背景と目的

施設などの建築する際の土地の区画割において,現在多くの現場では様々なルールに基づいて専門家が手動で作成するというものになっています. しかし,区画割にはそれぞれの家の日当たりや公園の場所など,様々な要素が関係してくるため, 自然と完成までの工程も増え,完成まで平均すると約三日もかかってしまいます.

また,区画割の結果に絶対の正解はなく,個人の経験が大きくされるため,人の数だけ完成図が存在します.

そこで本研究では,様々な要因から多くのパターンを試すことができないという区画割の問題を解決するために区画割自動化の手法を提案します.

システムの流れ

本システムは完成までに大きく分けて4つの工程があります.以下に詳細を記します.

  1. 座標情報の入力
  2. 区画割の対象となる敷地の座標データを読み込み,敷地を形成していきます.
  3. 対象区画の求積
  4. 敷地内に建てる家の戸数を決定するために,対象区画内の面積を求めていきます.
  5. 宅地配置の算出(図1)
  6. 対象となる図形内部に2で求めた個数の円をランダムで配置します. それぞれの円を同じ割合で拡大させていき,敷地内に完全に充填されると操作を終了します.
  7. 結果の描画・出力
  8. 上記の手順で充填された円の中心座標を母点とし,ボロノイ図を作成します. その後,作成された図をDXFファイルなどで出力します.
システム構成図
図1.宅地配置算出の流れ

結果の評価

出力された結果の良し悪しを判断する材料として,評価関数を定義しました. 判断しやすいように,各要素を0から1で算出し,任意の倍数をかけることで1000点満点での表示にしました.

実際に評価に使用したものは以下の3点になります.

(1) 面積充足率

これは各区画が,目標としている面積からどれくらい離れているを表す指標になります.

今回は100㎡を目標面積として,それに対する差を計算しました.

(2) 内角比

これは,各区画が,正多角形からどれくらい離れているのかを現す指標になります.

例えば,全ての角度が90°の四角形の場合内角比は1になり,角度の最大が120°,最小が60°の場合は0.5という結果になります.

(3) 接道率

これは,区画がどれくらい接している道を持っているのかを表す指標になります.

最終的な宅地の進入経路になるため,三つの指標の中では優先順位が一番高いものとなっています.

結果

出力結果
図2. 出力結果

・得点が高かった例

道に面している区画が多く,接道率の点数が高くなりました. また,全体的に面積が一定であり,目標面積に近しいものが多くありました.

・得点が低かった例

極端な面積が多く,道に接している区画も多くはありませんでした.

口頭発表

  1. 實成翔,吉野孝,村井徳彦: 土地利用計画図作成における区画割自動化手法の提案,情報処理学会第84回全国大会,6ZJ-02

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