背景と目的

日本は世界でも有数の地震多発地帯です.地震の発生は予測が困難であるため,日頃から地震に備えて防災意識を高く保つ必要があります. しかし,大災害が起こった直後には意識が高まるものの,時間の経過とともに意識が薄れる傾向が見られます. また,自分が住んでいない地域やよく知らない地域で起きた地震について,その規模の大きさや影響範囲を直感的に把握することも困難です.

そこで本研究では,地震発生地域の地図情報と,ユーザの身近な地域の地図情報を重ね合わせる機能を持ったチャットボットを提案します. 提案システムは,地震情報と2つの地図を重畳してユーザに提示します.これにより,地震発生地域とユーザにとって身近な地域の対比を容易にし,直感的に地震の規模や範囲を把握することを可能にすることで,継続的に防災意識の向上を促すことを目指します.

システム構成

本システムはLINE上で動作するチャットボットとして構築します. 図1にシステムの構成を示します.

システム構成図
図1. システム構成図

(1) ボット機能

本システムでは,地震情報に対して定期的にリクエストを送信し,最新の地震情報を取得します.震度4以上かつユーザに対して未通知の地震情報が得られた場合,その情報をユーザに対して通知します(図1(a1)). ユーザからリアクションとして位置情報を含むメッセージが送られてきた場合は,その位置情報を地震情報とともにサーバに送信します. その後,震源地や観測地の震度ごとにピンをさし,震度分布図を作成します. その上に,ユーザから送信された位置情報周辺の地図画像と震度分布を重ね合わせた地図を作成します(図1(a2)). また,生成した地図をWeb上で閲覧するためのURLをユーザに送信します.

(2) チャット機能

ユーザから「最新の地震情報を教えて」とメッセージが送信されると,震源地や震度情報を含む最新の地震情報を送信します(図 1(b)).

面積対比画面

本システムの面積対比機能の画面例を図2に示します.

地震発生地域の地図情報と,ユーザの身近な地域の地図情報を重ね合わせます.

対比画面例
図2. 面積対比画面例

参考文献・発表

  1. 井田真実,吉野孝: 災害情報可視化による防災意識向上を促すチャットボットの提案, 情報処理学会,第85回全国大会,6ZJ-03,(2023).

連絡先

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