背景と目的

住宅を設計する際に間取図を作成しますが,住戸の形状,生活動線,部屋の位置関係など様々なことを考慮しなければならず,多くの労力を要し,時間がかかるという問題があります. そのため,設計士は試行錯誤して作成することや,これまでに作成された過去の間取図を参考に作成することがあります.

しかし,検索して得られた過去の間取図はあくまで参照するだけであり,設計中の特定の住戸外形や変化する設計条件に対し,それらをいかに適応させるかは依然として設計士に依存しています. そこで我々は,過去の間取図を直接的に設計プロセスへ組み込み,住戸外形や部屋パーツの配置状況に応じてリアルタイムにレイアウト案を提示する逐次的間取図生成システムを提案します.

提案手法

入力した住戸形状や部屋の位置によって複数の類似間取図を検索し,検索された間取図の情報を基にリアルタイムにレイアウト案を提示します.

図1にシステムの全体構成を示します. ユーザが入力した住戸外形や部屋の位置関係をもとに,(1)過去の類似間取図の検索と,(2)逐次的・対話的レイアウト生成の2段階で処理を行います.その後,生成されたレイアウト案をさらにユーザが修正することで,より具体的なレイアウト案を生成することも可能です.

システム構成図
図1. システム構成

(1) 過去の類似間取図の検索

入力された住戸外形と類似する過去の間取図を複数検索します.検索手法に関しては過去の研究である 「マドリックス:住⼾形状の抽象表現と部屋の位置関係のベクトル表現を⽤いた類似間取図検索⼿法の提案」 を利用します. 入力された住戸の外形,部屋の相対的な位置関係をもとに類似度を計算し,類似度の高い間取図を検索します.

(2) 逐次的・対話的レイアウト生成

検索された複数の間取図から部屋パーツの位置情報を抽出します. 得られた位置情報を,入力した現在の住戸外形へ合わせることで各部屋パーツが配置されるべき大まかなエリアを特定します(図2(1)).

この過去の知見に基づく初期配置に対し,設計士の設計意図をルールベースへ落とし込み適用することで間取図のレイアウト案を複数生成します.

複数生成された間取図に対して,生活動線の距離や各部屋パーツの配置並びの整合性,重要となる洋室の面積や形状の複雑さから評価を行い,最も評価の高い案を特定し描画します(図2(2)).

部屋パーツのエリア特定とレイアウト案の生成
図2. レイアウト生成プロセス

これらの生成,修正,評価,描画のサイクルをユーザの入力状況に応じて即座に実行することで,設計士は自身の操作に対してリアルタイムに視覚的なフィードバックを得ることができ,設計初期段階における設計案の探索を動的に行うことができると考えています.

連絡先

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