1 背景と目的
既存の在室管理システムは,認証にIDカードを用いるものがほとんどである. しかし,IDカードによる認証では,読み取りエラーやカードをかざすわずらわしさ,渋滞しやすいといった問題点がある.
そこで,認証にIDカードを用いない在室管理システム「Docoitter SK Ⅱ」を開発した. カードを用いず個人の入退室を識別する手法として「SHAL:俯瞰視画像から個人再識別のための特徴記述法」がある. SHALを利用することで在室情報の自動更新が可能になると考えた. 本システムでは,SHALを利用した人物の入退室識別と可視化システムによる在室情報提示を行った. 本システムの有用性を示すために,研究室内の利用者間および外部とのコミュニケーションを促す効果の検証実験を行った. その結果,本システムが研究室内のコミュニケーションを促す効果がある可能性があることがわかった.
2 システム構成
図1に Docoitter SK Ⅱ のシステム構成を示す.
本システムは,図1の左上(A)に示す在室状況管理システムと,図1の右下に示す可視化システムから構成される.
(A)在室状況管理システム
(1)顔認証データリクエスト
本システムで利用しているSHALは,図2のようにドアの下を通過した人物の俯瞰視画像から
特徴量を抽出し,入退室を識別する.
SHALは人物の入退室は識別可能だが,「その人物が誰か」という情報を取得できない.
そこで,人物特定のため,1日の初回入室時のみ,顔認証データをサーバへリクエストする.
(2)顔認証データ取得
サーバは,顔認証データのリクエストを受信すると,顔認証データが格納されているSenseLink Cloudから顔認証データを取得する.
(3)入退室データ送信
初回以降は,入退室データのみをサーバに送信する.(4)在室状況更新
サーバは,受信した入退室データをもとに,在室状況のデータベースを更新する.(B)可視化システム
(5)在室状況データリクエスト
可視化システムからサーバへ現在の在室状況データのリクエストを送信する.
(6)在室状況データ取得
サーバは,在室状況データのリクエストを受信すると,在室状況データベースのデータを可視化システムに
送信する.
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図1.システム構成図 |
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図2.SHALで認識された俯瞰視画像 |
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3 デモムービー
参考文献・発表
- 酒井 航太,吉野 孝,呉 海元:プライバシーを考慮したカードレス在室管理システムの提案,2021年度 情報処理学会 第83回全国大会 講演論文集,No.83,Vol.4,pp.157--158(2021).
連絡先
- 酒井 航太:s226104[at]wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝 :yoshino[at]wakayama-u.ac.jp