■「まかせられる人材」育成セミナー

科学技術創造立国日本を支えるためには、個々の専門知識を単なる知識に留まらせず、それらを有機的に組み合わせ、活用する統合力が求められています。

例えば、科学教育においては実験の目的を理解し、その為に必要な計測器機を実践的に組み立て、利用できる人材や、産業界においては自然科学と人文社会科学を総合した英知をもち、新たな産業資源の発見ができる人材が求められています。

しかし、これまでの大学では一つの分野でのみ秀でた研究者の養成しか行われておらず、産業を支えるための新しい人材養成のシステムの創設が急務となってきました。

そこで、和歌山大学宇宙教育研究所は、「技術力:ものづくり」「組織力:ひとづくり」「創造力:ことづくり」を柱とした新たな教育プログラムを推進し、幅広い知識を有機的に組み合わせ活用する統合力をもった人材、創造性豊かで計画を自ら立案し実行する実践力をもった人材をプロジェクトマネージャーとして育成することを目指しています。これは従来の知識伝達型の座学や、あらかじめ結果が想定された予定調和的な実験を中心とした教育ではなく、文理融合型の知識や技術を組み合わせ、社会の求める、より実践的・複雑なプロジェクトマネジメント力を育成しようというものです。

課題探求能力を育み、実践との関わりから深く学ばせる教育方法の導入など、確実な基礎の上に広い視野と柔軟な思考力を培う教育の実現のため、広く経験者の持っている経験知を活用することは信頼性の高い教育システム作りやプロジェクトマネジメント力の育成を目的とした教育体制を整えていく上で非常に有効であると考えています。

本セミナーは、宇宙教育研究所が掲げる「まかせられる人材」育成に有益な情報を提供すると同時に、セミナーで学習した内容を本研究所のスタッフが教育現場で実践していくことでより良いフィードバックが生まれることが期待されています。

■これまでのセミナー

第3回

日時
2012年3月6日(火) 19:00~21:00
場所
和歌山大学 総合研究棟2F(S204)
講師
織田 裕行(関西医科大学附属滝井病院精神神経科 助教)

第2回

日時
2012年1月10日(火) 19:00~20:30
場所
和歌山大学 総合研究棟2F(S204)
講師
織田 裕行(関西医科大学附属滝井病院精神神経科 助教)

第1回

日時
2010年10月5日(火) 19:00~21:00
場所
和歌山大学 総合研究棟2F(S201)
講師
織田 裕行(関西医科大学附属滝井病院精神神経科 助教)
講演タイトル
精神の病理を通してわかること
概要
20世紀の後半において急速に進行した産業化社会から情報化社会への変遷は、内包の縮小と外延の拡大をもたらし、近代において存在した二元的対立軸を現代にみられる相対的なものとし、結果として境界線の喪失という現象を生んでいると考えられます。一方、社会と個人の関係に目を向けると、特に戦後希薄化した役割意識の変容は、罪業感を呈するよりも自己自身への愛着が優先される傾向をもたらし、結果として他罰的行動へと展開しやすい状況を生んでいると考えられます。
本講演では、現代という時代性を帯びた精神の病理について、精神疾患の中でも比較的認知度が高いと思われる統合失調症と気分障害に触れつつも、可能な限り身近なものとして述べていきたいと思います。