背景と目的

生活習慣病は,癌や脳卒中,心筋梗塞など複数の疾患が含まれていて,死に至るケースも存在するため,注意が必要な病気となっています. しかしながら,自覚症状が見られないことから,自ら生活習慣病の予防や改善に取り組む人は少ないです.

そのため,現在では,生活習慣病の予防を目的としたシステムが多数開発されていて,そのシステムの一つに「競争」があります. これは,お互いに影響しあうことでモチベーション向上を計る手法です. しかし,競争システムの問題点として,競争相手との実力差がある場合に,モチベーションの低下を招いてしまうことがあげられます. 現在あるシステムの多くが,この問題を考慮できていません.

そこで本研究では,競争により起こる心理学的影響を2つの方法を用いて考慮し,生活習慣病の予防,改善を目的としたチャットボットを開発しています. このシステムはLINE上で利用でき,心理学的影響の考慮方法として,ランキングを利用して他のユーザのレベルが低くなるように調整することと,ユーザの努力を褒める言葉を掲示することを用いています. これにより,競争相手と実力差が生まれることを防ぎ,かつ,言葉によるモチベーション向上ができると考えています.

問診票LINE Bot

問診票LINE BotはLINE上で動作するチャットボットで, スマートフォンやPCにインストールされているLINEアプリケーション上から利用できます.

システムの構成を図1に示します. ユーザの問診票のデータをもとにGPT-4に複数個,生活習慣改善のための目標を生成してもらいます(図1(a)①). そして,生成された目標をユーザに投げて,1つ選んでもらい,目標を決定します(図1(a)②).

目標を設定すると継続確認が行われます(図1(5)). そして,確認できると継続日数をもとに作成されたランキングがユーザに送信されます(図1(b)). そして,その後に,GPT-4を用いて作成された褒める言葉が,ユーザに送信されます(図1(c)).

システム構成図
図1. 問診票システムLINE Botのシステム構成

(1) 目標設定・継続確認機能

図2(a)はシステムの目標設定の画面です. 人によって異なる4つの目標の候補が提示され,そこから改善したい目標を選択します. 一番下のボタンから他の目標を見ることもできます.

図2(b)は継続確認とメニュー画面を表しています. メニューの中にある「継続確認ボタン」からいつでも継続確認が行えます. .

動作画面例1
図2. 基本機能の動作画面

(2) ランキング・褒める言葉掲示機能

図3(c)は継続確認後に表示されるランキングを表しています. システム内で作成されたランキングが2日に1回表示されます.

図3(d)はランキングと同様に,継続確認後に表示される褒める言葉を表しています. これは,GPT-4を用いて生成された言葉で,毎日表示されます.

動作画面例2
図3. 継続確認後表示画面

デモムービー

参考文献・発表

  1. 加藤美希,井口拓己,吉野孝,高木智幸,小池廣昭: 生活習慣習慣病の改善維持を目的としたチャットボットの提案,情報処理学会,第86回全国大会,5ZF-06(2024).

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