背景と目的
近年,XRを利用したコンテンツは多く開発されており,さらにはスタンドアロン型のVRが普及し始めるなど XRコンテンツを容易に利用できる環境が整いつつあります.最近では,コロナウイルスによる影響により外出自粛の影響下 においても自宅で利用できるXRコンテンツの需要が高まっています.XRコンテンツでは,ユーザに体験を提供する観点に おいて,没入感や臨場感という要素がとても重要なものとなっています.この没入感を増加させるという問題に対しては, 様々な方面からアプローチが行われています.
また,遠隔会話ツールなどの他の空間にアクセスするコンテンツにおいては,対面環境よりも接続先に対して心理的 な距離を感じてしまう問題点があります.これは,遠隔地への空間接続感や同室感の欠如が原因である可能性が考えられます.
そこで本研究では,私生活で利用され,空間の移動を連想させることができるドアに 着目し,現実においてのドアの「突っかかり」の力をユーザに再現,提示することで仮想空間 における没入感や空間接続感を向上させる手法を提案します.
システムの概要
本システムは,糸の張力によりドアの突っかかりを表現するシステムです. ユーザはVR機器を装着し,ドア型インタフェースを開こうとすると突っかかりの触覚再現を受けます. 図1にシステム構成を示します.現実空間のユーザとインタフェースの情報をAzureKinectやVR機器であるOculusQuest2により 入手します.入手した情報を仮想空間に反映し,ユーザに視界情報として提示するサイクルでシステムは動きます. 触覚提示は現実空間のインタフェースからユーザに行われます.
図1. システム構成 |
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(1) ドア型インタフェース
ドア型インタフェースを図2に示します.現実空間においてユーザが直接触れ,触覚再現を行う部分 となっています.サイズは縦40cm横35cmとなっています.
図2. ドア型インタフェースの外見 |
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(2) 現実空間と仮想空間の同期
この機能は視覚上現実空間と仮想空間のモノの位置をリアルタイムに合わせるものとなっています. 同期しシステム利用時のユーザの視界と第三者から見たユーザの様子を図3に示します. 機能の対象物としては「ドア型インタフェース」と「ユーザの手」の2つを対象としています. 単純に位置を合わせるのみではなくドア型インタフェースやユーザの手の細かい動きや開閉角度 も同期を行うことができます.
図3. 同期の様子 |
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(3) 触覚再現
触覚再現はドア型インタフェースにおいて糸による張力によって行います. この糸の両端はドア枠の裏側に固定されており,これによりドアが一定の角度まで 開くと張力が作用します.張力作用時のドア型インタフェースの上から見た様子を図4に示します.また糸の長さを変えることで張力が作用する角度を変える ことができます.
図4. 張力作用時の様子 |
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システムの利用
このシステムは仮想空間におけるドアの開閉時に利用することができます.
動画1に,システム利用時のユーザの視点の映像を示します.
動画 1. デモ映像 |
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口頭発表
- 石丸 敬登,吉野 孝 : 仮想空間におけるドアの開閉に着目した空間接続手法の提案, 情報処理学会第83回全国大会,2ZB-07
連絡先
- 石丸 敬登 : s236015[at].wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝 : yoshino[at].wakayama-u.ac.jp