- 論文の概要
- 日本は地震が多発する地域にあり,その被害は甚大となる場合も多い.我々は,先行研究として,VRを用いた防災教育のための地震体験システムを開発し,評価を行った.VRによる360度映像によって,地震時における家具転倒の下敷きとなる.「恐怖」を実感してもらうことで利用者に,家具転倒防止対策をする意識を向上させることが目的であった.実験を行い評価の結果,VRによる映像は利用者に「家具転倒の怖さ」を感じさせることが分かった.しかし,アンケートの自由記述には「起震車が無くても使えるシステムが欲しい」「どのように防災対策をすれば良いのか」「実際対策をすればどうなるのかを知りたい」といった意見がみられた.防災教育を示すにあたり,人々には繰り返し教育を行うことが効果的である.そこで本研究では,VRを用いた被災体験とその対策を繰り返すことによる防災教育システムの提案をする.本システムでは,家具転倒防止対策,火災防止対策,災害対応のジレンマに関する被災体験の映像を用いる.システムの利用者には,3DVR映像を用いて,被災とその対策方法を提示する.その後,対策を施した上で,別の要因による被災体験を経験してもらう.このように「繰り返される」被災体験の映像から,利用者の意識に強く働きかけることで,防災対策の再検討を行ってもらう.本研究は,以上の仕組みから人々の防災意識を高めることを目的とする.本稿では,本システムの概要と,システムの利用実験について述べる.
- 提案手法の概要
- 発表時の様子
- 受賞時の様子
学生優秀発表賞:中本 涼菜さん(大学院1年)
論文名:「VRを用いた被災体験とその対策を繰り返すことによる防災教育システムの提案」
学会名等:2017年度 情報処理学会関西支部 支部大会
2017年9月26日