2021-01-29
ニホンオオカミの復元と仮想生態観察システムの開発
ニホンオオカミの復元とその生態を観察できる展示システムの開発を行っています。ニホンオオカミは100年以上前に絶滅した動物であり、その剥製は世界に4体しかありません。その内の1体である和歌山大学の剥製は、その形状が不自然であることが報告されています。また、剥製は貴重なものであるために保管が優先され、一般に公開される機会は少なくなっています。そこで本研究室は、CGを用いてニホンオオカミの骨格からその本来の姿の推測と復元を行い、彼らの生活する様子をVRで観察できる展示システムを開発しています。 復元では、初めに三次元スキャナーを用いてニホンオオカミの全身骨格を計測し、三次元モデルにしました。次に、イヌの解剖学を参考に骨格の三次元モデルに対して肉付けを行いました。最後に、計測を行った剥製の体毛の長さ(図)と色を参考に、肉付けを行った三次元モデルに体毛を作成することで復元を行いました。 生態再現システムでは、まずタイリクオオカミの動きを参考に三次元モデルへのモーション付けを行いました。次に、それぞれのオオカミが自律的に行動するようにプログラミングを行うことで、遠吠えや追いかけっこをして群れで生活する様子と、シカを追いかけて狩りをする様子を再現しています。 骨格から推測されるニホンオオカミの本来の姿と、絶滅したために見ることができない彼らの生活する様子を観察できるシステムを開発することで、ニホンオオカミの教育・普及への貢献を行います。 なお、本研究はJSPS 科研費17K00507の助成を受けたものです。ここに謝意を表します。