What's new?
- 2014年8月31日レイアウトの変更と内容更新。CVD法で作製したグラフェンのラマンスペクトルを追加。
- 2015年6月17日MoS2単原子層膜のラマンスペクトルとPLを追加
研究活動
私,木曽田賢治は,ナノ科学・工学を中心テーマに研究活動を続けています。現在所属する教育学部には相応しくない領域の研究です。しかし私の学生時代以前
には研究と教育は車の両輪でどちらか一方でも欠けてはならないと認識されていました。時代遅れと言われようとも今後も研究活動を続けたいと考えています。
更にはっきりと改めて私の方針を宣言しておきます。Education by Research!
で
あ
ると。この宣言は,私自身だけでなく大学や大学院のあり方(言い換えるとraison d'etre)を一部勘違いしている人に対して行っています。
ラマン分光装置改造中です。詳細は,次ページに載せました。
具体的な研究は,解析手段をラマン散乱・赤外分光法を中心として,原子層層状物質(二硫化モリブデンMoS2原
子層薄膜),単層
カーボンナノチューブ
(SWNT),二層カーボンナノチューブ(DWNT)の作製と
その評価,希薄磁性半導体ナノ結晶(ZnO:Co等)の作製,窒化物半導体ヘテロ構造,新機能材料マルチフェロイックスの光学的性質などです。研究の遂行
には多くの共同研究者の方にお世話になっています。共同研究先は,
- 国立大学法人京都工芸繊維大学工芸学部 蓮池紀幸先生グループ,播磨先生は私の学生時代から30年以上文字通りご指導ご鞭撻をしていただいていましたが,寂しいですけど定年退職されました.
- 国立大学法人和歌山大学システム工学部 伊東千尋先生グ
ループ(カーボンナノチューブ研究からその他諸々愚痴の相手まで。伊東先生も学長就任より表向き研究を指揮できない.村上俊也*先生退職)
- 同上 篠塚雄三先生グループ(理論)ほぼ同時期に本学に赴任しましたが,残念ながら定年退職されました.
- 国立大学法人 九州大学工学研究院 エネルギー量子工学部門 田中悟先生グループ(エ
ピタキシャルグラフェン)最近ご無沙汰しています.
- 国立大学法人 福井大学工学部電気・電子工学科 橋本明弘先生グループ(エピタキシャルグラフェ
ン)こちらも最近ご無沙汰してます.
- 国立大学法人京都工芸繊維大学工芸学部 一色俊之先生,西尾弘司先生グループ(電子顕
微鏡)
- 相当長い間ですが,一緒にやらしてもらっています.公立大学法人大阪 大阪市立大学 金崎順一先生と学生の堀江さん,エピタキシャルグラフェンとそのナノ構造創製
です。また,SiC上のグラフェン生成には西野茂弘先生(京都工芸繊維大学名誉教授)にも相談に乗ってもらいました。
これまで発表した論文リストpdf版とhtm版です。恥ずかしい次第です。
共同研究して頂いている先生方及び学生諸氏に対して日頃の協力に深く感謝いたします。一部の測定結果で島津製作所様のご好意により測定装置(下のPLマッ
プ)をお借りしています。
*任期付き(2016年3月末迄)助教であったため,本年11月30日をもって本学を退職し,新たに東芝で活躍してくれるこ
とになりました。研究で頑張ってくれていたので非常に残念です。
The Late Professor John Bardeen's Guidelines for Scientific
Researches†
一丸節夫先生がエネルギーの科学(私の感想はこちらに記載)で取り上げられてい
た故John Bardeen‡の
研究ガイドラインである。このガイドラインは,
David
PinesがBardeenのことを書いた論文で紹介していたとのことである。一丸先生の翻訳をそのまま転載するのは著作権などでクレームを受けそうだか
ら私の下手な和訳で了承してもらいたい。よってBardeenからおまえの日本語訳は間違っていると言われるかもしれない。
- Focus first on the experimental results via reading and personal
contact.論文を読んだり,個人的なつながりを通じて実験結果にまず集中せよ。
- Develop a phenomenological description that ties different
experimental results together.異なる実験結果を一緒に結びつけるような現象論的な記述を展開せよ。
- Explore alternative physical pictures and mathematical
descriptions without becoming wedded to any particular
one.特定の描像にしがみつくことなく熱の物理的描像と数学的記述を探れ。
- Thermodynamic and other macroscopic arguments have preceedence
over microscopic calculations.熱力学及びその他の巨視的な議論は,微視的な計算に勝る。
- Focus on physical understanding, not mathematical elegance, and
use the simple possible mathematical description of system
behavior.物理的理解に集中せよ。数学的なエレガンスではなく。系の振る舞いを可能な限り簡単化する数学的記述を用いよ。
- Keep up with new developments in theoretical techniques — for one
of these may prove useful.有用とわかれば理論的技術の進展に食らいつくこと。
- Decide on a specific model as the penultimate, not the first,
step toward a solution.解答にむけて,最初ではなく二番目に特定のモデルを選べ。
- DON'T GIVE UP: Stay with the problem until it is
solved.あきらめるな。解けるまでその問題にとどまれ。
†His guidelines are definitely for physics theory, but
some of them are applicable for experimental researches.
‡電荷密度波(CDW)が,流行していた1986年にBardeenとSchriefferは,京
都大学芝蘭会館で講演を行った。私はそのとき講演を聴講した。
カーボン系ナノ材料
グラフェンのバンド構造は,全ての基本です。他人の結果で恐縮ですが,本ページを格好良くするためにMathematica6を使って書いてみまし
た。
SWNTとDWNT
界面活性剤を使って水溶液中に分散された単層カーボンナノチューブのフォトルミネッセンス(提供:村上俊也氏)
二層カーボンナノチューブの透過型電子顕微鏡(TEM)像を示します。(提供:松本和代氏,現在サンディスク)
島津製作所のご協力によりPLマップを取りました。SDSに分散した自家製のSWNTからのPLです。
同じく自家製DWNTのPLです。条件の悪い試料なのでもうすぐ再測定します。
思うところあってDouble walled carbon nanotubesに関する我々の研究論文をここに置いておきます。
はく離法グラフェンとCVD法によるグラフェン
はく離法グラフェン
SiO2300nm上に高配向熱分解グラファイトを劈開して転写した光学顕微鏡写真とラマンスペクトル。(鴨井督氏;学位取
得後,現在京都府中小企業技術センター)
CVD法で作製したグラフェン
化学気相堆積法(CVD)によるグラフェンの作製とドーピングを試みました。銅箔上に作製したグラフェンを更に
SiO2300nm上に転写した際の
ラマンスペクトルを示します(同じく鴨井督氏提供。)。
ラマンスペクトルからHOPGをはく離したグラフェンに
負けない品質のグラフェンをCVDで作製できたと思っています。また,不純物として窒素とホウ素をドープしました。この仕事は,現在投稿中
です。
MoS2単原子層膜
現在進行中の試料.本学大学院教育学研究科修士課程所属南野達哉氏に実験を遂行してもらっています。データはもう少ししたら厳選してのせます.とり
あえずは試料の顕微鏡写真のみです.
酸化物半導体(ZnO)ナノ結晶
酸化亜鉛ZnOナノ結晶を母体として少量の不純物を加えてバンドギャップの変調や磁性機能を追加しようとしています。
ZnO:Coナノロッドの高分解透過型電子顕微鏡像(HRTEM)(写真提供:蓮池紀幸氏)
蓮池氏からもうすぐ機能性酸化物半導体に関する資料を提供してもらえる予定です。
BiFeO3ナノ粒子
BiFeO3(略してBFO)は,強誘電性と強磁性を併せ持つと期待されている物質です。この他強弾性など
少なくとも二つの”強”のつく性質を持った物質のことをマルチフェロイック材料といいます。BFOはその一例で最近注目を集めています。BFOの場合は,
外部電場で磁化を,外部磁場で分極を制御できる”たすきがけ効果”を期待されています。このような誘電性と磁性を互いに関連づけられることを電気磁気効果
と呼んでいます。Pierre Currie(1897),
Perrier(1922)に提案され幾つか実験例もあります。Landauの教科書にも登場します。電気磁気効果の研究は,消えたり復活したり何度かリ
バイバルしてきています。我々もこの研究に従事し,BFOナノ結晶を作製してみました。試料作製と写真提供は福村秀夫氏です。
窒化物半導体ヘテロ構造
工事中,というより研究自体が休止中。
これまでに参加した国際会議
参加した国際会議のリストを載せます。最も最近の写真は,こちらです。
- 25 th International Conference on Raman Spectroscopy, Hong Kong,
1994.
- International Conference on Phonon Scattering in Condensed
Matter(Phonons 95), Sapporo, 1995.
- International Conference on Phonon Scattering in Condensed
Matter(Phonons 98), Lancaster, England, UK, 1998.
- International Conference on Dynamical Processes in Condensed
Matter, Lyon, France, 2001.
- 14th European Conference on Diamond, Nitrides, SiC, Carbon
Nanotubes, Salzburg, Austoria(Österreich), 2003.
- International Conference on Atomicaly Controlled Surfaces and
Interfaces and Nanostructures, Nara, 2003.
- 6th International Conference on Nitride Semiconductors, Bremen,
Germany(Deutschland),2005.
- 17th European Conference on Diamond, Nitrides, SiC, Carbon
Nanotubes, Estril, Portgul, 2006.
- 18th European Conference on Diamond, Nitrides, SiC, Carbon
Nanotubes, Berlin, Germany(Deutschland), 2007.
- 28th Internationl Winterschool on Electronic Properties of Novel
Materials, Kirchberg in Tirol, Austoria(Österreich), 2008.
- International Conference on Silicon Carbide and Related Materials
2009 (ICSCRM2009), Nürnberg, Germany, 2009
- International Symposium on the Physics of Excitation‐assisted
Nano‐processes(ISPEN 2009), Wakayama, Japan, 2009
ちょっと古いトピックス
2007年5月29日から9月24日までドイツ連邦共和国(Bundesrepublik
Deutschland)に派遣してもらいました。場所は,ベルリン市内にあるTechnische Universität
Berlinです。受入先の教授は学部長でもあるProf. Dr. Christian
Thomsen先生(現在は学長)です。仲良くしてくれたポスドク,学生の皆さんの写真を入れさせてもらいます。今この写真を改めてみて私は本当にベルリ
ンに行っていた
のか不思議な気分です。あの日々は私のはかない夢だったのかもしれません。
ヨーロッパでは,博士課程最終試験(英語ではディフェンス)の日にパーティを行います。村上氏の博士論文公聴会当日にヨーロッパの真似してみました。その
ときの写真です。
帽子をかぶっているのが村上氏。
2009年3月は福村氏(右)とDeluca氏(左)。
かつての共同研究者みなさん
2010年私の研究室を卒業した(左から)村上,一人置いて,清水,中井さんです。
前職時代には中島信一先生(大阪大学定年退職後,宮崎大学,産総研を経て現在徳島大学),播磨弘先生,萩行正憲先生(阪大,ご逝去),溝口幸司先生
(現大阪府大),阪井清美先生(独立行政法人
情報通信研究機構 神戸研究所 未来ICT研究センター),谷正彦先生(現福井大)には直接,間接にお世話になりました。
ここ十年の共同研究者(学生)は,以下のとおりです。漏れている人があったら教えてください。また,皆さんの健康と成功を衷心よりお祈り申し上げます。
大凡出会った順に,(この前には前職時代にも何人か言及すべき人がいますが,)栗本英治博士(シャープ;前職時代から)佐古俊生氏(堀場製作所),武中通
暁氏(三菱電機),蓮池(旧姓 細川)かおり氏,領木達也氏(キャノン),西垣宏氏(船井電機を退職して現在博士後期課程在学中),蓮池紀幸氏(京都工芸
繊維大学助教),平倉浩二氏(松尾電機),村上俊也博士(三菱電機,和歌山大学システム工学部助教を経て東芝),福村秀夫博士(住友重機械),佐々木隆氏
(エルピーダ),高橋
健二氏(エルピーダ),徳田氏(トッパン),西部慎太郎氏(デンソー),松本和代氏(サンディスク),魚留勝也氏(日立マクスウェル),出口良亮氏(関西
電力),松岡大介氏(エルピーダ),松井氏(パナソニック),三並宏彰氏(関西電力),加藤寛之氏(三菱電機),内藤亮治氏(三洋電機,現在パナソニッ
ク),中野寛之氏(日
本ガイシ)中村和謙氏(三菱電機),山本宏明氏(シャープ),筧仁志氏(三菱電機),鈴木氏(富士通),隣信彦氏(日本ガイシ),福本氏(ジェイテク
ト),清水琢也氏(毎日牛乳),中井紗江氏(和歌山県学校教員),村上氏(但馬信用金庫)
就中,村上博士,福村博士,松本氏,内藤氏の研究に対する姿勢と扱っている試料への強い思い入れは,目を見張るものがありました。また,大変短い間のおつ
きあいでしたがDr. Malco
Deluca氏の研究に対する情熱は私の研究に対する闘志を再びともしてくれました。共同研究者として長くおつきあいできなかったのが残念です。
最近とはいえない活動状況
- 2008年6月10日,和歌山大学オンリーワン創製プロジェクトの一環で「二層カーボンナノチューブからのラマン散乱分光」という題名で小生
の研究を紹介しました。
- 2008年11月20日,第四回励起ナノプロセス研究会でポスター発表しました。
- 2009年11月21日,励起ナノプロセスの物理に関する国際シンポジウムでポスター発表しました。
- 2010年1月29日,第2回九大グラフェン研究会(主催:応用力学研究所)「エピタキシャルグラフェンの形成と物性」
- 2015年7月9日本学教授篠塚雄三先生の呼びかけで復活した学内研究会
研究は楽しい
で現在取り組んでいるMoS2の
光物性について紹介しました.
2008ー9年度は,本学オンリーワン創成プロジェクト「励
起ナノプロセス研究の拠点形成」のメンバーの末席に加わってました。(2006−7年もオンリーワンプロジェクトに加えてもらっていまし
た。)
2011-2012年,盟友 伊東千尋先生と本学独創的研究支援プロジェクトとして「和歌山大
学ナノカーボン
テクノロジー拠点」を実施中しました。その間に,2011年10月16日システム工学部任期付き助教として村上俊也氏が,伊東千尋
先生グループに着任しました。その後山口さん(本学教育学部化学)にも途中からですが,メンバーに入ってもらいました。山口さんは糖鎖に関する研究を専門
とされていますが,本学
での卒業研究指導の一環で廃材からバイオエタノール作製を行われました。伊東先生と私は,その話を聞きつけ,カーボン材料の原料としてバイオエタノールを
使えないかという観点から参加を呼びかけ今日に至ります。
2013年度は,平成25年度和歌山大学「独創的研究支援プロジェクト」Bとして木質ナノカーボンによる新世代型林業の技術基盤形成
の代表をさせてもらいました。メンバーは,伊東先生,山口さん(教育学部化学),村上さん,私です。
所属学会
- 応用物理学会(1992〜)(2001〜2003年関西支部幹事)
- 日本物理学会(1987〜)
- フラーレンナノチューブ学会(2006〜)
- American Physical Society(1994~)
Last update:12.10.2016
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