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光は,一般には色の変化として認識される波長という物理情報をもっています.眼では見分けられない波長の違いの分布を可視化することで,対象の含有成分とその部位の特定を可能にするのが分光イメージング技術です.これは,検出器として撮像素子を利用することがほとんどですが,2次元空間に波長を加えた3次元情報を取得するためには,いずれかの次元に沿った走査のための複数の撮像が必要でした.そこで,圧縮センシングという技術を導入して一度の撮像で分光イメージングを実現する方法が提案されましたが,撮像素子で捕らえる情報の少なさから特に像の端部で画質が低いという課題がありました.私たちは,回折格子を通過した際に波長分散する光と直接通過する光の両方が存在することを利用し,図のような光学系を用いて取得する対象の情報を増やすことで画質を改善することに成功しました.
・Y. Saita, D. Shimoyama, R. Takahashi, and T. Nomura, "Single-shot compressive hyperspectral imaging with dispersed and undispersed light using a generally available grating," Appl. Opt. 61, 1106-1111 (2022).
撮像素子を検出器として用いるカメラと異なり,一つの画素に相当する0次元センサーを用いて像を取得する方法がありますが,この場合は対象への照明の工夫と多数回の光強度測定が必要です.その一種である走査型ホログラフィは,同心円状の干渉縞パターンを照明光として対象上を2次元走査することで,面内のみならず奥行き方向も含めた3次元空間の分布情報を取得できます.しかし,照明光の走査用駆動機構が必要で,光学系の大型化の要因となっていました.私たちは,光の振動方向の違い(偏光)と液晶変調素子の偏光に対する特性を巧く活用した図のような構成を用いることで,機械的な走査機構なく電子的に干渉縞パターンを走査できるようにしました.この手法を応用して,蛍光や偏光,散乱媒質の背後を視るということにも挑戦しているほか,照明方法や解析計算の工夫で測定数を低減することにも取り組んでいます.
・N. Yoneda, Y. Saita, and T. Nomura, "Motionless optical scanning holography," Opt. Lett. 45, 3184-3187 (2020).
・N. Yoneda, Y. Saita, and T. Nomura, "Spatially divided phase-shifting motionless optical scanning holography," OSA Continuum 3, 3523-3535 (2020).
・N. Yoneda, Y. Saita, and T. Nomura, "Three-dimensional fluorescence imaging through dynamic scattering media by motionless optical scanning holography,” Appl. Phys. Lett. 119, 161101 (2021).