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背景と目的

大学入学に伴う一人暮らしをきっかけに自炊を始めることは一般的ですが, 面倒などの理由から続かなくなる例も多く見られます. 内閣府の調査によると,大学生の半数はほとんど料理をしません. しかし一方で料理が嫌いな料理が嫌いな大学生は少なく, 何らかの動機付けを行うことで自炊を習慣付けられる可能性があります. また,近年,食事を外食や中食で済ませることが増えています. しかし,若いうちに食に対する知識や経験を深めることは, 健康的な生活を送るために重要です.

そこで本研究では,一人暮らしの大学生を対象として, マイクロブログを用いた自炊支援システム「クックマ」を開発しています. 本システムの目的は,自炊の動機付け,および自炊の継続を支援することです.

システムの概要

図1に,クックマのシステム構成を示します. クックマは,マイクロブログの1つであるTwitterを利用したシステムです. システムは,Twitter上で動作するBotプログラムを介して利用者との応答を行います. Botは利用者の投稿をもとに個人に合ったレシピを提示したり, 利用者が調理した料理の写真を他の人に共有したりします.

TwitterBotは利用者の投稿を解析して,レシピデータの検索を行います.
                    レシピデータは,レシピサイト「クックパッド」の情報を利用して作成しています.
図1. システム構成

システムの機能

(1)レシピ提示機能

Botが利用者の投稿から食材を抽出して,その食材を使うレシピを提示します. 図2の例では,白菜を使ったレシピを提示しています. 提示するレシピは,調理の難易度を考慮して利用者に合ったものを選択します. レシピデータには,大手レシピサイト「クックパッド」の情報を利用しています.

(2)料理写真共有機能

利用者がBotに送信した料理の完成写真を,Botが他の利用者に共有します. この機能では,自分の料理を他人に見せたり,逆に他人の料理を見たりすることが, 自炊を動機付けることを狙っています.

(3)ゲーミフィケーション機能

システムにゲームを模した要素を取り入れることで, 自炊の動機付けや,継続利用の促進を行います. 利用者は提示されるレシピを調理することでレベルを上げたり, 料理人の称号を獲得したりできます.

Botは利用者の投稿に対してレシピを提示し,
                    利用者は提示されたレシピを調理して写真を送信しています.
図2. Botと利用者の応答例

レシピ情報の加工

システムでは,利用者に合ったレシピを提示するために, レシピ情報から調理の難易度と使用する調理器具数を算出して利用しています.

調理の難易度

利用者の調理能力に応じたレシピを提示するために, レシピに含まれる情報から調理の難易度を算出しています. 利用する情報は,レシピ名,使用する材料の数,調理手順の長短などです.

調理の手軽さ

学生が自炊をしない原因の一つとして,片付けが面倒なことがあります. そこで,手軽に調理できるレシピを提示するために, レシピで用いる調理器具の数を算出しています. 図3に算出の流れを示します. まずレシピに含まれる調理動作を抽出し, 各動作に使用する調理器具を列挙することで器具数を算出します.

レシピ文から調理動作の語句を抽出し,
                    各動作に対して使用する調理器具を列挙します.
図3. 調理器具数の算出

デモムービー

口頭発表

  1. 辻本拓真,吉野孝:マイクロブログを用いた自炊支援システムの提案, 2015年度情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集, G-08,pp.1-4 (2015-09).
  2. 辻本拓真,吉野孝:大学生を対象とした自炊支援システムの開発, マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム, pp.938-945 (2016-07).
  3. Takuma Tsujimoto and Takashi Yoshino: Development of a Cooking Support System aimed at University Students Living Alone, Proceedings of 8th International Conference CollabTech 2016, Springer CCIS 647, pp.146-158 (2016-09).
  4. 辻本拓真,吉野孝:調理の手軽さを考慮した自炊支援システムの開発, 2016年度情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集, C-01,pp.1-4 (2016-09).

連絡先

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