和歌山大学独創的研究支援プロジェクト 紀伊半島における災害対応力の強化

-想定を越える災害への備え-

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非常時通信技術 可視光通信技術を用いた非常時通信システム

担当教員

情報通信技術

情報通信技術

システム工学部 ネットワーク情報学メジャー

塚田 晃司

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【背景】

日本は国土の7割近くを中山間地域が占め,災害時に孤立する集落が約2万集落も存在します.災害時には,防災行政無線や携帯電話などの既存の通信インフラに加えて,それらが利用不能になった場合の代替手段として,一般住民が簡便に利用可能な通信手段が必要となります.

【課題】

  • ●無線通信インフラの耐災害性
  • 非常時の通信システムとしては,従来から無線通信が広く使用されていました.広く普及している携帯電話は,東日本大震災でも明らかになったように,広域災害では利用できない可能性があります.また,防災行政無線や衛星携帯電話の整備も進んでいますが,住民が普段から手軽に利用できるものではありません.

  • ●原始的通信手法の限界
  • 東日本大震災の際も多くの孤立集落が発生し,住民が救援要請メッセージを地上やビル屋上に描いた映像は何度も報道されました.文字・記号が記された救援要請シートを地面に敷く手段も実際に検討されています.しかし,一度に伝えられる情報量が少ない,夜間の使用が困難という問題点があります.

【提案】

これらの課題を解決するために,私たちは

  1. 救難サインや狼煙などの原始的な通信手段の利用が困難な夜間に使用できること
  2. 救援要請に必要なコミュニケーションを文章により伝えられること
の要件を満たすことを目標に,既存の無線通信インフラが使用不可能な場合の通信手段として,可視光通信の非常時通信への適用を提案しています.

地上から上空を飛行するヘリコプターに対する簡易な通信方式として,多色LED(R(赤),G(緑),B(青))の発光色変化を用いてコミュニケーション可能な可視光通信方式を提案し,災害時の救援要請に使用できる救難サインへの適用に向けて取り組んでいます(図1参照).

図1

【成果】

提案手法の有効性を検証するために試作システムを作成し,性能実験をすすめています(図2参照).ヘリコプターの飛行高度を300mと想定して,送信側(図3参照)と受信側(図4参照)との間の距離を確保して夜間に性能測定を実施しました(図5参照).その結果,1分間に約40文字の情報を送ることができる通信速度を実現しました.最新の無線LANなどの通信速度と比較すると,非常に低速です.しかし,既存の通信インフラがまったく使用できなくなるような状況では,有効な代替手段の一つになると考えられます.今後さらに性能向上に向けた改良に取り組んでいきます.

図2
図3,図4
図5

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