和歌山大学独創的研究支援プロジェクト 紀伊半島における災害対応力の強化

-想定を越える災害への備え-

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オフライン対応型避難支援システム オフライン対応型災害時避難支援システム“あかりマップ”の構築

担当教員

情報通信技術

情報通信技術

システム工学部 社会情報学メジャー

吉野 孝

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2011年に発生した東日本大震災では,ネットワークと情報技術を利用した安否情報の確認や,被災地の情報伝達などが多く行われ,現在もサービスの研究開発が行われている.しかし,これらの研究やサービスは,ネットワークが利用可能という前提で設計が行われている.災害発生後は,輻輳(アクセスの集中)や通信基盤の故障などによりネットワークの利用が難しくなることも考えられる.

我々は,災害発生後のネットワークが利用不可能な状態でも利用を可能とし,かつ災害発生前から利用することを目的とした災害時避難支援システム「あかりマップ」を開発している.本システムは,日常的に継続して利用してもらうために,システム側から利用者に現在地周辺の避難支援情報の把握を促す機能として通知機能やウィジェット機能を,システムの利用を促すためにゲーミフィケーション機能を備えている.また,平常時から災害対応機能を体験する機能として,災害モードも備えている.

図-1 システム構成

あかりマップは,災害発生前と,災害発生後の支援をそれぞれ行うことを想定した,Android端末を用いた日常的に利用してもらうことを目指した災害時避難支援システムである.各機能について説明する.

  • a) 避難支援情報閲覧機能
  • 本機能は,サーバに登録された避難支援情報を地図画面上で閲覧する機能である.図-2に,地図画面例を示す.本機能では,利用者の現在地情報をサーバへ送り,その周辺の避難支援情報をサーバから取得し,地図上にアイコン(図-2 (a))で表示する.地図画面に表示されているアイコンをタップすることで,吹き出しが出現し,避難支援情報の簡易情報を閲覧することが可能である(図-2 (b)).画像のデータがある場合は,あわせて表示する.

    図-2 地図画面例
  • b) 避難支援情報のキャッシュ機能
  • 本機能は,災害発生後のオフライン時に利用する情報をあらかじめ取得する災害時対応機能である.本機能では,災害発生前のオンライン時に本システムの地図画面を閲覧している際,バックグラウンドで,避難支援情報およびOpenStreetMapの地図データを取得する.地図画面で用いているGoogleMapsは,地図データの保存が禁止されているため,地図データの保存が可能なOpenStreetMapを併用した.取得したデータは,Android端末の内部ストレージに蓄積する.災害発生後のオフライン時には,あらかじめ蓄積しておいたデータをもとに利用者に避難支援情報を提示する.

  • c) 避難支援情報の詳細情報閲覧機能
  • 本機能は,避難支援情報の詳細情報を閲覧する機能である.図-3に,詳細情報画面例(概要タブ)の画面例を示す.タブ(図-3 (g))を切り替えることで,避難支援情報の概要,口コミ,画像が表示される.

    図-3 詳細画面例
  • d) 浸水域予測および液状化予測表示機能
  • 浸水域表示ボタン(図-2 (c))を押すことで浸水域と予測されているエリアを,また液状化表示ボタン(図-2 (d))を押すことで液状化地域となっているエリアを表示する.図-4に,浸水域予測および液状化予測表示の画面例を示す.青色の矩形領域が浸水域予測エリアを表し,赤色の矩形領域が液状化予測エリアを示す.これらの津波浸水予測データおよび液状化予測データは,平成17年に和歌山県が制作した南海・東南海・南海3連動地震の予測データを利用している.

    図-4 浸水域予測および液状化予測表示の画面例
  • e) ゲーミフィケーション機能
  • 利用者がシステムを利用したくなるような仕組みとして,ゲーミフィケーションを利用した機能として,ポイント機能,ジョーレン機能,フラッグ機能がある.

    ポイント機能は,避難支援情報を閲覧および更新,情報追加などの操作を行ったとき,ポイントを獲得できる機能である.獲得したポイントは,他の利用者のポイント数およびユーザ名と共にランキング画面(図-5)に表示され,閲覧することができる.利用者にポイントを獲得したいと思わせることで,システムを利用するきっかけとなることを目的としている.

    図-5 ランキング画面の例

    ある避難支援情報を更新したり,画像などを登録したりすると,その避難支援情報の確認者(本システムでは,「ジョーレン」と呼ぶ)になれる.ジョーレンになると,詳細情報画面(図-3 (d))に名前が表示される.ジョーレンは,避難支援情報の確認者という立場であり,他のユーザよりも頻繁に情報の更新や,確認が可能である存在だと設定している.

    「あかりマップ」上で作業を一定数行うとフラッグを獲得できる.図-6に,フラッグを獲得した時のシステムの画面例を示す.フラッグを獲得すると,獲得したフラッグを説明するダイアログが表示される(図-6).本機能では,フラッグを集めるためにシステムの利用を促すことを狙っている.

    図-6 獲得したフラッグを確認する画面例

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