10、産科あれこれ 富田晃彦 (教育学部教員) 私はありがたくないことに、子どものころから病院によく世話になりました。 しかし入院の経験はない (手術はあるが)。また、産科に世話になったことも ない。産科で、かつ入院 (私の場合は付添ですが) したのは貴重な経験 (?) になりました。 妊娠中期から後期にかけて、両親学級の出席をすすめられました。お世話になっ た病院では、2 回の出席をすれば夫出産立ち会いの権利が認められました。 参加してみると、夫婦揃っての参加が 8 割半、女性だけの参加は 1 割半でし た。夫はどうしても仕事が外せなくて立ち会いができないんです、両親学級に も出られなくて、と話してくれた方もいらっしゃいました。そういう方の話を 聞くと、気楽に妻に付き添える私の環境に感謝しないといけない。両親学級は 土曜日だったので、土曜に休める私は幸運だったわけです。両親学級の内容は 実用的なものばかりで役に立ちました。妊娠中の食事、リラックスの体操、分 娩室の案内、子どものお風呂の入れ方、などでした。妊婦のコスプレをさせれ てでんぐり返りをさせられる、という非人道的なメニュー (笑) はありません でした (やれやれ)。両親学級の課程終了時、記念写真を撮ってもらえます。 でき上がった写真を見て結構びっくり。妻が (妊娠のため) 太っている、とい うことではありません。私が「公務員臭い」のです。男性陣はみなギラギラし た肉塊という感じでした。私はひょろーっとした、クソ真面目な風をした奴で した。それが地だから仕方がないのですが、もうちょっと何か考えた方がいい な... 話は飛びますが、私はフリルと花柄といった類のものが大嫌いです。誤解のな いようにお願いしたいのですが、フリルと花柄が大好きな人とは、別に親しく おつきあいできます (私が地でないだけで、私と全く別の地を持っている人と は逆にしっかりおつきあいしたいくらいだ)。ただ産科にそのような飾りつけ をするのはやめて頂けないだろうか。妻が最初に世話になった病院は、そのよ うなもので空間が埋めつくされていました (汗)。やめてくれー、私は出産に 際して専門的な指導を受けに来たのであって少女趣味は遠慮いたしますーっ。 病院は途中で替わりました (これが原因ではないのですが)。新しい病院は非 常にシンプルな造り。嬉しい。こうでなくては。産科の少女趣味が苦手な方、 たくさんいらっしゃるはずです。ぜひ連帯しましょう (笑)。 私が子どもを抱いていると、おばちゃんたちがよく寄ってきます。かわいいわ ね、あ、抱く方法はこうするのよ、違うわよ、こうよ。あぁお父さん、お子さ んが息できないわよ、それだと。皆さん親切心でご指導下さるのはいいのです が、どでかい声で言うのはまいったな。私はそれほど感じなかったが、横にい る妻は「男だから馬鹿にされている点もあるけど、キレないでね。」と助言し てくれます。確かに。そういうものは確かに感じる。 女にしておくのはもったいない、という言葉があるが、大変女性を侮辱した言 葉だと分かりました。言っているご本人は激励のつもりでしょう。気を利かせ ているのだけれど、逆効果、それどころか言った本人の意識も疑われる。海外 の研究会で、「日本人なのに英語ができるやないか」と英語母語の人に言われ た時と同じか... 我々も色々気をつけねば。 出産の後、妻は 5 日間入院でした。1 日を除いて私も付き添いで病院に泊り 込みました。妻はちゃんとしたベッド、私はソファー。ご主人、付き添いがあ りますから仕事休んで下さいね、と助産師さんがおっしゃった割には、男の就 寝環境が悪いやないか。ところで産科病棟は付き添いの男性どうしが井戸端会 議をしています。女性陣は疲れきって、ベットで寝込んでいます。 この 5 日間は、助産師さんによる地獄 (?) の育児特訓です。病院では母子同 室 (私もいるので、親子同室) でした。2 時間か 3 時間おきにぎゃーぎゃー わめきます。最初はびっくりです。おしめ交換、服の交換、哺乳瓶での授乳、 げっぷのさせ方、だっこのさせ方、お風呂の入れ方を、結構きつい表現でたた きこまれます (普段は優しいのですが、時々恐い)。妻は母乳がちゃんとでる ように一生懸命指導されます。出産後の披露困憊から、妻は高血圧などの後遺 症も出てしまいました。 あー、しかし、しんどい。天体観測で鍛えた、不規則睡眠可能体質でも追いつ かない。ソファーでもうろうとしていると、助産師さん曰く、「女性はホルモ ンの関係で、起きたり寝たりがこの時期可能なんです。普段だったらできない ことができます。男性はそういうホルモンがでないので、きついと思いますよ。」 そうか。とにかく育児は重労働というのは精神論だけではなかったのだ。 病院食は信じ難いほどまずい。しかし退院後、私の料理に文句がでないように なった。そうか、まずい病院食はその後の夫婦円満の基になるのか。細かいと ころまで配慮してくれて嬉しいな、産科というところは。みなさん、病院食は まずいところがお勧めです。 一番疲れたのは、出産立ち会い。その話は次号。