研究内容

工事中です。すみません。(もうちょっと文章を減らして、その分図を使ってわかりやすくしたい)

当研究室の概要

 当研究室では、計算機などを利用した理論的な手法で、主に物質のミクロな性質(電子状態)を研究しています。
 すべての物質は原子核と電子から構成されています。量子力学で学んだように、原子や分子あるいはそれらの集合体である物質の性質は、多体のシュレディンガー方程式を解き、電子が各原子核をどうつないでいるかを知れば、だいたい理解できることがわかっています。問題は、多体のシュレディンガー方程式は多変数連立微分方程式であり複雑なため、そのままではどう頑張っても解けないことにあります。そこをあきらめずに、物理的・数値計算的な近似をしてなんとか解こうというのが当研究室を含む全世界の物性理論屋さんの目指しているところです。
 これまでにいろいろな手法が開発されていますが、当研究室が一番得意としているのは、密度汎関数理論(Density Functional Theory: DFT)に基づく第一原理計算です。非常に適用範囲が広い(原理的には、基底状態であれば実在しているかどうかにかかわらずすべての物質をあつかえます。)手法です。当研究室ではDFT計算を利用して新しい物質やその物性を予言したり、実験だけでは解釈が難しい測定結果の理解をサポートしています。
 理論的な研究の1番の醍醐味は、フットワークの軽さです(小田の主観)。実験系の研究室では装置の都合(お金の都合とも言います...。)から、扱える物質や測定できる物性にある程度制限がかけられてしまいます。しかし、理論的な研究では扱いたい物質を(当研究室で)扱えるようになるまで自由にモデル化(近似)することが可能です!!そのモデルが正しいかどうかはとりあえずやってみてから考えればいいのだと思います。興味があることにはどんどんチャレンジしてみましょう!!(そしてもちろん小田自身も鋭意チャレンジ中です。)
 例えば、当研究室で最近DFTを使って研究しているのは、主にナノテクノロジーと呼ばれる分野を中心にいろいろあります。
 
・土壌粘土鉱物を産業応用して福島の環境回復をめざそうというお話
・GaN中の欠陥(特異構造)に関するお話
・混晶化合物半導体の電子状態に関するお話
・ドラックデリバリーシステムの薬剤運搬法に関するお話
・DNAバルジ構造に関するお話
・タンパク質と薬の相互作用に関するお話
・タンパク質の機能をコントロールするお話
・SiやGe表面の酸化状態に関するお話
・Si表面にくっついた有機分子に関するお話
・有機分子結晶の電気伝導に関するお話
・etc...

があります。手法をDFTに限らなければ、もっといろんなことをやっています。物性と言ってもかなり幅が広いことがわかっていただけると思います。 そして、もしみなさんの興味あることがリストになかったとしても、なるべくその興味を満たせるように小田と相談して研究を進めることが可能です。どうせやるなら興味あることを楽しんで研究しようというのが当研究室の方針です。

外部資金

理論・計算系とはいえ、お金があるのとないのではやれることが変わってきます。大変ありがとうございます。
科研費
代表
・令和5-8年度 基盤(C) GaN中における複合空孔欠陥集合反応機構の解明
・令和2-4年度 基盤(C) DDS応用に向けたセラソーム表面モデルの大規模電子状態計算とその開封方法の研究 
・平成31年度-令和2年度 新学術領域研究(研究領域提案型) 電子−格子相互作用による特異構造の移動・変形の理論 
・平成29-30年度 新学術領域研究(研究領域提案型) 特異構造を介してのエネルギー転換機構の理論 
分担
・令和5-8年度 基盤(B) 大規模第一原理計算によるGaN中格子欠陥、不純物の複合構造モデリング (代表:宮崎剛@NIMS)
・令和4-5年度 挑戦的研究(萌芽) 土壌粘土鉱物を利用した熱電変換材料の創製 (代表:本田充紀@JAEA)
・平成21-23年度 基盤(C) 混晶化合物半導体における電子正孔生成消滅過程の研究 (代表:篠塚雄三@和歌山大) 

その他
・令和5年度 九州大学応用力学研究所共同研究「パワーデバイス半導体中における欠陥移動反応機構の解析」
・平成31年度-令和2年度 文部科学省「省エネルギー社会実現に資する次世代半導体研究開発」GaN内Mgのクラスタリング(偏析)の計算科学的研究(受託研究:物質材料研究機構)
・平成30年度-平成31年度 NIMS連携拠点推進制度 GaN中の転位に関する大規模電子状態計算
  

発表論文

少しづつでも増やしたい!でもなかなか難しいですね...。みなさん手伝ってください。

・Adiabatic Potential for Conformational Change of VGa–VN Complex Defects in GaN, J. Nakamura, M. Oda, and Y. Kangawa, Phys. Stat. Solidi B, 2024, 2400026, (2024).
・Electronic structures of iodine-doped lithium phthalocyanine crystals, Masato Oda and Noritake Koike, Phys. Stat. Solidi B, 260, 2200544, (2023).
・Theoretical Study on Adsorption State of Chemisorbed Oxygen Molecule on Partially Oxidized Si(001) Surface, Nao Kadowaki, Masato Oda, and Jun Nara, Jpn. J. Appl. Phys., 60, 125501 (2021).
・Investigation of GaAs and AlAs atomic-layer epitaxial growth mechanism based on experimental results and first-principles total energy calculation, Nobuyuki Ohtsuka, Masato Oda, Takashi Eshita, Ichiro Tanaka, Chihiro Itoh, Jpn. J. Appl. Phys., 59, SGGK16 (2020).
・Study on the initial growth mechanism of (ZnO)1−x(InN)x using first-principles calculation, Ryota Furuki, Masato Oda, Yuzo Shinozuka, Jpn. J. Appl. Phys., 59, SGGK11 (2020).
・Electronic structures of a cerasome surface model, Masato Oda, Jpn. J. Appl. Phys. 58 SIID04, (2019).
・Investigation of the electron-phonon interactions around Ga vacancies in GaN and their role in the first stage of defect reactions, Masato Oda, Jpn. J. Appl. Phys. 58 SCCC16, (2019).
・Electronic structure of (ZnO)1-x(InN)x alloys calculated by interacting quasi-band theory, R. Furuki, M. Oda, and Y. Shinozuka, Jpn. J. Appl. Phys. 58, 021002, (2019).
・ First-principles calculation of electron-phonon coupling at a Ga vacancy in GaN, T. Tsujio, M. Oda, and Y. Shinozuka, Jpn. J. Appl. Phys. 56, 091001, (2017).
・Electronic structure calculation of Si1-xSnx compound alloy using interacting quasi-band theory, M. Oda, Y. Kuroda, A. Kishi, and Y. Shinozuka Physica Status Solidi B, 254, 1600519, (2016).
・ First-principles Calculation of Initial Oxidation Process on Ge(100) Surfaces, T. Mizukoshi and M. Oda, Jpn. J. Appl. Phys. 55, 08PE03_1-4, (2016).
・ Interacting quasi-band model for electronic states in compound semiconductor alloys: Wurtzite structure, A. Kishi, M. Oda, and Y. Shinozuka, Jpn. J. Appl. Phys. 55, 051202_1-7, (2016).
・ Interacting quasi-band model for electronic states in compound semiconductor alloys: Zincblende structure Y. Shinozuka* and M. Oda, Jpn. J. Appl. Phys. 54, 091202_1-6, (2015).
・ Evaluation of Stretching Properties of [7] Thiaheterohelicene Framework Called "Molecular Spring" Using AFM Force Measurements and Electrostatic State Calculations Y. Nakahara, M. Higashi, R. Funayama, Y. Horii, H. Osuga, H. Sakamoto, M. Oda, S. Kado, and K. Kimura*, Bull. Chem. Soc. Jpn. 88, 544-550, (2014).
・ Optical Ionization of a Phenylalanine on C(111) surfaces M. Oda*, Trans. MRS-J. 38[3], 381-383, (2013).
・ Electronic State of a Lipid Membrane Reinforced with Siloxane Bond S. Yabushita, M. Oda*, and Y. Shinozuka, e-J. Surf. Sci. Nanotech. 12, 112-114, (2013).
・ Origin of Electronic Transport of Lithium Phthalocyanine Iodine Crystal N. Koike, M. Oda*, and Y. Shinozuka, AIP Conference Proceedings, 1566, 183-184, (2013).
・ Stable Structure of di-amino-terphenyl molecule on Si(001) Surfaces M. Oda*, Physica Status Solidi C9, 1443-1445, (2012).
・ Energy-Level Alignment, Ionization, and Stability of Bio-Amino Acid/Si Junctions M. Oda* and T. Nakayama, Jpn. J. Appl. Phys. 47, 3712-3718, (2008).
・ Electron Transport in a p-stacking Molecular Chain W. T. Geng*, M. Oda, J. Nara, H. Kondo, and T. Ohno, J. Chem. Phys. B112, 2795-2800, (2008).
・ Optical Ionization of Amino Acids Using Amino-acid/Semiconductor Junctions M. Oda*, T. Nakayama, and T. Ohno, Proc. 28th ICPS, 1461-1462, (2007).
・ Charge Injection from Si substrate into Amino Acids M. Oda* and T. Nakayama, Jpn. J. Appl. Phys. 45, 8939-8942, (2006).
・ Electronic state control of amino acids on semiconductor surfaces M. Oda* and T. Nakayama, Appl. Surf. Sci. 244, 627-630, (2005).
・ Control of amino-acid electronic structures on semiconductor surfaces M. Oda* and T. Nakayama, Proc. 27th ICPS, 1089-1090, (2005).

ページのトップへ戻る