吉野研究室(Yoshino Lab.)(コミュニケーションデザイン研究室)|和歌山大学 システム工学部 社会情報学メジャー

学生優秀発表賞:山中永遠さん(学部4年)

論文名:「360度カメラを用いた地震対策箇所提示システムの開発」

学会名等:2023情報処理学会関西支部 支部大会

受賞日:2023年 9月24日

関連サイト:https://kansai.ipsj.or.jp/record/2023.html

  • 論文の概要
    • 地震発生時における家具類の転倒は多くの危険をもたらす. 阪神・淡路大震災の犠牲者の約8割が家屋の倒壊や家具類の転倒によるものであったとされている.また,負傷者の中には建物に特別な被害がないにもかかわらず,家具類の転倒により,逃げ遅れた人や怪我を負ってしまった人も多数含まれている.震度7の地域では,住宅の全半壊を免れたにもかかわらず,全体の約6割の住宅で家具類の転倒・落下・移動が確認されている. また,東京消防庁の調査によると,近年発生した地震の負傷者のうち,約30~50%が家具類の転倒・落下・移動によるものであった.さらに,転倒・落下した家具類が電気ストーブの電源スイッチを押し,付近の燃えやすいものに着火し,火災が発生する場合がある.火災が発生することで,地震の被害をさらに深刻化させてしまう.また,避難経路や出入口周辺に転倒・移動する可能性のある家具類を配置していると,地震発生時に避難経路を塞いだり,引き出しが飛び出したりすることで,人々が避難しようとする際に躓いて転倒し,怪我につながる恐れがあり,避難の妨げとなるリスクが高まる.そのため,怪我・火災・避難障害の「3つの危険」から,自分たちの身を守るためには,家具類の転倒・落下・移動防止対策が非常に大切であるとされてい. しかし,地震対策をしなければならない家具類は非常に多く,対策方法も複数存在するため,防災意識が高い人でも十分に対策できていない可能性がある. 東京消防庁が毎年実施している消防に関する世論調査で,地震の備えとして家具類の転倒・落下・移動防止対策を実施している人の割合は例年60%程度であり,「すべての家具類に実施している」と回答した人は6%程度である 地震対策をしていない家具が存在すると,地震発生時の怪我や避難の妨げの原因になる可能性があるため,全ての家具類に地震対策を実施することが好ましい. そこで我々は,360度カメラで室内を撮影し,撮影した画像内に写っている家具を一覧で表示し,その家具の地震対策に関する情報を提示することで,利用者の防災に対する知識不足を補い,かつ地震対策が手軽になるシステムを提案する.
  • 発表中の様子
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  • 発表時のスライド
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