Raman散乱分光とクライオスタット


顕微ラマン分光装置

着任10年目にして漸く電荷結合素子(CCD)検出器と固体レーザー(DPSS)532nmを供与されました。これでラマン散乱分光ができるように なりました。それを記念してこのページを追加しました。なお,西進商事矢田貝さん,日本ローパー鈴木さんには機器の調整でご尽力いただきました。その後 2010年度近赤外レーザーを導入し,更に2011年3月これをオリンパス社BX-51Mをベースにした顕微システムに拡張しました。納入直前,東北地方 を 襲った大地震が発生しました。一部物品の入荷が遅れたりしたなかLucir社(幸村さんと小島さん)に来ていただいて漸く完成しました。

その後DPSSレーザーを追加し,CCDを現行の製品に置き換えました.最近加わった製品は,以下の通りです.

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ラマン散乱装置の配置図。分光器は,SPEX1404ダブルモノクロメータ(焦点距離85cm,回折格子1800本/mm) です。CCDは, Python 100BR(1340x100素子,液体窒素冷却,back illumination)です。レーザーは,Elforlight社製Diode Pumped Solid State laser 532 nm (150mW),Cobolt社561nm(50mW), 同660nm(100mW),同515nm&457nm(50mW)とCrystalaser 社製red laser (785 nm, 80 mW,但しラマン分光光源として失格)です。手前の顕微鏡は,オリンパス社製BX-51Mを改良し,ステージは中央精機製です。

本システムを完成するに際し光学部品,レーザーラインフィルター,エッジフィルター(ともにSemrock社製,オプトライン社取り扱い)や光学部 品(主 にシグマ光機)が必要となりました。これには本学オンリーワンプロジェクトと学長裁量経費,並びに,京都工芸繊維大・播磨先生の研究室と本学部同僚の顧萍 先生から現物をご提供いただきました。 下のスペクトルは,新しいシステムとなって最初に測定したシリコン基板のラマンスペクトル(ただしマクロ測定)です。

次に単層カーボンナノチューブの測定例を示します.まずは,マクロ測定の結果です.マクロラマンでもシリコン基板上に成長させた単層カーボンナノチューブ のスペクトルが取れることを確認しました。試料提供は,平田史彦氏(京都工芸繊維大 院M2;現在島津製作所)。本質的な意味はありませんが,顕微ラマンの結果も載せておきます。試料は伊東先生から提供していただいたものです。

以上は,532nm励起の例です。このページを見られた方の中で,何故785nm励起のデータがないのかと不思議に思われているかもしれません。 785nmは,ルミネックス社を輸入元としてCrystalaser社の785nm励起レーザーを保有しています。しかし使い物になりま せん

無冷媒クライオスタット

低温測定用にJanis社製無冷媒クライオスタットを導入しました.ただどうも振動が気になります.建物自身の振動,クライオスタットのコンプレッ サーの振動 双方が加算的に悪さをしています.よって50倍以上の対物レンズを使った測定は実質無理です.なんとか20倍の対物レンズを使っています.

問題はこればかりではなく排気機構にも問題があるようです.一昼夜真空引きしないと在留した水蒸気などが試料表面で結露しているような 像が見られます.名指しさせてもらいます.小島さん,吉野さん何とか対処して下さい.

20倍の対物レンズで観察したクライオスタットの揺れる様子.これでスペックを満足しているのでしょうか.

その他利用可能な装置

システム工学部に電界放出SEM(日本電子)JSM-7610FとRaman/AFM/SNOM装置(WITek; 下の装置)Alpha-RAS+が2014年度中に導入されました。