×
和歌山大学独創的研究支援プロジェクト 紀伊半島における災害対応力の強化
-想定を越える災害への備え-
近年,土砂災害や老朽化による大型構造物の倒壊や崩落が社会問題となっている.その計測・検査に画像や光学的手法を用いることで,効率よく計測・検査を行う手法が注目されている1).本研究では,カメラを用いて遠隔から変位計測を高感度に行う手法を開発している.格子パターンの位相解析手法として,和歌山大学で開発したサンプリングモアレ法を用いることで格子ピッチの数百分の1の精度で遠隔から変位計測ができる.本年度は主に屋外における実証試験を進めた.
図-1に,システム工学部のA棟とB棟の間の渡り廊下の変位を計測する実験を行った結果を示す.渡り廊下の中央にピッチ1mmの2次元格子パターンを取り付け,リアルタイムに変位計測ができるサンプリングモアレカメラ2)を用いて,5.8m離れた位置から変位計測を行った.図-1に示すように,渡り廊下を歩行している時には0.02mm程度の振幅で振動し,ジャンプ時は0.06mmの振幅となり,それが時間とともに減衰する挙動が時系列に計測できた.その他,鉄道橋梁における列車通過時の変位計測実験を複数箇所で行い,変位量とたわみ角について有意な計測結果が得られることを確認した.
- 松田浩, 伊藤幸広, 光学的計測法によるインフラ構造物の施工と維持管理, 実験力学, Vol. 11, No. 3, pp. 161-170, 2011.
- Fujigaki, M., Sasatani, Y., Masaya, A., Kondo, H., Nakabo, M., Hara, T., Morimoto, Y., Asai, D., Miyagi, T., Kurokawa, N., Development of Sampling Moire Camera for Real-time Phase Analysis, Applied Mechanics and Materials, Vol. 83, pp. 48-53, 2011.