背景と目的

学習や作業において,集中した状態で取り組むと,効率的かつ,ミスの発生を抑えることができるため,集中力の向上が重要な要素となっています.

しかし,学習や作業に集中したいが,集中が続かない,気が散ってしまうという状況は存在します. 集中が続かない主な要因として,3つ考えられます. 1つ目は,体調不良や寝不足といった「健康面の問題」です. 2つ目は,学習や作業の量や,難易度が見合っていないといった「タスク管理能力の問題」です. 3つ目は,周囲の人やものが気になるといった「環境面の問題」です. 本研究ではこの3つのうちの「環境面の問題」に焦点をあてます. この問題を解決する方法の1つとして自習室の利用が考えられます. 自習室では,それぞれの机が仕切りで区切られている場合や,余計な物が少ない場合が多いです. しかし,自習室のような,学習や作業に集中するための取り組みに特化している場所は限られます.

そこで,本研究ではスマートグラスを用いてAR空間上で仮想の壁を表示し,周りの人や物を見えなくすることで,学習や作業に取り組む際の集中力を向上させる手法を提案します.

システム概要

本システムはスマートグラスを用いたAR空間上で仮想の壁を表示します. スマートグラスはVR・ARデバイスの中では軽量で,ハンズフリーであるため,学習や作業にもちいることができます.

図1にシステムの構成を示します. まず,端末上で仮想の壁を表示するアプリを動作させ,それをスマートグラスを通して利用者に仮想の壁を見せることができます.

システム構成図
図1. システム構成図

また,仮想の壁は利用者の側面に表示されます.これによって,周りの人やものが見えないようになり,正面にある学習や作業のみに集中することができます.

図2に本システムを利用している様子を示します.

利用の様子
図2. 本システムを利用している様子

デモムービー

本システム利用者の視点の映像です.

発表

  1. 森川聖也,吉野孝:スマートグラスを用いた視界の制限による集中力向上手法の提案,情報処理学会,第85回全国大会,5ZF-03

連絡先

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