1 背景と目的

学生の質問行動は,講義内容の理解度を深める上で非常に有益である一方で, 学生にとって,質問を始めとする自主的な発言には少なからず心理的な抵抗感があるとされています. 原因として,気恥ずかしさや,周囲から自身の能力を低く見られることを恐れることなどが挙げられます.

そこで本研究では,大学講義における学生の質問行動を促進することを目的としたチャットボット「SUSAN」を開発しています. SUSANは,LINE上で利用できるチャットボットで,教員と学生の質疑応答を仲介し,学生がより手軽に質問できることを目指しています.

また質問者は匿名化された上で,質問内容を他の学生にも共有することで, 自分だけでは気づけなかった理解不足箇所を見つけたり,新たな気づきを得ることができると考えています.

2 SUSAN

SUSANはLINE上で動作するチャットボットで, スマートフォンやPCにインストールされているLINEアプリケーション上から利用できます.

システムの構成を図1に示します. ユーザによって入力されたメッセージは,(a)質問対応機能によって入力解析と応答メッセージの生成が行われます. 質問文が入力されると,匿名で教員に回答依頼を行います. 既に類似する質問が投稿されていた場合は,その質問文と回答文をユーザに自動で返答します.

また質問および回答は,(b)質問共有機能によって他のユーザも自由に閲覧することができます. こちらはユーザ自身が能動的に質問を一覧で確認できるだけでなく, 教員が質問に回答する際に,重要な質問が投稿されたと判断したものを全ユーザに一斉通知することもできます.

システム構成図
図1. SUSANのシステム構成

3 システムの機能

(1) 質問投稿機能

図2(a)はシステムのメイン画面です. LINEアプリケーションのトーク画面から,対話形式で利用することが出来ます. システムからの応答には文を入力するだけでなく,ショートカットボタンを押すことでも返答が可能です.

図2(b)は質問を入力した際の動作画面例です. 質問文を入力すると,確認の後,匿名で教員に回答依頼を送ることができます.

動作画面例1
図2. 基本機能の動作画面

(2) 質問共有機能

質問の際,既に他の学生が類似する質問をしていた場合は,その質問と回答を自動回答として提示します. 自然言語処理により,多少表現が異なる場合であっても柔軟に対応することを試みています.

また過去に投稿された質問はすべて閲覧可能です. Webアプリケーションとの連携により,LINEトーク画面からシームレスに表示される専用ブラウザを利用しています.

動作画面例2
図3. 自動回答と質問一覧の動作画面

4 デモムービー

参考文献・発表

  1. 鈴木舜也,吉野孝: 質疑応答のお知らせ機能をもつ授業支援チャットボットの提案, 情報処理学会関西支部支部大会講演論文集,D-03,pp.1-4,(2021).

連絡先

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