背景と目的
ウェブなどにより商品やサービスが提供されているが,デザインの指針は経験的なものが多い状況です.ユーザにとって使いやすく,わかりやすく,魅力的なデザインを構築するための設計指針を作成するコンテンツデザイン評価法と設計指針の導出方法が求められています.
そこでウェブなどでのショッピングを対象に,目的達成までに行われる様々な意思決定過程をアイトラッカで計測できる眼球運動情報を使って分析する方法を開発することを目的としました.
提案方法と効果
本研究ではウェブでのショッピングと近年導入が進んでいるVRでのショッピングを対象に検討しました.ウェブについてはデスクトップパソコン用のモニタに設置するタイプのアイトラッカ(Tobii EyeTracker4C:プロライセンス版)を使って,実験協力者がショッピングする際の視線位置と注視位置にあるコンテンツ,瞳孔径の変化,瞬目を記録するソフトウェアを開発しました.VRについてはHTC VIVE PRO EYEという視線計測可能な機器を使用して,ウェブと同様のソフトウェアを開発しました.
ソフトウェアによって,実験協力者がどのように商品および商品情報を確認し,その際の注視している時間や経路,瞳孔径の変化および瞬目の状態を分析します.そこから導き出した興味の高い部分,意思決定過程における重要な決断の行われている部分などを抽出するための情報を,分析者に提示します.それを元に実験協力者に詳細を確認し,コンテンツデザインに必要な情報をまとめます.そこから導かれた設計指針では,特に情報階層の立案に有効なものが得られることがわかりました.
外部発表
- VRを用いた購買を対象とした意思決定過程の推定と設計活用 -眼球運動計測可能なHMDを用いた手法-
小島 早葵, 松延 拓生
人間中心設計推進機構2023年度冬季HCD研究発表会にて発表 - 眼球運動を用いた意志決定過程の推定に基づくウェブの設計指針の検討方法
藤川 さき, 松延 拓生
人間中心設計推進機構2023年度冬季HCD研究発表会にて発表 - 眼球運動計測によるウェブ利用中の興味や意思決定についての評価の検討
徳田実玖, 河村匠馬, 松延拓生
人間中心設計推進機構2022年度冬季HCD研究発表会にて発表 - アイトラッカを用いたVRにおける注視3DCGオブジェクトに基づく興味の推定
橋本果奈, 嶋原百香, 松延拓生
人間中心設計推進機構2022年度冬季HCD研究発表会にて発表
謝辞
本研究の一部は「眼球運動とウェブマイニングによるコンテンツデザイン評価法の確立と設計指針の導出」という研究課題名で、科学研究費補助金2021年度基盤研究(C)の助成を受けています(課題番号21K12563)。