背景
最近,比較的高機能な脳信号収集ワイヤレスヘッドセットが簡単に入手可能になってきた.この装置によって,この装置を装着している人の表情や感情,意識など30種以上の脳の状態を検知できる.これを用いれば,手を使うことなく,搭乗者の表情や意識などによって
電動車椅子を制御することも可能となる.これにより,高齢者や障害者の方のQOLを向上できる.
この研究では,低価格で装着の容易なBCI デバイスを用いて,ノイズの多く含まれる脳波信号から搭乗者の意識を認識するという挑戦的な課題に取り組んでいる.
従来法の問題点
これまでにも,搭乗者の脳波で電動車椅子をリアルタイム制御した開発例がある.
- 高価な研究用のBCI デバイスを用いているので,広く一般的に普及させるのが困難である.
この他にも,搭乗者の生体信号で電動車椅子をリアルタイム制御した開発例がある.
- 生体信号を計測するための電極を顔に貼付するので,装着が容易ではなく,これも広く一般的に普及させるのが困難である.
提案する解決策
- 低価格で装着の容易なBCI デバイスを用いる
- ノイズの多い環境でも学習できるように,学習方法を工夫する
というアプローチをとり,実際のシステムを構築する.

システム構成
動作例
- 現在の実装では,3 種類の意識(前進,右折,左折)の3 種類の状態を訓練するのに要する時間は,2 時間弱である.
- 3 種類の意識の認識率は84〜91% である.
- 訓練時に運動想起に基づく訓練を行っている.
- 同一の装置を用いて,顔の表情によって操作するシステムも実現している.

搭乗者が「左」を意識した時の電動車いすの動作の様子
使用機器
- Emotiv 社製,Emotiv EEGヘッドセット
- 今仙技術研究所製電動車椅子(EMC-240)
- Laptop PC(CPU:Corei7-2620M, Memory:8GB)
応用事例
- 様々な生活支援ロボットに応用可能
- 卓上ロボットアーム
- ベットサイドロボットアーム
- 車いすロボットアーム
- 産業用ロボット
など多様なロボットの脳波による操作に応用が可能.
参考文献
- 茨木 仁希,中村 恭之:”脳信号収集ワイヤレスヘッドセットを用いた電動車椅子ロボットの制御,”
ロボティクス・メカトロニクス講演会‘13, 2A1-C06,2013.
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研究指導
本研究に興味があり,試してみたい方は,中村 (ntakayuk@sys.wakayama-u.ac.jp)までメールで御連絡下さい.
