1 背景と目的
これまで,ネットスーパーと実店舗の傾向比較は,あまり行われてきませんでした.しかし,ネットスーパーの商品の購発注された際,実店舗の陳列されている商品を取ってくるため,ネットスーパーの売り上げを考慮せずに店舗のみの在庫だけで管理を行うと,ネットスーパーによって売れた商品の影響により,実店舗では在庫切れといった状態に陥る可能性が考えられます.また,実店舗側でもネットスーパーの大量購買により陳列商品が抜けていると,新規の買い物客から見てもその店舗の商品の品揃えが良くないといった悪い印象を与えてしまい,次回の買い物では自店舗では購入してもらえない可能性も考えられます.これらのことを防ぐためにも,実店舗だけでなく,ネットスーパー側の売上や利用ユーザの購買傾向を知る必要があると考えられます.
そこで,本研究では,ネットスーパーと実店舗を比較することで,ユーザ間で購買傾向の違いを把握し,これまで行われてこなかったネットスーパーのマーケティング戦略の確立を行います.
2 分析内容
分析対象となる商品は,ネットと実店舗の双方で売り上げが記録された約4500品目の商品となっております.
(1) 客数や売上における変数重要度を算出
バスケット分析によって,商品をリフト値別で2種類に分類します.そしてその分類商品に対して,ランダムフォレストを使用した変数重要度の算出により,関連性の高い目的変数と属性を特定します.
図1.変数重要度(曜日) |
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図1の結果から,目的変数が特売金額の場合,平均気温や曜日といった属性において高い変数重要度が見られました.
(2) 説明変数ごとの要約統計量の算出
特売金額において平均気温と曜日といった属性から差が見られたので,それらを属性間で分類し平均値の算出を行いました.また,その平均値の割合値を算出し,リフト値による分類またネットと実店舗による分類ごとでどのように推移が見られるかを図2で可視化しました.
図2.割合値推移(曜日) |
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結果として,平均気温と曜日において割合値推移が見られました.
発表
- 下津 拓未,吉野 孝,貴志 祥江,大西 剛,松山 浩士:実店舗と比較したネットスーパーの併売商品の分析,情報処理学会,第83回全国大会,1ZD-06
連絡先
- 下津 拓未 :s236133[at]wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝 :yoshino[at]wakayama-u.ac.jp