センサを活用した浴室事故検知システムの開発
近年、日本では高齢者の浴室内事故が年々増えてきています。
浴室内事故による死亡者数は年間5000人にも及び,これは交通事故による死亡者数を上回っているのです。
浴室内事故に対する研究は様々な観点から研究されているのですが、
- プライバシーへの配慮が必要
- 湯気や水面のゆらぎ等、センサの誤作動を引き起こす要因が多い
本研究室では、これらの問題を解決するため、複数のセンサを活用した仮死検知システムの開発に取り組んでいます。 ドップラーセンサによる動体検知と、スマートウォッチによるリアルタイムでのバイタルチェックを組み合わせることにより、 仮死検知の速度向上と、誤検知率の減少を目指しています。
ネットワーク型LED照明の調光制御システムの開発
近年、省エネルギー化に向けた取り組みが盛んに行われています。
中でも、照明の省エネ化が注目されつつあります。
実は、オフィスビルの消費電力の内、30%程は照明によるものだといわれています。
このため、照明を省エネ化できれば、消費電力を大きく削減できると期待されているのです。
照明の省エネ化のためには、明るさを柔軟に制御する必要があります。
そのような柔軟な調光制御が可能な照明管として、ネットワーク制御型のLED蛍光灯が登場してきました。
本研究室では、このLED蛍光灯を利用し、必要な場所に必要な明るさを維持しながらも、同時に消費電力を最適化可能な調光制御システムの開発を行っています。
開発しているシステムでは、スマートフォンを照度センサとして活用し、得られた照度マップを基に、各蛍光灯の最適な明るさを計算できます。
また、本研究室では、オフィスの管理者が簡単に利用できるように、ユーザインタフェースの開発も同時に行っています。
農場のためのセンサーネットワークの開発
近年、農家の急速な高齢化による衰退が懸念されています。
本研究室では、IT技術を応用した農業の効率化や
経験の浅い農家へのサポートによる農業の活性化を目指しています。
これまでの農業では、経験や勘に頼った部分が多く、
次世代への技術の継承が課題となっていました。
この課題に対し、本研究室では、農場のあちこちに配置したセンサーからのデータを
利用することで、
農場の運営を効果的にサポート可能なIT農業の開発を行っています。
有田のみかん農家と共同で開発を行っています。
農場情報管理システム
センサーにより得られた情報は個々の作物と結びついて初めて有効な情報となります。
当研究室では高精度GPSを用いた農場マップ作りやマップを用いたデータの収集、閲覧が可能なシステムの開発を行っています。
立体映像通信方式
作物の品質は、色や形だけでなく表面の細かな凹凸も見ながら評価しています。
しかし農場にいる農家の経験が少ない場合、現場での評価ができないためにデジカメで撮影した画像を元に評価を依頼することになります。
しかし写真では表面の細かな凹凸がわからないために適切な評価ができません。
そこで、我々の研究室は立体映像を農場から伝送することで作物の品質評価に役立てるようシステムの開発を行っています。
リアルタイムアプリケーションのための無線通信技術
ネットワークアプリケーションを快適に使ってもらうためには、そのアプリケーションを支える通信技術も重要です。
近年では、数多くの人がスマートフォンやタブレットに代表される、高解像度で表現可能な携帯端末を持っていることもあり、多くの端末に高速な無線通信を提供することが求められてきています。
そこで、本研究室では、動画像や音声といったリアルタイムアプリケーションをメインターゲットとした高速無線通信技術について研究を行っています。
アプリケーションの品質とユーザの無線利用状況を考慮した公平な無線LANサービス
現在の無線LANでは、特に多くのユーザ端末が接続している環境だと、下り方向の通信速度が遅くなったり、 通信速度の遅い端末が長時間電波を専有してしまうという課題があります。
本研究テーマでは、
- 動画や音声などのリアルタイムアプリケーションのデータを優先的に送信
- インターネットからユーザ端末への下り方向のトラヒックを優先的に送信
- ユーザの電波専有時間(≒通信時間)を公平に分配
アプリケーションの通信品質要求を満たす、柔軟な無線マルチホップネットワーク
事前にインフラの整備を必要とせず、迅速に通信ネットワークを形成可能な方法として,端末が協力して データを中継する無線マルチホップネットワーキング技術が盛んに研究されてきました. 特に近年では,ドローンやロボット同士でネットワークを形成することで、互いに情報をやり取りしながら協調して ミッションを遂行できるのではないかと期待されています. 代表的な例としては、複数のドローンで協調した、広範囲なエリア監視などが挙げられます.
本研究テーマでは,複数のドローンによるエリア監視において監視ターゲット(例えば遭難者)を発見した際, そのターゲットをリアルタイムに観察し続けるためのネットワークの構築手法に取り組んでいます. 特に,
- 監視ターゲットの移動に追従しながらも、通信品質を一定水準に保つこと
- システム全体の探索能力を低下させないこと
効率的なデータの流通を助けるオーバレイネットワーキング
現在のIPネットワークでは実現できない機能や通信特性を得るための手段として、アプリケーション層で仮想的な ネットワークを構築する「オーバレイネットワーク技術」があります。本研究室では、データや端末の地理的な情報を利用して、 データを高速かつ効率的に集めたり配布したりするオーバレイネットワーク技術の開発に取り組んでいます。
アプリケーション層で独自のネットワークを構築するオーバレイネットワークでは、一般的にネットワーク層での配送経路を 気にする必要が無い一方で、ネットワーク層でみると遠回りしたり、同じ経路を往復するようなネットワークを構築してしまう 可能性があります。本研究テーマでは、「地理的に近い端末はネットワーク的にもある程度近い」という仮定のもと、 地理的な情報を付加したオーバレイネットワークの構築手法や、そのオーバレイネットワーク上での効率的なデータ検索・収集手法 の開発に取り組んでいます。
一方で、VR(Virtual Reality; 仮想現実)・AR(Augmented Reality; 拡張現実)技術の発展に見られるように, 近隣のユーザ同士で同じ体験を共有したいという需要が増えてきています。このような体験を実現するためには、 近隣の端末同士が可能な限りリアルタイムに同じ情報を共有することが重要となります。そこで、本研究テーマでは ごく近傍の端末(例えば同じ無線LANに接続している端末)同士でオーバレイネットワーク上に「グループ」を形成し、 グループで密に連携してデータを高速に収集・共有する技術の開発を進めています。