About project

移動することは人の本質でもあり、移動に対するニーズはますます個別化、高度化している。
また、高齢社会となり移動能力の不足を補う技術が求められている。
本プロジェクトでは、和歌山大学の各研究者が行っている要素技術を統合し、パーソナルモビリティの自動運転システムを構築する。
今後の本分野の研究開発を活性化し、企業、地域と大学の連携につなげ、社会に貢献する。

Technologes for PMV Self Driving System

自動運転システムを構成する技術

Mapping

自動運転を行うためには、どこにいるのか、どこにいくのかなどを決めるために「地図」情報が必要である。
地図作成手法の例として、例えば以下がある。

1. 3次元測量による地図作成手法
2. NDT Mapping 手法

3次元測量による地図作成手法

- 使用機材 Leica ScanStation C10
- レーザースキャナで障害物との距離を計測
- RGBカメラでその点の色を取得
- 上記を点群データに反映

Leicaカタログより抜粋

Point Cloud Map (campus of wakayama university)

NDT Mapping 手法

・2つの点群データをマッチングさせるためにNDTアルゴリズムを用いて地図を作成

NDT Mapping手法を用いて作成した Point Cloud Data 地図

Normal Distribution Transform (NDT) とは

・探索空間内にある点群データを格子状(ボクセル)に分割し、各格子内の点群データから正規分布準備し、参照スキャンデータとし、センサデータとマッチングを行う手法

Normal Distribution Transform


Route planning

・目的地はどこ?
・どういう経路で行く?
・障害物がある、どうする?

Planner

目的地に向かって、どの方向に、どの程度の速度で進めばよいのか決める必要がある。
そのために、二つのプランナーを使用する。

Global Path Planner

→大域の経路を作成
ゴールまでの大まかな経路を作成する。

Local Path Planner

→局所的な経路を作成
目的地に向かっている最中に生じる障害物への対応などのために経路を修正、更新する必要がある。

Global Path Planner で使われる代表的な手法

・Grid Path
フィールドをグリッドに区切りグリッド毎のコストを計算し経路を生成

・Simple Potential Calculation
簡易的な人工ポテンシャル法

・Dijkstra's Method
最短経路探索手法

Dijkstra's algorithm

・A*Path
Dijkstra's Methodに“現時点までの距離”と“ゴールまでの推定値”の概念を追加し拡張したもの

Local Path Planner

主要な二つの技術

・Trajectory Rollout Algorithm
B. P. Gerkey and K. Konolige, “Planning and control in unstructured terrain,” in ICRA Workshop on Path Planning on Costmaps, 2008.

・DWA -Dynamic Window Approach-
Fox, D.; Burgard, W.; Thrun, S. “The dynamic window approach to collision avoidance.” IEEE Robotics and Automation Magazine 1997, 4, 23–33.

[Trajectory Rollout Algorithmの概要]

1.ロボットの速度から次の周期の経路候補を作成

2.障害物までの距離、目標地点までの距離、グローバルパスへの追従、速度を考慮して各候補軌道を評価する

Obs: 軌道上のグリッドのコストを足したもの
Gdist: 軌道の終点から目的地までの最短経路
Pdist: 軌道の終点から目的地までの最適経路
𝒙 ̇ : 軌道を構成するのX成分(並進成分)

3.各経路候補から障害物に衝突するものを棄却

4.評価式で得られた中で最適ものを選ぶ

Trajectory Rollout Algorithm

Cost map

移動の難しさをコストとして地図上に示したもの

・グローバルコストマップ
大域的な地図で全体を把握

・ローカルコストマップ
局所的な地図で逐次的な変化を反映させる

Locl Cost Map / Global Cost Map

Locl Cost Map : ロボットを中心とし、周囲の情報を表す地図障害物を反映。

Global Cost Map : Point Cloud Dataを表示しないとコストマップが見える。

Updating Cost Maps for Obstacles

・3D Lidarを用いて外界をセンシング
・認識指定範囲に反射点があれば障害物として3次元的に認識し、2次元コストマップ上に反映し、コストマップを逐次更新する

左:障害物がない状態/右:PMVの前を人が横切っている状態


Localization

各種センサを用いて現在のロボットの位置や姿勢を推定する

Localization

PType WAにおける自己位置推定手法:
3次元の点群データで構成された環境地図に対して、3D Lidarを用いて取得した点群データをNDTアルゴリズムを用いてマッチングする。

代表的な自己位置推定手法例

GNSS
(Global Navigation Satellite System)

【主なセンサ】
GPS・GNSS受信機

【利点】
地図が不要

【欠点】
屋内空間などの閉鎖空間では大きな誤差
衛星からの信号の受信情報に大きく影響

Odometry

【主なセンサ】
エンコーダ、加速度センサ、
地磁気センサ、IMU

【利点】
どこでも使用が可能

【欠点】
路面環境の影響などを受けやすい
誤差の蓄積が発生

Scan Matching

【主なセンサ】
レーザセンサ、レーダセンサ、
カメラセンサ

【利点】
高精度位置推定が可能

【欠点】
特徴点のない範囲では誤差が生じる
地図データが必要

What is a project goal?

近距離の移動を支援するパーソナルモビリティの自動運転技術が必要になってくる。
自動車と比較して低速な移動体であり、自動車での自動運転の実用化よりも、実用化しやすい分野だろう。

しかし、パーソナルモビリティの移動路面は歩行する際の移動路面と同様であり、そこには段差含めた不整地路面が存在する。
つまり、平面での移動が前提となる自動車とは違って、3次元的な移動が求められる移動体の自動運転という点が特徴となる。

本プロジェクトの目指すところは、3次元的な移動も可能なパーソナルモビリティの自動運転システムの構築である。
これが実現できると応用範囲は広く、例えば次のような移動サービス分野に応用できる。

Icon

近距離の自動運転機能を活用する
サービス分野

Icon

過疎地や高齢者を対象とした
自動運転活用サービス分野

Icon

災害時などの移動支援、
あるいは、運搬サービス分野

今、自動運転技術の進展に伴い、世界的にも新しいモビリティサービスについての議論やシステム開発【例えばMaaS(Mobility as a Service)、SAVS(Smart Access Vehicle Service)、dカーシェア、ロボネコヤマトなど】も行われ始めている。
3次元に移動できるPMVの自動運転が実現できれば、モビリティサービスの重要な一翼を担うことになるだろう。

Project result

2017年7月に本プロジェクトがキックオフした。
2019年3月の段階で、以下の項目を搭乗デモ可能なレベルで開発した。
・段差なども移動可能なパーソナルモビリティビークル RT-Mover PType WAの開発
・RT-Mover PType WAあるいは市販されているWHILLによるキャンパス内自動運転システムの開発

Project members

2017年7月~2019年3月

代表 中嶋秀朗
和歌山大学システム工学部 教授

長瀬賢二 和歌山大学システム工学部 教授

中村恭之 和歌山大学システム工学部 教授

吉野孝 和歌山大学システム工学部 教授

八谷大岳 和歌山大学システム工学部 講師

辻本勝久 和歌山大学経済学部 教授

永瀬節治 和歌山大学観光学部 准教授