光メカトロニクス学科って何を学ぶの  「光メカトロニクス」という単語から,みなさんは私たちの学科にどんなイメージを持つのでしょう.「ややこしそう」,「何かよくわからん?」,「最先端」,「格好いい」…  私たちの学科は一体どんなことをするところなのかをわかってもらうために,学科の名前「光メカトロニクス」を理解してもらいましょう.
 「光メカトロニクス」の光の意味はいいでしょう.1秒間に地球を7周半もする光のことです.ですから,光を使えば高速に処理ができます.問題は舌を噛みそうなメカトロニクスですね.英語ではmechatronicsというスペルです.これは,mechanics(機械学)とelectronics(電子工学)の合成語です.これで少しぐらいはメカトロニクスの意味が理解してもらえたでしょうか.要するに力の出せる機械とコントロールがしやすい電子の両者の長所を上手に組み合わせた技術のことです.この技術を応用した身近な製品を挙げれば時計やエアコンなどがあります.
 メカトロニクスが機械と電子ですから,光メカトロニクスとは,光と機械と電子の技術をうまく組み合わせた技術のことです.もちろん,今の世の中にこの技術を上手に使った製品もあります.非常に美しい音楽を聞くことのできるCDプレーヤー,宇宙からの映像を送信する衛星,簡単に飲食料を購入することのできる自動販売機などがその例です.これらは全て高機能で便利なものだと思いませんか.光メカトロニクスの技術を使うと大変便利なものができあがるのです.しかし,これらの製品も光メカトロニクス技術のよさをじゅうぶんに引き出しているとはいえないのです.このことは,これまでの研究者が主に一つの分野(機械工学だけとか,電子工学だけとか)を中心に研究してきたことにも一因があるでしょう.実際これまでの大学に複数の領域を巧みに教育・研究する学科はあまりありませんでした.機械工学,電子工学,光工学の三つを一緒に扱う学科はこれまでどこにもありませんでした.そこで,和歌山大学に日本で(おそらく世界でも)最初の光メカトロニクス学科が誕生したのです.
 光メカトロニクスの技術をうまく使えば,人体に入って病気を治してくれるマイクロロボットや,立体をそのままコピーできる3次元コピー機,行き先を告げれば自動的に連れていってくれる賢い自動車などができるでしょう.つまり,私たちの夢を叶えてくれる技術が光メカトロニクスなのです.
 私たちの学科は,今述べたような光メカトロニクスのエキスパートとなるためのセンスや知識を身に付けるところです.そのため,機械工学,電子工学,光工学はもちろん,それらをうまく組み合わせて効率よく使うためコンピュータ工学,システム工学,固体力学,ロボット工学,画像計測,情報光学などを学びます.もちろん,座学の勉強だけでは面白くありませんから,いろいろな実験が用意されています.力学の現象を解析する実験,コンピュータを使ってものの動きをコントロールする実験,レーザーを使った画像計測や画像情報処理の実験などがあります.また,学生自身のアイデアをもとに「もの」を設計して,製作する実習もあります.4年生になると1人1人が各教官について,卒業研究を行います.中には学会や国際会議で発表できるような内容のものもあるでしょう.
 そして,将来は光メカトロニクスのエキスパートとして種々の製品開発や研究の仕事に就くことになります.特に新しい技術の開発や研究に積極的な企業で活躍することでしょう.