1背景と目的
近年の携帯情報端末の発達から,様々な用途のツールが個人の生活に浸透しています.ビジネス社会では個人の自己管理力や生産向上性が求められる傾向にあり,一般向けのタスク管理ツールはより身近で日常的に感じられるものとなりました.巧みな時間管理術の習熟には,タスク量が多いビジネスマンになる前の学生の頃から対策を行うべきです.しかし,一般的なタスク管理システムから抱かれる堅苦しい印象は,学生が積極的な管理習慣を身に付け始める障壁になっていると考えられます.
本研究では,個人の日常的なタスクの共有について提案しています.また,To-Doリストの普及を目的に, 共有タスクの公開掲示を行うことで,個人のもつタスク管理への抵抗感の減少や動機付け支援を行います.
2公開掲示
ここでは,大画面上に個人の公開タスクを掲示する仕組みを示しています.タスクの公開掲示を行うシステムは,構内の人通りの多い場所に設置され,多くの学生に気軽に操作をしてもらうことを想定しています.
図1のように,登録・管理システムの利用者は,公開掲示システムの利用者に管理タスクを任意で公開することができます.この仕組みから,システムはタスク管理未経験者を含む利用促進支援を行います.
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図1. システムの利用者と公開タスクの関係 |
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3ぷくりすの概要
To-Doリスト利用促進システム「ぷくりす」は,図2のように3つのサブシステムとデータベースで構成されています.
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図2. ぷくりすの構成 |
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ユーザは,PCなどから「ぷくりすの泉」(左上),あるいはスマートフォンなどから「ぷくりすの庭」(右上)を利用し,ぷくりすにタスクを登録します.登録されたタスクはデータベースに送信され,“公開”に設定された全ユーザのタスクが「ぷくりすの海」(下)に公開されます.一方で,ぷくりすの海の利用者は公開タスクについて“共感”することができ,この共感数がタスク管理利用者へのフィードバックとなります.
4登録・管理サブシステム
「ぷくりすの泉」と「ぷくりすの庭」の2種類があります.ここでは,「ぷくりすの泉」の主な機能について以下に述べます.
(1) タスクの登録・管理機能
ぷくりすの泉では,図3のように動詞を用いた文章を入力してタスクを登録します.ユーザは,他のユーザが公開しているタスクを参考にしながら登録内容を考えることができます.
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図3. ぷくりすの泉の登録画面 |
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また,入力する動詞の活用を変更することで,図4のように様々な分類のタスクを登録できます.この分類は,タスクの達成状況によっても自動で変更されます.
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図4. タスクの分類と達成状況による変化 |
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(2) ポイント機能
タスクを達成することで,ユーザごとにポイントが蓄積されます.保留タスクの達成から得られるポイントは少なく,この仕組みからユーザに早めの達成を促します.
(3) 公開タスクの応援機能
他のユーザが公開するタスクについて“共感”することができます.タスクに与えられた共感数は,達成時にユーザが得られるポイントを増加させます.
5公開掲示サブシステム
「ぷくりすの海」では,大画面のタッチディスプレイ上に個人の公開タスクをランダムに掲示しています.
システムの閲覧者は,100種類以上のコメントの中から好きなコメントを選択してタスクに“共感”することができます.
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図3. ぷくりすの海の画面例と設置例 |
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6デモムービー
口頭発表
- 谷岡遼太,吉野孝:タスクの公開提示によるToDo リスト利用促進システムの提案,情報処 理学会第75 回全国大会,1ZC-5,第4 分冊,pp.243-244 (2013-03).
- 谷岡遼太,吉野孝:タスクの公開提示によるToDo リスト利用促進システム「ぷくりす」の 開発,情報処理学会,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2013)シンポジ ウム,pp.1387-1394 (2013-07).
- 谷岡遼太,吉野孝:利用者のタスク管理意識に影響を与えるTo-Do リスト管理Web システ ムの開発,情報処理学会関西支部支部大会,E-04,pp.1-4 (2013-09).
- 谷岡遼太,吉野孝:タスクの公開提示によるToDo リスト利用促進システム,情報処理学会, エンタテインメントコンピューティング2013(EC2013),pp.196-199 (2013-10).
連絡先
- 谷岡 遼太:s155024 at center.wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝:yoshino at sys.wakayama-u.ac.jp