大学受験生の皆さんへ

システム制御研究室では,「制御」をキーワードとして研究指導を行っています. そもそも制御というのは,世の中のあらゆるものを上手に動かそうするものですので,この研究室の卒業生は社会のありとあらゆる状況に対して,制御センスを生かして活躍しています.

制御のセンス

制御センスを身につけるための第一歩は,世の中で出会ったあらゆる事象に疑問を持ち,改良してやろうと思うところか始まります. そのためには,その事象をじっと観察して本質を見抜くことが必要です.

たとえば,近所の道路がいつも渋滞しているという問題を感じた時にするべきことは,そこで何が起こっているかじっと観察して問題の骨組みを取り出すことが必要です.自動車の大きさや道路の幅,信号機での交通整理の現状,運転者の注意の向ける先,歩行者など周辺の状況などの中から,交通渋滞に結びつく原因となっている要素を取り出し,それらを構造化することです.

別の言い方をすると,これは複雑な状況から,単純な事象を取り出して因果関係を明らかにすることです. このような本質を見ることが出来るようになれば,その中のあるものは自分の力で改良してやることができることが気づくことができるようになります.

もちろん,改良する方法や手法については知らなければなりませんし,その改良が確実に行えるかどうかをきちんと評価できなければなりません.

制御のセンスを身につけると,世の中の問題点が見えてきます,社会に出た時に出会うあらゆるシステムについて改良することができるようになります.小さいシステムは自動車のエンジンや家庭内の電気製品のようなものから,大きなものは工場の化学プラントや,交通システムや,金融システム,社会全体といったものまで対象となります.

交通渋滞を眺める図

システム制御を習得するための準備

システム制御をマスターすることは,さほど難しいことではありません. これまで, 何かをうまくやってみようとしていたことについて「なんとなく」やっていたのではありませんでしょうか? たとえば,エアコンを使って部屋の温度を調整するのに, 最初は「何となく」温度を設定しようとしていたのではありませんか? もし,そうであるなら,部屋の温度を上げ下げする要素には何があるかを 少しだけ考えることが制御を学ぶ第1歩であったのです.

「この程度のことは考えたことがあるよ」  そう思う方が大半なのではないでしょうか. そうです,制御の考え方の第1歩を皆さんは踏み出しているのです.

大学入学まで

高校物理や,もっと以前の理科で学んだ手法は,世の中のできごとを極力 単純化して考えるということでした.ニュートンは,りんごが地面に落下すること から,質点系の力学を見いだし微分方程式へと発展させました.

世の中のあらゆる事象は,その本質を含んだ「モデル」として表され, その「モデル」の中で起こることがらの関係は, 数学的に記述できるのではないか?という考え方をまず身につけて下さい.

科目でいうと,物理の考え方を数学の知識でバックアップするということになります. ここで大切なのは,物理を決して「公式の丸暗記」の科目にしないということです. 必要な公式は,テスト中であってもいつでもすぐに導き出せるくらいに, 背景にある考え方を習得しておいて下さい. 数学については,複雑な式を展開したりできる計算力はもちろん必要ですが, ひとつの定理を「きちんと証明する」能力が必要です.

「公式の丸暗記でない物理」や「定理をきちんと証明できる数学力」は, 大学受験時に求められるテストの点数には, 残念ながらほとんど反映されませんが,とても必要な力となります. リンゴを落ちるのを見る図

大学入学した後は

高校までに習得した数学や物理の考え方をさらに発展させます. 高校までと違って,特に決まった問題集や参考書もありませんので, ほとんどの大学生は,参考書や問題集で授業の復習をしないため, かなり苦労しているようです.

システム制御の分野を習得するためには, 必ず自分にあった参考書や問題集を揃えて, 数学力と物理に対する考え方を深めていって下さい.

大学院までの計画

工学系の学部全般にも共通することですが, 大学の学部4年間だけで習得することは, それぞれの学問分野の入口を理解するための最低限の知識と技術に過ぎません. 経済的に可能であれば,大学院への進学をするべきであると考えます.

大学院では,大学4年間で身につけた知識と技術を, 実際の社会での応用分野に当てはめて研究活動を行います. 大学受験時の進学先選択にあたって, 大学院までの計画を念頭に入れて注意深く選択を行うのが良いと思います.

ちょっと息抜き:和歌山大学に関する情報など

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