確立を行います.
- Twitterにおいて流言訂正情報を発信・拡散するユーザの特徴分析
- 近年,SNSの普及によりインターネット上での個人の情報発信が盛んに行われています.特にTwitter(参考:ホーム|Twitter)などのマイクロブログでは,誰でも気軽に情報を共有,発信し,必要な情報を簡単に取得することができます.しかし,それらの情報の中に紛れている流言を信じてしまったり,拡散してしまったりする可能性があります.Twitter Japanは2020年3月23日,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け,「漂白剤を飲めばCOVID-19は治る」「食料品の入荷がなくなるので急いで買いに行こう」など間違った情報などが含まれるツイートについて削除を要請すると発表しました(参考:Twitter、日本でも新型コロナ関連のデマや誤情報に削除要請 冗談でも|ITmedia).このように,流言には社会的混乱を引き起こすような内容のものもあり,Twitterのような気軽に情報を発信・拡散できるメディアでは,ユーザの情報に対する注意力を高める仕組みが必要です.そこで本研究では,流言訂正者に着目します.流言訂正者とは,ある内容が流言である事を指摘し,他のフォロワーに注意喚起する情報発信者を指します.本分析では,1か月分の流言訂正情報を用いて,流言訂正者の特徴を分析します.
- 仮想空間におけるドアの開閉に着目した空間接続手法の提案
- 近年,XRを利用したコンテンツは多く開発されており,さらにはスタンドアロン型のVRが普及し始めるなど XRコンテンツを容易に利用できる環境が整いつつあります.最近では,コロナウイルスによる影響により外出自粛の影響下 においても自宅で利用できるXRコンテンツの需要が高まっています.XRコンテンツでは,ユーザに体験を提供する観点に おいて,没入感や臨場感という要素がとても重要なものとなっています.この没入感を増加させるという問題に対しては, 様々な方面からアプローチが行われています.また,遠隔会話ツールなどの他の空間にアクセスするコンテンツにおいては,対面環境よりも接続先に対して心理的 な距離を感じてしまう問題点があります.これは,遠隔地への空間接続感や同室感の欠如が原因である可能性が考えられます.そこで本研究では,私生活で利用され,空間の移動を連想させることができるドアに 着目し,現実においてのドアの「突っかかり」の力をユーザに再現,提示することで仮想空間 における没入感や空間接続感を向上させる手法を提案します.
- 食品ロスの削減を目的とした見切り販売に関するPOSデータの分析
- 食品ロスとは,食べることができるのに,廃棄されてしまう食品のことであり, 使用・提供されずに廃棄される「直接破棄」「食べ残し」,調理の際に皮やヘタを必要以上に捨ててしまう「過剰除去」の3種類に分類することができる. 直接破棄が出る原因としては,食品の消費・賞味期限切れや買いすぎてしまい消費できないことなどが挙げられる.本研究では,買いすぎてしまい消費できない原因は,消費者が予定のない食品の購入していることではないかと考え,「見切商品」に注目した. 見切り商品とは,消費・賞味期限が近づいてきたことにより,通常の価格より値段を下げて販売している食品のことである. 我々は,値段を下げた販売が,消費者の予定外の食品の購入につながり食品ロスの増加の要因になっているのではないかと考えた. そこで,本研究では「食品の見切りが,消費者の予定のない購入につながり,家庭の食品ロスが増加する」という仮説を立て,食品ロスの減少の可能性を見つけることを目的とし,消費者の見切り商品の購入に着目し実際のPOSデータの分析を行った.
- どこジオ:ツアー体験を拡張するジオツアー支援システム
- 貴重な地質や地形を,ガイドの解説を聞きながらめぐる「ジオツアー」が,近年注目を浴びています. 2014年には,和歌山県の「南紀熊野ジオパーク構想地域」が「日本ジオパーク」として認定されました. ジオツアーは,自然の魅力を肌で感じられるだけでなく,ガイドの解説を聞くことで,その地域の地史や文化を知ることができるという魅力があります.しかし,自然の景観は,天気に左右されることはもちろん,災害などで地形そのものが変化してしまうことがあります. それゆえ,自然の中で行われるジオツアーでは,必ずしもガイドの見せたい風景を,参加者が見られるは限りません. ガイドはそのような状況でも解説を行いますが,口頭説明や紙などの資料だけでは,参加者に伝わりづらいという問題があります.そこで本研究では,ガイド説明の補助を行う,ジオツアー支援システム「どこジオ」を開発しました. どこジオは,スマートフォンなどのモバイル端末から利用するWebアプリケーションです. 本研究の目的は,このシステムをジオツアーに取り入れて,ガイド説明を理解しやすくすること. そして,より体験的なツアーを行うことで,ジオツアーの魅力を向上させることです.
- Di-sarasu:観光客を対象とした受動的な防災情報提示システム
- 観光客が観光中に被災した場合,土地勘がなく避難するべき場所がわからない,などの要因から被害が大きくなる可能性が高いです. そのため,観光客を対象とした防災支援システムが必要だと考えられます.しかし,観光客の防災意識を調査した研究によると,観光前に防災情報を自発的に調べ,災害に備えている人が少ないことが分かります. そのため防災に対する関心が低い観光客にも利用してもらえるように防災システムを設計する必要があります.そこで本研究では「防災情報にさらす」というコンセプトで防災システム(Di-sarasu)を開発しています. 現在はこのコンセプトの実現例として,閲覧しているWebページに含まれる観光地付近の防災情報の吹き出し表示および観光防災地図の作成を行っています. 本研究の目的は,防災に対する関心が低い観光客に防災情報を提供することです.
- POSデータ5分類手法: 需要予測前における精度判別分類器
- 店舗経営における重要な問題として,在庫管理が挙げられます. 商品が売れ残ると管理維持のコストや廃棄が増加し,逆に在庫不足になると販売機会の喪失や顧客の減少が生じてしまいます. これより,売れる数だけ商品を仕入れる必要がありますが,全ての商品がいくつ売れるのか人手で予測するのは非常に困難です. 在庫の数を基準に発注を行うのではなく,需要予測が必要となります.需要予測に関して,様々な企業によって需要予測システムの開発が行われていますが,全ての商品を高精度で予測出来ているわけではありません. 上記で述べた様々なコストロスを防ぐためにも,予測ができない商品を予め発見する必要があります. そこで本研究では,「POSデータ5分類手法」について開発と検証を行っています. POSデータを分類することによって,需要予測の「当たる」「当たらない」を事前に明確化します. この研究により「需要予測前に予測の可否を判断する」効果や「全自動で需要予測及び発注をする」効果が期待されます.
- 遠隔会話における未来の代替アバターを考える
- 2020年現在,コロナウイルスの影響で仕事や教育など様々なところで作業の遠隔化の波が押し寄せている.実際に,遠隔会議や遠隔授業を実施している会社,教育機関などが増加してきている.また世の中の遠隔化が進む一方で,家の中を見られたくない,顔を見られたくないといったプライバシーの問題が存在する.近年では,人の映像のみを抽出し,バーチャル背景と合成して表示したり,またバーチャルアバターを代替的に活用したりすることで,プライバシーの問題を解決している.私は,「合成背景→バーチャルアバター→?」という風に,ユーザ自身を代替するアバターというモノがバーチャルではなく,よりリアルな要素をもったモノに変化していくのではないかと考える.例えば,あなた方が身に着けている衣服,眼鏡,腕時計,または日常的に使うマグカップなど,あなた方自身では無いが,あなた方自身の趣味嗜好などが反映されえており,相手があなた方だと認識できるものは数多く存在する.私は,最初の代替段階として,家庭に放置されがちな人形に着目する.人形は昔から子供の遊び道具であり,人形遊びといった子供同士のコミュニケーションツールとしても活用されてきた.そこで,私はテレコミュニケーションに人形遊びの要素を取り入れた映像コミュニケーションツールを作ってみた.
- 身体挙動情報可視化によるプレゼンテーション状況把握支援手法の提案
- 現在,プレゼンテーションは授業やビジネスなど社会の多くの場面で利用されています. そのため,かぎられた時間の中で情報をわかりやすく聴衆に伝えるためのプレゼンテーションスキルが重要となっています.プレゼンテーションスキルには5つの評価基準があり,その中に「身体表現」があります. プレゼンテーションにおける身体表現の効果は様々な書籍で書かれています. 身体表現に含まれるアイコンタクトは,聴衆の注意を引き付ける効果があります. また,ジェスチャーはプレゼンテーションに説得力をもたらすとても雄弁な非言語メッセージであります.そこで本研究では発表者が聴衆に伝わるアイコンタクトとジェスチャーが適切に行われているのかを可視化するシステムを開発しています. プレゼンテーション中に発表者がどこをどれだけ見ているのか,ジェスチャーの範囲や頻度を色分けして表示します. 本研究の目的は,プレゼンテーション中のアイコンタクトとジェスチャーの様子をフィードバックを得て,次回のプレゼンテーションに活かすことです.
- 画像を用いた簡便な体重推定を行うシステム
- 日本は少子高齢化が進み,年々高齢化率が上昇しています.高齢化に伴い,日常生活に介護を必要とする要介護認定者数も増加傾向にあります.介護が必要となる主な原因としては,脳卒中や認知症,転倒による骨折などがあげられます.寝たきりの期間が長期間つづくと,身体機能が低下していきます.このように,自力では起立できない患者の循環器機能が低下すると,患者の体重計測時に起立性低血圧などが生じる恐れがあります.起立性低血圧とは,循環器機能に負担がかかることにより,意識障害などを引き起こす症状です.このように起立困難な患者にとって,自身の栄養状態を把握するうえで必須となる体重を計測することは非常に大きな負担となります.また,起立困難な患者の体重計測を行うには,患者をベッドスケールや車いす式体重計へ移乗する必要があるため,複数の人手が必要となり,医療従事者にとっての負担が大きいという問題もあります.そこで,本研究では,起立困難者の体重計測をより簡便に行う手法として,画像を用いた体重推定手法を提案します.
- 複数空間における多空間認知可能システムの提案
- VR は,従来のディスプレイなどとは違い,2 次元の情報だけでなく,相手との距離などの3 次元の情報を伝えられるため,実際にその空間にいる感覚が強いのが特徴である.そのVR の特徴を利用し,人間の能力を再現,拡張する研究がある.人間の五感による知覚の割合が最も大きい視覚に焦点を当てた.今後,VRにおける視覚情報の提示が我々の生活をより豊かにする重要なファクターであると考えられる.そこで本研究では,複数空間表現システムを開発し,新たなコミュニケーションの形を提案する. 本システムは,VR 技術を利用することで,擬似的にHMD を装着したユーザの視界を分割するように表現した.分割された視界に異なる複数の空間の映像を投影した. 従来の画面分割による平面情報と異なり,立体的な空間情報を提示する. これにより,ユーザは目の前にある複数の立体的な空間を把握し,同時に関われる環境を実現した.
- プライバシーを考慮した常時遠隔会話のための会話状況判別手法の提案
- 近年,様々な形態の遠隔会話手法が研究されてきた.その一例として,対話環境を半永続的に維持して行う遠隔会話の研究がなされている.しかし,遠隔地と半永続的にビデオチャットをする場合,プライバシーの問題が発生する.特に,複数地点間で常時接続する場合,空間同士をそのまま接続しているため,誰が誰と何を話しているかが分かり,個人間の会話をシステム利用者全員が聞くことができるようになっている.そのため,気軽にインフォーマルな会話をすることができないという問題がある.また,プライバシー保護のため会話中に会話の様子を第三者に表示しないようにしてしまうと,プライバシーを保護した状況下でもアウェアネスが不明確であるため,対話先の状況が分からず,会話を遮っても問題ないと判断することが難しい.そこで,本研究では,プライバシーを保護した状況下で,各遠隔地点のプライバシーレベルに合った会話状況判別機能を提供することを目的とした.
- 訪日外国人のためのマイクロブログを用いた災害状況把握支援システムの提案
- 現在,日本は観光立国を目指して観光業に注力しており,より一層のインバウンド対策が求められます.しかしながら日本は災害大国でもあり,観光において大きな障害となっています. また,訪日外国人が日本での被災時に求められた情報としては,災害の大まかな状況を把握したいといったものが多くを占めており,これらは現地の人々がマイクロブログの投稿などで知る事が可能な情報です.そこで本研究では「マイクロブログの投稿から災害状況を分析する」というコンセプトで災害状況把握支援システム(D-SAT)を開発しています. 現在は,本システムを運用するにあたってツイートから災害状況を分類する精度を調査しています.本研究の目的は,マイクロブログの投稿から各地の災害状況を分析し,訪日外国人に向けて提示することです.
- 協調作業における遠隔参加者の存在感の向上を目的とした強調疑似表現の提案
- 協調作業では,多人数が対面上(共有空間上)におり,遠隔地から参加する人が少人数含まれることがあります.このとき,遠隔地側の参加者が行動及び操作をしても,その変化が目立たず,他の参加者には,作業に参加しているか判断できない場合があります. そこで本研究では,遠隔地側の参加者の動作(オブジェクトの移動)を表示する疑似表現を開発しました.本研究の目的は,協調作業における遠隔地側の参加者の存在感の向上です.本手法は遠隔地側が操作したとき,その行動及び操作した遠隔者が誰であるか,区別が可能なオブジェクトで遅延させて表現します.ここでは,操作者の顔を強調疑似表現として用いています.
- カオネージ:顔をスクリーンとしたコミュニケーション支援システムの提案
- 対面上の会話では目を見て話してほしいと考えている人が多い傾向にあります.そこで本研究では,相手の顔に情報を投影し,「顔に書いてある」を実現させる,顔をスクリーンとしたコミュニケーション支援システムのカオネージを開発しました.カオネージの目的は,顔から目をそらさない会話の実現と,話者間の新たなコミュニケーションの実現です.本システムは,顔に情報を投影し,「顔に書いてある」を実現するシステムです.
- 視界分割による複数の空間表現を用いた 情報提示システム
- VR は,従来のディスプレイなどとは違い,2次元の情報だけでなく,相手との距離などの3次元の情報を伝えられるため,実際にその空間にいる感覚が強いのが特徴である.そのVR の特徴を利用し,人間の能力を再現,拡張する研究がある.人間の五感による知覚の割合が最も大きい視覚に焦点を当てた.今後,VRにおける視覚情報の提示が我々の生活をより豊かにする重要なファクターであると考えられる.そこで本研究では,VR における視界分割を用いた空間表現システム「CompoundViewer」を開発した. 本システムは,VR 技術を利用することで,擬似的にHMD を装着したユーザの視界を分割するように表現した. 分割された視界に異なる複数の空間の映像を投影した. 従来の画面分割による平面情報と異なり,立体的な空間情報を提示する. これにより,ユーザは目の前にある複数の立体的な空間を把握することができる.
- 歯科情報を用いた身元確認支援システム
- 2011年3月11日に発生した東日本大震災の経験から,身元不明のご遺体に対する身元確認の手段のうち,歯型鑑定による方法の有用性が報告されています.具体的には,津波などの住宅が消失するほどの被害を受けた場合においても,掛かりつけの歯科医院に本人の情報が存在すれば,身元確認をすることが可能であることが理由として挙げられます.さらに,近年発生予想がされている南海トラフ巨大地震では,東日本大震災を上回る被害想定がなされています.そのため,歯型鑑定がより効果的に用いられる可能性があります.また,厚生労働省の「歯科情報の標準化」事業により,各歯科医療機関で蓄積される歯科情報に対し,標準的なデータ形式を定義する取り組みが行われています.本研究では,事業により社会活用できる段階となった歯科診療情報を用い,身元確認を支援するシステム「Dental Seeker」の開発を行っています.
- 観光客を対象とした 受動的な防災情報提示システム
- 観光客が観光中に被災した場合,土地勘がなく避難するべき場所がわからない,などの要因から被害が大きくなる可能性が高いです.そのため,観光客を対象とした防災支援システムが必要だと考えられます.しかし,観光客の防災意識を調査した研究によると,観光前に防災情報を自発的に調べ,災害に備えている人が少ないことが分かります.そのため防災に対する関心が低い観光客にも利用してもらえるように防災システムを設計する必要があります.そこで本研究では「防災情報にさらす」というコンセプトで防災システム(Di-sarasu)を開発しています. 現在は,このコンセプトの実現例として閲覧しているWebページに含まれる観光地付近の防災情報を吹き出しで表示しています. 本研究の目的は,防災に対する関心が低い観光客に防災情報を提供することです.
- 流言拡散防止のための情報確認行動促進システム
- 近年,SNSやTwitterなどをはじめとするマイクロブログサービスが普及しており, ネットワーク上でのコミュニケーションが活性化しています. しかし,手軽な情報取得・発信が可能となっている一方, 誰もが情報の信頼性を正しく判断できるとは限らず, 流言(十分な根拠がなく,その真偽が人々に疑われている情報)の拡散が起こっています. 流言の拡散は,ユーザ間の適切な情報共有を妨げます.特に災害時などでは,深刻な問題を引き起こす可能性があり, 流言の拡散防止が必要です.本研究では,流言拡散防止のための,情報確認行動促進システムを構築しました. 本システムは,情報拡散前のユーザに対し,流言に関する気づきを与え,情報の真偽確認行動を促進するシステムです.
- 逃げシルベ:避難時間を可視化する「逃げ地図」Webシステム
- 災害対策に地理空間情報の利活用は欠かせません.非常時に需要が高まるWeb地理情報は,公的機関や企業などが提供手段の検討を続けています.一方で,防災教育という指針においては,「逃げ地図」制作などの地域密接型イベントによる周知が行われています.参加者間のリスク・コミュニケーションを重要視する逃げ地図は,作業コストの肥大化や,情報の信頼性確保が課題に挙げられます. そこで本研究では,デジタル上の逃げ地図作成を目的としたWebシステム「逃げシルベ」の開発を行っています.アクティブラーニングの促進を源流とする本来の逃げ地図の観点を尊重しつつ,遠隔の個人らに制作環境を提供することで,新しい逃げ地図制作の在り方を模索します.
- 防災エッグ:日常的な災害対策を支援する防災ソーシャルゲームシステム
- 近年の災害情報が,内容と伝達メディアの両面から充実を続ける一方で,地域住民に過剰な情報依存を与える危険性が指摘されています.自助の強化には,一人一人が災害情報の受け手であり続けるだけではなく,個人が主体的に災害情報に干渉できる環境が必要です.そして,日常的な防災の実現には,防災をより身近に,より楽しく続けられる仕組みが欠かせません. そこで本研究では,日常的な災害対策を支援する防災ソーシャルゲームシステム「防災エッグ」を開発しています.図1に示す【クエスト・アイテム・キャラクター・シナリオゲーム】で構成されるソーシャルゲームデザインを用いた防災システムが,利用者に「いつの間にか防災」をもたらすことで,ゲームと現実を循環する継続的防災支援の実現を目指します.
- シズルワードとマイクロブログを用いた飲食店推薦システム
- 外食に関するアンケートによると,お店選びで重視する点は「料理の味」が1位で,おいしさに関する情報は, “ユーザが必要としている情報”の提供に重要な点であると考えられます. そこで,「もちもち」や「サクサク」のような,食品のおいしさを表す表現である「シズルワード」に着目します.もし,飲食店の情報と,その店で食べられるもののおいしさに関する情報を結びつけることができれば,よりユーザの好みに適合した飲食店推薦ができる可能性があります.また,近年, Twitterなどのマイクロブログで様々な情報発信がなされており,その中には飲食店についての最新の情報も含まれていると考えられます.マイクロブログはリアルタイム性が高く,マイクロブログから情報を抽出することで,「掲載情報が古い」という課題を解決できる可能性があります.そこで,マイクロブログとシズルワードに着目し,嗜好とリアルタイム性を考慮した飲食店検索システムの構築を行っています.
- KANKONECT:Web上の情報をもとにした観光情報可視化システム
- 近年,ドラマやアニメの舞台への聖地巡礼等の新しい形態の旅行が出てきたことや,外国人旅行者の増加から,観光地に対して新しいニーズが発生してくることが考えられます.しかし,新しいニーズが発生していても,観光地側がそれに気づかなければ観光客は離れていってしまいます.そのため,観光地側も観光客のニーズや問題点を知り,観光地の発展につなげていく必要があります.そこで本研究では,観光地のホームページや個人Blog,Twitterから観光情報を抽出し,地図上に可視化する,観光情報可視化システム「KANKONECT」の開発を行いました.特に,リアルタイムの情報を得られるTwitterからは,観光地名入りのツイートだけではなく,観光地名が入っていないツイートからも観光情報の抽出を行います.
- なかもんR:被災疑似体験とその対策を繰り返し示すことによる防災教育システムに関する研究
- 日本は地震が多発する地域にあり,その被害は甚大です.2011年には東日本大震災,2016年には熊本地震が発生し,大きな被害がもたらされました.被害を軽減させるためには防災教育が必要であるのと同時に,日ごろから自分たちが暮らしている環境に対する防災行動を考えていく必要があります.そこで本研究では,災害対策の意識を喚起させることを目的としたVRシステムを開発しています.「被災疑似体験」を繰り返すことで,利用者の意識に強く働きかけます.同時に,普段利用者が行っている災害対策について再検討してもらう機会を示し,人々の防災意識を高めることを目的とします.
- あがらマップ:まち歩き型の情報収集に対応した防災マップづくり支援システム
- 防災意識の向上や自分の住んでいる地域を理解することを目的とした,まち歩き型の防災マップづくりが日本各地で行われています. 防災マップづくりは,参加者の防災意識の向上に貢献することが確認されているため,地域コミュニティにおける自助,共助の能力向上が期待できます. 防災マップづくりを支援するシステムはありますが, まち歩きによる情報収集,防災マップづくりおよび発表までの,一貫した支援が可能なシステムは提案されていません.そこで,本研究では,まち歩き型の情報収集に対応した防災マップづくり一貫支援システム「あがらマップ」の開発しています. あがらマップの利用した防災マップづくりにより,効率的な防災マップづくりができることを目指しています.
- ユーザのつぶやきに即した防災情報提供システムあかりマップbot
- 東日本大震災後,災害時支援のための研究やサービスが多く開発されたが, 災害時のための機能を災害発生時にいきなり利用することは困難です. また,出先などの普段行かない場所で災害に遭うと,避難行動などに即時対応できない可能性が高いです. そこで,平常時およびユーザが移動した際に,防災情報を提供する仕組みが必要とされています.本研究では,Twitterのユーザのツイートに含まれる位置表現を利用した, 防災情報提供システム「あかりマップbot」の開発を行ってます. 本システムの目的は,ユーザが日常的に防災情報閲覧のきっかけを作ることです.
- 特定人物の模倣を行うチャットボット
- 近年,チャットボットの研究や開発が増加しており,チャットボットを使う機会が増えています. 個性を出すことで,ボットに話しかける意欲が高まると言われていますが,個性を設定した応答を行うことは大変です. そこで,Twitterなどから特定人物の発言の特徴を真似することで,個性を備えたボットを簡単に作れる仕組みを研究しています.
- クライマップ:防災情報の隠蔽による日常的な防災意識促進システム
- 災害時に被害を最小限にとどめるためには,平常時から人々は防災を心がける必要があり,防災マップは重要な役割を果たします. しかし,防災マップには大量の情報が記載されているため,必要な情報を覚えることは一般的に困難です.そこで本研究では,自分の周辺の防災情報のみを表示し,必要のない場所を黒く覆い隠して見えなくした防災マップ(クライマップ)の開発を行っています. クライマップを日常利用することで,日常の行動範囲周辺にある避難場所情報を表示し,個人に適した防災マップになることを想定しています.
- 漫画表現とクイズを用いた外国人観光客向け防災知識提供システム
- 日本は台風や地震など,自然災害が多い国です. そのため,避難訓練やハザードマップの配布など,地域住民を対象とした防災対策が数多く行われてきました. しかし,外国人観光客を対象とした防災対策はあまりありません. 近年,日本へ訪れる外国人観光客の数は増えており,今後も増加が見込まれることから,外国人観光客を対象とした防災対策も必要です.外国人観光客は,日本で災害が発生した際に,何が起きたのかを理解できない可能性があり,日本語がわからない場合,情報の入手も困難であると考えられます. そこで,「防災知識提供システム」を開発しました.本システムでは,災害時にどのような行動をとればいいのか,といった防災知識を,クイズと漫画で楽しく学習できます. 平常時に本システムを利用することで,災害時に的確かつ迅速な対応をとれるようになることを目指します.
- リリケア:高齢者のための排尿ケア支援システム
- 現在,高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的として,可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の終末期まで続けることができるように,地域包括ケアシステムの構築が推進されています. 地域包括ケアを行うためには,排尿の自立が重要ですが,入院中に低下した排尿自立の回復には時間が必要です.そのため,入院中に排尿ケアが完結することはほとんどなく,退院後の在宅でも排尿ケアを継続する必要があります. しかし,在宅医療を支える訪問介護ステーションでは,排尿アセスメント・ケアに関する一定のマニュアルをあまり利用しない傾向にあります.そこで本研究では,在宅での排尿ケアに関する情報や記録,マニュアルをうまく活用し,高齢者の排尿自立を促すための支援を行う,排尿ケア支援システムを開発しています.
- 視線誘導エージェントを用いたPMVのための観光案内支援システム
- 近年,自動運転車について関心が高まっています.自動運転車の実用化に向けて,様々な研究や開発が行われています.しかし,観光案内の場において,自動運転技術を用いた情報提示手法の研究は少ないです.そこで,本研究では,視線誘導エージェントを用いた自動観光案内支援システムを開発しています.自動運転システムとして,和歌山大学のシステム工学部光メカトロニクス学科の中嶋先生が開発している自動運転システムPersonal Mobility Vehicle(以下,PMVと表記)を用いています.
- カオネージ:顔をスクリーンとしたコミュニケーション支援システムの提案
- 対面上の会話では目を見て話してほしいと考えている人が多い傾向にあります. そこで本研究では,相手の顔に情報を投影し,「顔に書いてある」を実現させる,顔をスクリーンとしたコミュニケーション支援システムのカオネージを開発しました. カオネージの目的は,顔から目をそらさない会話の実現と,話者間の新たなコミュニケーションの実現です.
- パノラマップ:利用者の既知の景観をランドマークとして使用する重畳表示型道案内システムの提案
- 現在,地図情報を利用した道案内アプリは数多く存在しています.しかし,地図情報を実世界の情報と対応付けるのが困難であり,地図道案アプリを用いても道に迷うことはあります.そこで本研究では,利用者の既知の景観を拡張現実を用いて道に重畳表示させることで利用者に疑似的土地勘を作り出すシステム(パノラマップ)を提案します.本研究の目的は,景観画像の提示により,現在地と目的地の相対的な位置関係を把握の支援です.
- Saipic:災害関連語句の表示を用いた情報見逃し防止システム
- 災害時に人々が利用する情報「収集」手段は多数あり,情報を見逃してしまう可能性があります.本研究では災害の突発的な事例に対する情報収集手法を模索します.突発的な事例として,2017年10月の台風21号をあげます.南海本線では,大雨の影響により線路が歪曲してしまいました.このとき,利用者に電車の運行情報やバスの振り替え輸送の案内の情報は公式ページ上で即座に公開されず,利用者間でニュースやTwitterを利用して情報を収集するしかありませんでした.この例では,「南海本線」という語句は,突然,災害と関連する語句になりました.そこで本研究では,インターネット上で提供される災害関連情報から,従来災害と関連することのなかった語句を抽出し,表示します.さらに,ユーザに検索を促すことで,大量に散在する情報の中での重要な災害関連情報が見逃されないようになることを目指しています.
- カラゴライズ:分類結果を色でグルーピングする整理支援システムの提案
- 研究室などで書籍が大量に置かれている本棚を整理するときにも,この書籍はどのカテゴリに属するのか,所有者が誰かを悩んですぐに整理対象となる書籍を適切なカテゴリに分類するのが難しいという問題が発生します.そこで,身近にある書籍を整理する際に発生する問題に焦点を当てて,短時間で効率よく整理できる手法が必要となると考えられます.本システムでは,書籍の表紙に枠線の色を重ねて表示し,枠線の色ごとに書籍の分類をすることにしました.身近でよく使用する書籍を対象として,同じ分類に属する書籍を同じ色で提示して整理の支援を行う手法を提案します.
- セパレトーク:対話環境に適した映像利用による分散遠隔存在感の表現
- 仕事でビデオチャットを使う場合に,問題が存在します.例えば,会社がスーツを着用することを規定としており,会議などをする際にテレワークをしている人だけが家で私服を着ている場合,どうしても会社と家とでは違和感が生まれてしまいます.さらに最近はいくつもの仕事を同時並行する人も増えてきました.そんな人にこそテレワークは有効だと考えられますが,必要な時間に合わせてビデオチャットの接続を切り替える必要があったり,仕事場所の間で服装の取り決めが大きく異なれば,違和感を生んでしまいます.そこで,本研究では各遠隔地に適した形で常にビデオチャットすることができることを目的とするセパレトークの開発を行っています.
- Di-sarasu:外国人観光客を対象とした経路検索結果に基づく防災情報提供システム
- 毎年,数多くの外国人観光客が日本を訪れており,その数は2012年以降増加し続けています. しかし,日本は数多くの外国人観光客が訪れる国であると同時に,地震や台風などの自然災害が発生しやすい国でもあります.そのため,外国人観光客を対象とした防災支援システムが必要だと考えられます.自治体が実施した外国人を対象としたアンケート調査の結果によると,外国人は災害に対する危機意識が低いことが分かっています.そのため防災に対する関心が低い外国人観光客にも利用してもらえるように防災システムを設計する必要があります.そこで本研究では「防災情報にさらされる」というコンセプトで防災システム(Di-sarasu)を開発しています. 現在は,このコンセプトの実現例として経路検索の結果に対応する防災情報を自動で表示しています. 本研究の目的は,防災に対する関心が低い外国人観光客に防災情報を提供することです.
- ついジオ:ガイド説明理解度向上と知名度向上を目的としたジオツアー支援システム
- 2014年8月,和歌山県紀南エリアの9箇所の市町村に位置する「南紀熊野ジオパーク構想地域」が貴重な地質や地形を認定する「日本ジオパーク」に認定されました.そのため和歌山県の多くの人々が,自然でできた地形や景観(ジオサイト)を巡るツアーである“ジオツアー”に関心を持っています. しかし実際のジオツアーでは,ガイドによる口頭説明だけでは,地学などの専門分野の用語が混ざっており,一般の参加者が理解することが難しいことや,ガイドが遠方の場所(ジオサイト)を説明する際,参加者に対して指さしだけでは対象物がわかりづらいという問題点が挙げられます. さらに本塚らの論文では,“ジオツアー”の知名度が低いことも問題点として挙げられています.そこで本研究では,ガイド説明理解度向上とジオツアーの知名度向上を目的としたジオツアー支援システムを提案し開発をおこないました. さらに,実際に和歌山県紀南エリアで活躍されているガイドの方と手を組み,実際のジオツアーでシステムを運用し,評価をおこないました.
- イマミラー2:他者の身体属性提示のための映像上の身体変換システム
- 社会的な立場の変化や,見た目の変化により,心理的な変化が起こることが知られています. 私は,情報技術を使って心理的な変化を起こし,他者についての気づきや,他者について考えるきっかけ, また,他者を通した自分への気づきを与えることを目的にした,イマミラー2というシステムを開発しました. 図1にイマミラー2の利用イメージを示します. イマミラー2は,対面のディスプレイに他者の身体を提示し,映像に映る他者の身体が自分の動作と連動します. これにより,外見の特徴から他者の社会的な属性を提示でき,画面上のオブジェクトへの作用や,利用者同士の インタラクションにより,身体の変化を感じることができます.
- クックマ:一人暮らし学生を対象とした自炊支援システム
- 大学入学に伴う一人暮らしをきっかけに自炊を始めることは一般的ですが, 面倒などの理由から続かなくなる例も多く見られます. 内閣府の調査によると,大学生の半数はほとんど料理をしません. しかし一方で料理が嫌いな料理が嫌いな大学生は少なく, 何らかの動機付けを行うことで自炊を習慣付けられる可能性があります. また,近年,食事を外食や中食で済ませることが増えています. しかし,若いうちに食に対する知識や経験を深めることは, 健康的な生活を送るために重要です. そこで本研究では,一人暮らしの大学生を対象として, マイクロブログを用いた自炊支援システム「クックマ」を開発しています. 本システムの目的は,自炊の動機付け,および自炊の継続を支援することです.
- なかもん:VRを用いた防災教育のための地震体験システムに関する研究
- 地震が起きると家具が転倒し,その下敷きになってしまう恐れがあります.それにも関わらず,家具転倒防止対策と言った地震対策を怠っている家庭があるのも現状です. 起震機によって地震を体験することはできますが「揺れ」を体感することはできても,それが実際に防災対策をする意識づけとなるには不十分です. そこで本研究では,家具転倒防止対策の意識を喚起させることを目的としたVRシステムを開発しています. 家具転倒防止対策がなされていない室内にいる時の危険性を強調したムービーを用いて,地震の危険性を伝えます. 本研究では,起震車上でVR体験をしてもらうことを想定しています.
- 在宅医療連携のための多職種医療従事者間情報共有システム
- 現在,日本は超高齢社会であり,将来的に医師や病床数が不足する可能性があることから,在宅医療のニーズが高まってきています.その中で,医療従事者間での連携・情報共有がより重要となってきています.しかし,在宅医療には異なる組織に属する多くの職種の医療従事者が関わっており,情報共有が不十分であるという大きな課題があります.また,各組織で使用している医療記録用システムに加え,情報共有用システムへの情報入力は,医療従事者の負担となります.そこで本研究では,在宅医療連携のための多職種医療従事者間情報共有システムの開発を行っています.情報入力の負担を考慮し,書式が未統一な記録書などを「写真」で共有する機能やチャット機能などを作成しました.本システムは,これらの機能を用いた,異なる組織に属する多職種の医療従事者間におけるコミュニケーション支援を目指します.
- いまなんレコーダ:講義音声の不明瞭箇所を記録する留学生聴講支援システム
- 文部科学省による留学生受け入れ30万人計画が進む現在,留学生の増加に伴い,教育現場での留学生支援の必要性が高まっています. 留学生が抱える問題の一つに,講義中の教員の説明が聞き取れないことがあげられます. 従来の録音ツールでは,講義音声の録音は可能でしたが,不明瞭だった時点の録音経過時間の記録は出来な いため,復習時の効率的な聞き直しを行うのは困難でした.また,留学生にとって,専門用語が多く含ま れる非母語の口頭説明の聴解は容易ではありません.そこで本研究では,スマートフォンを用いて講義の録音・不明瞭箇所のマーキングを行い,学生の相互聴講補助を支援する講義音声共有システムの開発を行っています.
- ドアコムZ:遠隔空間における物に対する接触と三次元的な移動が表現可能なビデオチャット
-
近年,無近年,無料でビデオチャットを行えるサービスが普及してきています.しかし,ビデオチャットには相手との距離感を感じてしまうという問題点があります.
本研究では,この問題点を解決するためにドア型の専用インタフェースを用いたビデオチャットシステム“ドアコムZ”を開発しました.
「相手の空間に侵入している感覚」を与えるため,ビデオチャットにおいて遠隔空間における物に対する接触と 三次元的な移動が表現可能な仕組みを提案します. - ぽーたりべ:山歩きを伴う高野山町石道案内システム
- 2015年4月,高野山は開山1200年を迎えました.高野山には,参詣道のひとつとして「町石道」があります.町石道には,「町石」と呼ばれる,高さ3mほどの石造りの道標が180基建てられています.町石には一つ一つ由来があり、観光地を案内する従来研究として,携帯端末を用い,観光地を自動音声案内する研究があります.これは,現地に機材を設置し,その電波を携帯端末で受信することで,案内を聴くというものです.町石道の観光案内の困難な点として、町石道は山道であるため,機材の注視や、手元の操作は転倒の恐れがあり危険であることが挙げられます.また、世界遺産であるため,装置や機材の設置も困難です。 そこで本研究では、音声とGPS機能を用いて、高野山町石道を案内します。
- あかりマップ:災害直後の避難支援を目的とした常時利用型災害時支援システム
- 東日本大震災後,ネットワークを利用した支援や研究が多く行われました.しかし,災害時や災害後は輻輳などによりネットワークが利用できないことが多いです. また,避難所の場所などの情報を知らない土地で災害に遭った場合,どこへ避難すればいいのかわからない状態になり,すぐに適切な避難ができません. さらに,災害時にシステムを利用する際,そのシステムが初めて使うものであったら,すぐ機能を理解し操作することは困難です.そこで,日常的にシステム利用するが大事であると考え,本研究では日常的に利用可能な避難支援システム「あかりマップ」の開発を行いました.
- サトタン:クラウドソーシングを用いた用例対訳作成システム
- 医療現場で必要とされる用例の数は多く,十分な数の用例の作成は困難なため,用例の収集のための研究が多く行われています.また,機械翻訳を用いた多言語間コミュニケーションの支援の研究も行われています.しかし,機械翻訳の翻訳精度は高いとは言えず,機械翻訳の結果のみを用いて多言語間コミュニケーションを行うことは難しいです.そこで本研究では,クラウドソーシングを用いて機械翻訳後の用例を評価・訂正することで正確な用例対訳が作成できる可能性があると考え,クラウドソーシングを用いた用例対訳作成手法の提案を行いました.
- 医療分野を対象とした多言語用例対訳共有システムTackPad
- 訪日外国人や在日外国人は増加しています.しかし,日本語が理解できない外国人への対応は十分なものとは言えません.特に医療分野では,医療従事者と患者との正確なコミュニケーションが重要です.日本語が通じない外国人と日本人の医療従事者間のやりとりは,意思の疎通が十分に行えずに医療ミスが発生する可能性があるためです. そこで本研究では,医療に関する正確な多言語用例対訳を収集・共有し,収集した用例を他の多言語対応システムに提供することによって外国人患者の支援を行うことを目的としています.
吉野研究室の研究紹介
吉野研の研究紹介
進行中の研究
これまでの研究
多言語間コミュニケーション支援に関する研究
多言語間コミュニケーション支援は情報通信研究機構(NICT)の言語グリッドプロジェクトと共同で行っていました.
- ぷち通:複数の言語資源を用いたスマートフォン対応多言語医療対話支援システム
- 医療などの高精度なコミュニケーションが要求される分野では,多言語コミュニケーションの支援不足による様々な問題が指摘されています.本研究では,入院場面における,医療従事者と患者間の高精度な多言語コミュニケーションの支援を行うために,機械翻訳と用例対訳を併用した多言語医療対話支援システム「ぷち通」の開発を行っています.ぷち通は,スマートフォン上で動作するシステムで,場面毎に用意された用例対訳と機械翻訳を併用することで,医療現場に会わせた正確なコミュニケーション支援を目指しています.
- 用例対訳を用いた多言語医療受付支援システムM3
- 在日外国人数が年々増加しており,日本国内における多言語コミュニケーションの機会が増加しています.また,医療などの高精度なコミュニケーションが要求される分野では,多言語コミュニケーションの支援不足による様々な問題が指摘されています. そこで本研究では,医療従事者と患者間の高精度な多言語コミュニケーションの支援を行うために,用例対訳を利用した多言語医療受付支援システムの開発を行っています.現在,多言語医療受付支援システムが複数の病院の導入されています.
- 機械翻訳を用いた翻訳リペア支援に関する研究
- 世界規模のインターネットの普及により,ネットワークを介した多言語コミュニケーションの機会が増加しています.一般に,多言語を十分に習得することは容易ではないため,機械翻訳を利用した取り組みが行われています.しかし,機械翻訳の精度には限界があり,完全な翻訳を行うことは困難です.不適切な翻訳箇所を含む文章の利用は,円滑なコミュニケーションを妨げてしまいます. 本研究では,機械翻訳を用いた正確なコミュニケーションを支援するために,翻訳不適箇所の少ない文章を作成する方法の1つである「翻訳リペア」の支援手法について検討・検証を行っています.
- 共通言語を用いた対面型会議における非母語話者支援システムPaneLive
- 世界的にグローバル化が進んでおり,国を越えた人の行き来が活発化しています.日本でも訪日外国人や在日外国人は増加しています.このため,日本においても母語が異なる人々の間での対面コミュニケーションを行う機会が増加していると考えられます.例としては,大学での留学生との討論や,企業での複数母語話者が存在する会議での討論があります. このような母語が異なる人々の間での討論は共通言語を用いることが多いと言われています.この場において共通言語を母語としない人(非母語話者)は,語彙や言い回しの問題が存在しているため討論の内容を正確に理解することは難しいものとなっています. そこで本研究では,多言語対面環境でリアルタイムに行われる討論を支援する,非母語話者支援システムPaneLiveの開発を行っています.
- 多言語インフォーマルコミュニケーション支援のためのコミュニティスペースの構築に関する研究
- 多言語コミュニケーションにおける問題として,言語障壁が存在し,母国語以外で行われている会話の内容が理解できないという問題があります. そのため,会話へと参加するためのきっかけを得ることができません.そこで,情報技術を用いて会話の内容を可視化し,会話に参加するためのきっかけを得るためのコミュニケーション支援環境として,「コミュニティスペース」の構築を行っています.提案システムでは,Second Life上および実空間上の両方において,「コミュニティスペース」を構築し,その効果を確認しました.
- 会話中の名詞を可視化する対面型異文化間コミュニケーション支援システムiGengo
- 在日外国人が年々増加しており,日本国内における対面での異文化間コミュニケーションの機会が増加しています.しかし,対面での異文化間コミュニケーションにおいてそれぞれの人間が持つ文化背景が異なるため,相互理解が困難であるという問題があります. そこで本研究では,文化的な背景がもたらす知識の差を補うために,会話中の名詞を可視化する対面型異文化間コミュニケーション支援システムの開発を行っています.タッチパネルを利用したシステムで,会話中の単語を音声認識し,日本人と留学生間の会話のきっかけを提供します.
- All for one型多言語会議支援システムSAKIN
- 学校や会社などでは講義や会議などの場面で外国人の参加が多く見られます.日本における日本語の会議では外国人は内容の理解に限界があると考えられます.本システムは,日本人が外国人をサポートすることで,外国人の内容理解を支援することを目的としています. 本研究では,みんなの力を少しずつ集めて,少数の外国人留学生を支援を行う方式(All for one型)による会議支援に関する研究です. 近年,多くの人が,タブレット端末やノートパソコンなどを会議中に用いています.各自の端末を少しだけ支援に使うことにより,外国人の理解の向上を目指しています.
- 異文化間コミュニケーション支援システムAnnoChat
- 異なる言語や文化を持つ人々と意見を交換したりコミュニケーションをとる 「異文化間コミュニケーション」は,高い語学力が要求されたり,相手の文化に関する知識が必要であるなど, 初心者にとって敷居の高いものだといえます. そこで,異文化(異言語)間でのコミュニケーションを簡単かつ円滑にできるようなソフトウエアを開発し, 評価していくことを研究テーマとしています. 本研究では,異文化間でのコミュニケーションを支援するためのチャットツールとして,AnnoChatを開発しました. AnnoChatは,インスタントメッセンジャー風のチャットツールに,機械翻訳機能,リアルタイム折り返し翻訳機能, アノテーション機能をつけたものです.
多様なコミュニケーション支援に関する研究
- ギタェクター:ギターエフェクターによる音色の変化の可視化システムの開発
- ギターの音色を変化させる道具に「エフェクター」というものがあります. しかし,これらはギターを扱っていない人にはどういうものかわかりづらく,エフェクトの説明をしてもイメージがわきにくいものがほとんどです. これらの原因は,楽器経験者と未経験者の知識のズレによるものだけでなく,「音色の変化」というものが抽象的であるためだと考えられます. そこで,本研究では楽器経験者と未経験者の話題の共有を支援することを目的とし,演奏者・視聴者ともに楽しめるシステムを開発しています.
- チク宅ログ:在宅介護者のための介助法提示支援システム
- 現在,日本の総人口の25%以上を高齢者が占める超高齢社会であり,その割合は今後も増加していくことが予想されています. また,終末期医療に関する調査では,国民の60%以上が自宅での療養を望んでいることが示されており,このような背景から,厚生労働省は在宅医療・介護を推進しています. しかし,在宅での介護を行う介護者は要介護者の家族がほとんどであり,介護や介助のやり方(介助法)に対する専門的な知識を持ちません. よってどうやって要介護者を介護すればいいのか判断できないことが予想されます. そこで本研究では,在宅介護者のための介助法提示支援システムの開発を行っています. 簡単な質問に回答するだけで現在の要介護者の状態を判定し,それに応じた適切な介助法を提示します. 本システムは,在宅介護者の負担を減らし,要介護者の状態に応じた対応ができるようになることを目指します.
- マイクロブログを介した日常の情報発信に基づくToDo管理支援
- ビジネス社会では,個人の自己管理力が求められています.近年の携帯情報端末の普及により,個人向けのToDo管理ツールは,より日常的に感じられるものとなりました.巧みな時間管理術の習熟には,タスク量が多いビジネスマンになる前の学生の頃から対策を行うべきです.しかし,大学生の過半数が抱える「文字情報の入力操作がわずわらしい」との理由から,その実践率は高いとはいえません.そこで本研究では,マイクロブログ上の日常的な情報発信に基づくToDo管理システムを開発しています.大学生が普段利用しているマイクロブログ(Twitter)から,ToDoの候補を自動抽出することで,大学生に入力を意識させないToDo管理の実現を目指します.
- Web防災袋:カスタマイズ可能な防災関連情報提供システム
- 平常時からできる災害行動として,「防災袋(非常持ち出し袋,避難袋)」の用意があります.その中身は,必要最低限の物のほかに,個人の事情や属性によってそれぞれ異なります(ベビー用品,介護用品,ペット用品など).つまり,個人が災害時に必要とする優先順位に沿って,防災袋の中身をより適切なものにしておくことが重要です.以上のことは,多様化する防災情報コンテンツにも同じことがいえます.安否情報や交通運行状況など,様々な発信源から提供される災害関連情報は,情報量が多く,一覧性がありません.これでは,必要な情報を探す時間と手間がかかってしまいます.そこで本研究では,インターネット上にて提供される防災関連情報の防災袋となるシステムを開発しています.分散した防災関連情報を一元的に集約することで,個人が自身の属性により必要な情報をカスタマイズできる仕組みの設計指針を提示します.
- Cocotica: Wikipediaを用いた文化差可視化サービス
- 多言語間コミュニケーションにおいて,同一の単語を用いて会話をしている場合でも,相手の文化について十分に理解していないために,誤解が生じる可能性があります.文化差の有無の判断は,人が行なう必要がありますが,その判断には相手の文化に関する十分な知識が必要となるため,容易ではありません.そのため,文化差が存在することを自動的に検出する仕組みが求められています.そこで本研究では,文化差を検出・可視化するシステムの開発を行っています.
- Docoitter:未来の在室を予報する在室管理システム
- これまでの在室管理に関する研究では,「現在の在室状況の提示」を対象としています. そのため課題点として,「訪問者は目的人物が不在の場合,次の訪問日時が分からない」ことが挙げられます. そこで本研究では,「未来の在室状況の提示」を対象とし,会えるタイミングを提示することによる訪問の支援を目的としています. 本研究で開発した在室管理システム「Docoitter」は,現在の在室状況と未来の在室確率を提示します.明日の予定は「学内イベント」「学外イベント」「講義中」等に抽象化して表示します.また確率は,3時間ごとの在室確率を表示します.
- フォトリート:教育や観光利用を目的としたパノラマ画像を用いたコンテンツ作成支援システム
- 日本では,未だにデジタルアーカイブの作成を実施・運営が不十分です.ただ単にデータを収集し,閲覧可能にするだけでは,デジタルアーカイブの収集や利活用は促進されません.そこで本研究では,教育や観光利用を想定した,パノラマ画像を用いたコンテンツ作成支援システム「フォトリート」を開発しました. 本研究ではシステム利用者にもコンテンツの作成に参加してもらいます.本システムの目的は,デジタルアーカイブに収蔵されているデータをコンテンツとして公開し,利用者に閲覧してもらうとともにデジタルアーカイブの付加データとなりえるデータを利用者から収集することです.
- リエミン:地理情報に関連づけられたデジタル写真収集システム
- 近年,デジタルアーカイブは有形無形の資源をデジタル化することで,多種多様な資源を収集・蓄積・保存・提供することができるサービスとして利用されています.東日本大震災後,様々な組織が景観を保存することを目的としたデジタルアーカイブプロジェクトを実施し,震災前の写真や動画の大規模収集を行っています. 我々は景観を保存することが観光支援につながるのではないかと考えました.そこで本研究では,Web上からデジタル写真の自動収集を行い,そのデータを観光利用できる形に再編成するシステムを開発しました.
- Mofy: 高齢者のための簡易栄養管理システム
- 現在,日本は総人口の約23%を高齢者が占める超高齢社会であり,この割合は今後も増加する傾向です. 高齢者が健康を維持するためには,良好な食生活を送ることが望ましく,日々の食事内容の把握と改善を行うことが重要です. 高齢者が主体的に食生活の改善を行うためには,高齢者の利用に特化した栄養管理システムが必要であると考えています. 本研究では,スレート型PCを用いて,高齢者向けの簡易栄養管理システムの開発を行っています.
- つもとんたくまん:公共空間設置型対話ボットのための「笑わせる発言」収集手法
- > 音声対話システムの研究は,かねてより活発に行われています. 本研究室でも,鉢植え型会話ボット「おしゃべり鉢べえ」が開発されています. これは,公共空間での第三者間の間接的コミュニケーションを実現するものです. このシステムは,利用者に対し,他の利用者の存在を喚起させることに成功しています.しかし一方で,会話の多様性や継続性の不足,といった課題も残っています.そこで,システムに柔軟な対話を行わせることを目標として,多様な発言の収集手法を検討しています.
- ものぴこん:実世界の「もの」と関連づけたアイデアの共有による発想支援システム
- 昔からアイデアを発想する能力が重視されており,発想支援に関する研究が多く行われています.日常生活におけるアイデアの発想を支援する発想法の提案も行われていますが,継続的な発想を支援することは難しく,日常的にアイデアを発想するためには様々な工夫が必要です.本研究では,マーカレスARを用いることで「もの」を介してアイデアを日常的に共有するシステム「ものぴこん」を開発しました.
- BlogWear2: ライフログを活用したストリーム型コミュニケーションサービス
- ライフログ分野の研究が活発に行われています.ライフログとは日々の行動をデジタルデータとして保存することです.本研究では,ライフログを用いることでソーシャルメディアにおける負担の軽減を目指し,ライフログデータをもとにブログ記事を自動で生成する"BlogWear2"を開発しています.
- 用例の森:用例評価のモチベーション維持支援システム
- これまでにモチベーション維持に関する研究は数多く行われてきました.これまでの研究では,日常的な作業や学習を対象としており,「用例の評価活動」のような「日常的に行わない作業」を対象とした場合の効果は不明です.そこで本研究では,「楽しさ」や「達成感」の要素を用いた用例評価のモチベーション維持支援システム「用例の森」を開発しました.「用例の森」により,用例の評価活動を行うユーザのモチベーション維持を支援することを目的としています.
- ハナ☆イキイキ:呼吸情報を用いた感情伝達エンタテインメントシステム
- 現在の主要なWebコミュニケーションツールの多くは文字ベースのシステムとなっています. 本研究では,特殊なデバイスを用いずに感情伝達を行い,利用時のプライバシ面での抵抗感を軽減するシステムとして,ハナ☆イキイキの開発を行っています.
- AReTalk: 拡張現実感技術とハンドジェスチャを用いた対面コミュニケーション支援システム
- 近年,拡張現実感(AR: Augumented Reality)を用いたシステムが増加しています.しかし,多くのシステムは,注釈付与などの間接的なコミュニケーション支援が主な目的となっています.本研究では,直接的なコミュニケーションとして,ARを用いた対面コミュニケーションを支援します.相手に伝わりづらい表現をオブジェクトとして可視化し,相手にわかりやすく伝えます.
- おしゃべり鉢べえ:第三者間のゆるやかなコミュニケーションを実現する鉢植え型会話ボットシステム
- 現在,Web上では第三者間のコミュニケーションが活発に行われています.しかし一方で,公共空間での第三者間のコミュニケーションは,見知らぬ人に関わりを持つことへの心理的抵抗が大きく,いまだ発展途上であることが指摘されています.そこで,公共空間での第三者間のゆるやかなコミュニケーションを実現する鉢植え型会話ボット「おしゃべり鉢べえ」の開発を行っています.
- 壁穴フープ:距離感と抵抗感の減少を目指した ビデオチャットシステム
- 近年,SkypeやYahoo!メッセンジャー等の無料でビデオチャットを行えるツールが普及し,容易にビデオチャットが利用出来るようになりました.しかしビデオチャットでは対面の会話に比べ距離感を感じてしまうことや,ビデオチャットに抵抗感を持ってしまうことが問題としてあります. そこで本研究では,ドラえもんの通り抜けフープのようなインタフェースで,あたかも壁に穴があいたような映像を表示させるシステム“壁穴フープ”を開発しました.
- KANKONECT:Web上の情報をもとにした観光情報可視化システム
- 近年,ドラマやアニメの舞台への聖地巡礼等の新しい形態の旅行が出てきたことや,外国人旅行者の増加から,観光地に対して新しいニーズが発生してくることが考えられます.しかし,新しいニーズが発生していても,観光地側がそれに気づかなければ観光客は離れていってしまいます.そのため,観光地側も観光客のニーズや問題点を知り,観光地の発展につなげていく必要があります. そこで本研究では,観光地のホームページや個人Blog,Twitterから観光情報を抽出し,地図上に可視化する,観光情報可視化システム「KANKONECT」の開発を行いました.特に,リアルタイムの情報を得られるTwitterからは,観光地名入りのツイートだけではなく,観光地名が入っていないツイートからも観光情報の抽出を行います.
- iGenki: iPod touchを用いた児童の学習及び健康支援システム
- 小学校のICT環境は不十分です.パソコンの扱いは困難であり,授業では有効活用されておりません. さらに,最近では,小学校における児童の生活習慣の乱れが問題となっています.学校で実施されている健康診断だけでは対応出来ていません. そこで本研究では,児童一人一人にiPod touchを持たせた学習環境を提案します. 児童の学力の向上,及び健康を支援することを目的としています.
- 在宅ネット2:在宅医療支援システムに関する研究
- 現在の在宅医療は様々な問題を抱えています.まず平時の問題としては,在宅医療にかかわる様々な医療スタッフ間の情報交換がスムーズに行われていないため,情報の収集や緊急を要する連絡が困難になる場合があります.次に災害時の問題として,在宅療養患者は避難に複数人の補助が 必要な場合や機材・薬剤が必要な場合がありますが,患者に関する情報を提供できる範囲が非常に狭いということがあげられます. そこで,スタッフ間でのスムーズな連絡・情報交換を可能にすること,在宅療養患者の避難・救助支援を行うことを目的として, 様々なツールにより様々な在宅医療支援を行う「在宅支援ネット2」を開発しています.
- コミュニケーション支援のためのキャラクタ化した写真を用いた写真共有システムGAZO GAZO KUN
- デジタルカメラの普及率は増加しており,これに伴い,Web上にはFrickrなど写真共有サイトが多く存在するようになりました.しかし,これら写真共有サイトの利用者は非常に少ないです. そこで写真の公開に加えて,他ユーザとのコミュニケーション支援機能を持つ,写真共有サイトを開発しています.
- ARシステムを用いたインフォーマルコミュニケーションの可視化
- 組織や企業内において,インフォーマルな場面におけるコミュニケーションは,情報共有の面でとても重要な役割を担っています.しかし,面識のない人同士がコミュニケーションを図ることは,会話の糸口がつかみづらいことから,困難であると言われています. そこで,本研究では,AR(Augmented Reality)システムを用いて,インフォーマルな場面におけるコミュニケーション(例えば,道端やカフェテリアでの会話等)を可視化し,コミュニケーションの活発化を目指しています.
- USB人形を用いたアウェアネス情報伝達システム
- 本研究では,日常会話で自然とおこなわれる相槌のような首振りに着目し,首振り情報を実世界のオブジェクトとして表現することにより,遠隔間コミュニケーションがどのように変化するのかについて研究しています.
- 実世界の位置情報を用いたSNSユーザの出会い支援システム
- 本研究では人間関係の広がりを促進させる手段として「友人の友人」関係に焦点を当てています. 「友人の友人」関係にあるユーザ間の実世界での距離を計測し,出会いのきっかけを提供するシステムを開発しています.
- 3Dキャラクタを用いたシナリオ可視化システムBunBunMovie
- 現在,ブログや脚本などシナリオ(文字)を扱うコンテンツが多く存在していますが,シナリオのみでは視覚情報が乏しいという問題があります.しかし,シナリオに視覚情報を付加させるために,動画を作成することは容易ではありません. そこで利用者に対し文章を入力するだけでシナリオを可視化するシステムを開発しています.
- キャラクタを用いた首振り伝達システムAwareCap
- 本研究では,日常会話で自然とおこなわれる相槌のような首振りに着目し,チャット情報に首振り情報を付与することで,遠隔間コミュニケーションがどのように変化するのかについて研究しています.
- 地域住民による外国人旅行者支援システムTravo
- 訪日外国人旅行者の日本での活動を支援する団体や施設はあるものの,対応できる場所や人員が限られており,外国人旅行者の要求にその場で対処することは困難だと考えられます.また,言語の壁も外国人旅行者支援において大きな問題となっています. 本研究では,機械翻訳等を利用して,外国人旅行者の旅行活動を支援すること研究しています.