- 論文の概要
- 多忙な医療現場では,インシデント・アクシデント,医療事故などが発生しやすく,多くの医療施設では,その原因を調査,共有することで,インシデント・アクシデント,医療事故を防ぐ取り組みをしている.しかし,医療行為をする際に,注意すべき事項を常に意識できるとは限らない.特に,医師が1人,もしくは医師と看護師2人といった少人数による医療行為は,即時の判断が必要であり,手順や判断を間違えることは重大な医療ミスにつながる. %慣れない部位における検査では,技術・手技の経験が未熟な医療従事者が医療行為を行った際,患者の体制や 経験の少ない検査や手技を実施する場合,知識不足,ヒューマンエラーが原因となり,検査時の患者の体勢の取り方や 医療機器の使い方など,判断を誤ることにより患者に障害が残ったり,死亡事故につながったりする事例 がある.このような医療事故はヒューマンエラーであり,十分な経験がある医療従事者でも,心身の状況変化,疲労などにより不適切な手順で医療行為をしてしまう可能性がある. そこで我々は,検査や手技の実施時に,その医療行為について,医療安全情報に基づいた,注意すべき事項を医療従事者に提示する 必要があると考え,検査の手順やガイドなどの注意喚起情報を提示するシステムを提案する.本システムは,軽量かつ拡張現実を利用できるスマートグラスを用いることで,装着する医療従事者に負担をかけず,視界を妨げない注意喚起情報の提示を実現する.医療機器を認識し,検査・手技を特定することで,その医療行為についての注意喚起情報をスマートグラスのディスプレイに表示する.その結果,提示された注意喚起情報により,医療従事者のインシデント・アクシデント,医療事故を防止する.本稿では,提案するシステムの概要について述べる.
- 発表時のスライド
- 発表時の様子
学生奨励賞:外山怜さん(学部3年)
論文名:「スマートグラスを用いた注意喚起情報表示機能を持つ医療安全向上支援システムの提案」
学会名等:第83回情報処理学会全国大会
受賞日:2021年3月19日
関連サイト:https://www.ipsj.or.jp/award/taikaigakusei.html#anc1