しかし、 コンピュータが普及し始めて色々なコンピュータが作られるようになると、 機種ごとに専用のソフトウェアを作ることがだんだん大変になってきました。 また、高価なコンピュータが特定の用途でしか使えなかったり、 苦労して作成したソフトウェアが特定のコンピュータでしか動かず、 場合によっては、 そのコンピュータの「寿命」とともにソフトウェアも使えなくなるという状況は、 はなはだ「不経済」だとも考えられるようになりました。
そこで、コンピュータのハードウェアに要求される「機能」を整理して、 それらを「抽象化」するソフトウェアを用いることが考えられました。 実際に仕事に使うソフトウェアは、 この「抽象化された機能」だけを使って作成します。 この機能を異なるコンピュータの間で共通にしておけば、 同じソフトウェアをいろいろなコンピュータで動かすことができるほか、 ひとつのコンピュータ上で複数のソフトウェアを切り替えて使うことも容易になります。
このように「コンピュータの機能を抽象化するソフトウェア」のことを、 「オペレーティングシステム」と呼びます。
オペレーティングシステムの登場によって、 コンピュータは様々な用途に使える「汎用性」を得ることができました。 すなわち「汎用コンピュータ」の誕生です。 また、ソフトウェアはコンピュータのハードウェアから切り放されたために、 単体で流通することが可能になりました。 これは「アプリケーションソフトウェア」という領域が 発生したことを意味します。
情報処理センターで今使っているのは IRIX という名前の UNIX 系オペレーティングシステムです。 他に Windows95/98/NT や MacOS などいろいろなものがあります。
蛇足ですが、最初のオペレーティングシステムは、 IBM が大型汎用コンピュータとして発表した 「システム360」用に作られました。 だから、「オペレーティングシステム」という単語は、 IBM の「登録商標」です。 なお、「システム360」の 360 は、 「360 度どのような方向でも使える」というところから 採られたという話です。