優秀論文賞:山中永遠さん(2025年度 博士前期課程修了)
論文名:「シェイクアウト動作によるパッシブハプティクスが利用者の心理変容および行動意図に与える影響の検証」
学会名等:マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2026)シンポジウム
受賞日:2026年9月30日
関連サイト:https://dicomo.org/commendation/
- 論文の概要
- 近年発生した地震における負傷のうち,約30%~50%が家具類の転倒や移動,落下によるものであった.そのため,家具類の転倒防止対策が必要であるが,地震対策を行わない住民が一定数存在しており,地震や地震対策器具の効果を十分に認識していない人がいることが分かっている.そこで本研究では,利用者の身近な空間と重ね合わせることのできるAR技術とパッシブハプティクスを用い,居住空間での被災体験を通じて家具転倒防止対策を促進するシステムを提案する.本システムは,HMDのパススルー機能を用いて現実空間に家具転倒のCGを重ねて表示することで,日常空間で使用可能である.システムの特徴として,地震対策の有無による被害状況を比較提示する機能に加え,地震発生時に推奨されるシェイクアウト(姿勢を低く,頭を守り,動かない)動作を体験に組み込んだ.利用者が机の下に潜り込み,現実の机を把持することで,視覚情報と触覚を整合させ,実在感と当事者意識の向上を図っている.これらによって家具転倒防止対策への動機づけを行うことが本研究の目的である.本研究では,シェイクアウト動作を伴うパッシブハプティクスが,利用者の実在感の質,当事者意識,および行動変容に与える影響について検証した.本実験により,(1)自らの身体を使って身を守る動作を行うことで物理的な手応えが生まれ,実在感の質が向上すること,(2)避難行動という身体的関与によって,利用者の心理的役割が観察者から当事者へと変容し,没入感と危機感が高まること,が示唆された.
- 賞状