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小林 淳先輩
日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
国内事業部 営業改革プロジェクトリーダー
兼 経営戦略室員
和歌山大学 経済学部
経済学科
30期卒業
企業サイトURL:http://www.hitachi-omron-ts.co.jp/
取材者
丸尾 美子
和歌山大学
経済学部
ビジネスマネジメント学科
1回生
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━━どうして和歌山大学経済学部に入学されたのですか。
一言で言うと、
誰も知っている人のいない未知の土地で自立して自由な生活をしたかった
からですね。
みなさん近い過去だから色々覚えていると思うんですけど、中学高校の時って色々校則が厳しかったり、まあ特に田舎暮らしをしていると、世間が狭いからちょっと変わったことをすると、凄く目立ってしまうことがあるでしょう?そういう余計なしがらみから離れて、誰も知らない人の所で自分を素直に出しながら自由に自分を表現したかった。高校時代に演劇部に所属していた影響もあるかもしれませんね。
関西の大学を選んだ理由は、親戚がいなかったからです。僕には姉がいるんですけど、姉は歳が離れていて、当時は結婚して東京にいました。だから東京の大学を受けるのは止めようかなと・・。(笑)逆に姉が関西に嫁に行っていたら、僕は和歌山大学を受けなかったかもしれないですね。関西の大学の中でも和歌山大学を受けようと思ったのは、入試科目が魅力的だったのも理由の1つです。当時は入試の仕組みが随分違っていて、僕らの時は、共通一次になる前の年でした。だから僕らが受験した年で浪人すると、次の年から共通一次を受けなければならず、その時の和歌山大学は入試科目が3教科だったので、共通一次になると、5教科7科目になるという状況でした。その為、最後の駆け込みで競争率がより高かったですね。10倍を超えてたんじゃないかな?だから僕が受験に来た時には、和歌山大学の中に受験生が入りきらなかったので、近くの高校で試験を受けました。だから入試のときには和歌山大学を見てない…と言うより見れなかった。(笑)受験の時にはもう1つ大変な事がありました。日程的に最後の最後に和歌山大学を受けたから、受験に来るとき、最初区間がよく分からなくて…まぁ大阪までは急行列車で来たけど、そこからどうやって和歌山まで行くのか分からなくて…。阪和線で和歌山行きだと思って乗ったんだけど、各停に乗ってしまったんです。(笑)そしたら何時まで経っても着かないし、どんどん暗い所に行くから、これで本当に着くんだろうかって不安になっちゃって…ああえらいとこきちゃったなぁと思いましたね。(笑)でも試験が終わって帰りは沢山の受験生がぞろぞろ行く方についてって南海に乗ったから大丈夫でした。で、谷口さんのを見てああなるほど同じだなと思ったのは、僕も合格発表を見に行かなかったんです。全然気にもして無かったんだけど、合格発表の次の日に大学から手続きの書類が送られてきて、「ああ〜受かったんだあ!」みたいな。まぁそれで和歌山大学に行きました。
━━ではそういう考えを持って入学された和歌山大学の学生時代に熱心に取り組まれ たこととは。
実は谷水さんと同じクラブだったんです。
フォークソング研究会
今は名称変更して流音楽部になっていますね。公式見解は、自分を表現したい、というところから。演劇と繋がっている所があるのかな。僕らの世代のちょっと前は、有名なフォークギターのキャッチコピーがあって、『モーリスあれば、スーパースターも夢じゃない』という言葉です。そうやってみんな騙された。(笑)気持ちではプロになりたいと思った時期もありましたね。

━━どのような就職観を持っていましたか。
東京で自由な時間が持てる仕事を見つけたかった
なぜかというと、自分の才能の限界を感じながらもやっぱり・・という気持ちがあったから。自分にとって音楽はライフワークだったから、生活の為に働きながらも、自由な時間も欲しかったんです。でも、所詮甘かったね。(笑)好きな仕事もやって、自由な時間を得れるほど世の中は甘くない。以前は金融が日本の産業を支えてたから、周りの人には金融関係の銀行とかに就職するように勧められたけど、銀行は儲かるけど凄く忙しくて大変だと聞いていた僕の就職観とは異なっていまして、メーカーに行こうと思いました。だってメーカーの営業なら外に出ちゃえば何しても分かんないし、自由な時間はあるかな、とか考えてたからです。(笑)けど、実態はめちゃくちゃ忙しかった。新入社員の時は牛や馬のように働かされましたよ。早く人間になりたい、と思いながら日々闘ってましたね。(笑)そこから色々考える時期があったかな。
━━何年くらいで人間になれましたか。(笑)
仕事には3年に1回はチャンスがあります。成功の違いはそれを掴めるか掴めないかだと思う。僕の場合は、パソコンの新しいトレンドが転がり込んできて、新しいことは若い人の方が入り込みやすいから上司が任せてくれた。丸投げと言った方が良いかもしれないですが。(笑)このチャンスをどうやってビジネスにつなげるかを考えましたね。チャンスを上手く利用しました。
━━社会人になってから、心に残っている出会いや転機はありますか。
その時の直属の上司に言われた言葉です。
「どんなに困難な時でも、その場で取れる行動・選択は1つしかない。
どんなに迷っても2ついっぺんにはできない。とにかく何か、間違ってもやらなきゃいけないという時にビジネスマンとして一番不味いのは、迷った末に決断できなくて何もしないこと。それよりは間違ってもいいから、何か一歩踏み出せ。間違ってもいいんだ!」と言われました。今は若い人にそれを言ってあげるようにしています。
━━企業として求める人物像とは。
「自分の感じたことを素直に表現できる人」
これが僕のスタイルですね。僕から見て、あなたにどういう価値があるかと言った時に、人生での知識や経験は倍以上違うからそこからは見えない。でもそうじゃなくて、この人が同じ場に居て、同じ物を見てどう感じたのかなっていうことが僕から見れば知りたいことだし、価値があるものだと思う。それがあなたを通じて得られる情報であり、僕にとって価値があるものです。逆に言うと、人から聞いたこと、本で読んだことを伝えてくれるのはあまり価値がなくて、その行為によりあなた自身が感じたことを知りたい。それが自分で表現できる人は相手の気持ちも聞けると思います。ぜひ皆さんにも聞いて欲しい。よく相手の立場になって考えましょうって言うけれど、相手の立場になって考えるのって実は簡単なことです。選択肢が絞られるだろうから、理屈で考えれば分かることだからね。でも人間というものは、立場ではそうだ、理屈ではそうだって分かってはいても、でも、でもっていう次の気持ちがあるじゃないですか。やっぱり相手を理屈で追い詰めて得られるものは、短期的には得られるかもしれないけど、長続きしない。その場だけのものになる。相手の気持ちを理解した上で得られるものは、大変価値があるもので、しかも長続きする。
━━日立さんは研究者と消費者の声ではどちらを重点的に考えて商品開発をしていますか。
商品開発において、消費者の素直な声を聴くのは難しい。大体口に出して言われることは、他社と比較した意見なので、聴いた時点で負けてしまっているんです。相手の表情を見て、違う方向からジャブを打ちながら、なんか違うことをピュッと言う。それが相手の心に刺さるかどうかが勝負じゃないかなと思う。それを作るために自分たちの感じたことを大事にしています。だからこそ企業にはそういったことを感じれる人が欲しいですね。
━━お仕事で一時海外に行ってらっしゃったとお聞きしたのですが。
新規事業で海外にマーケティングをするということで出張に行きましたね。
一番多かったのはブラジルの方かな。ブラジルで当時先端認証をグローバルに広げようという企画をしていました。海外の人の外に働きかける積極性が大切だと考えて行動してました。
━━印象はどうでしたか。
1つ言える事は、 海外の人でも日本の人でも、根本は一緒。 言葉は分かっても分からなくても、目を見て頷いてニコッと笑う。それだけで通じるものがあって、よく日本人はYES/NOをはっきり言わないとか言われるけど、逆にYESをはっきり言う外国の人って誰?っていう話だよ。外国人って言ってもみんな一緒じゃないし、文化も色々ある。逆に言うと、僕らは語学力がついていない、曖昧に言えない。逆に言うと、言うテクニックがない。
━━企業として求める人物像に加えて、経済産業省が提唱している社会人基礎力のなかであえて重要な力をあえて選ばれるとしたらどれだと思いますか。
12の中で一つに絞れなかったので、3つを合成して一つにまとめました。
相手の気持ちを理解した新しい価値観で、相手を巻き込む力。
傾聴力は話している声を聴くのではなく、心の声を聴く。
所謂世間で言われている使い古されたことじゃなくて、
仕事で欲しい人材は、素直に自分を表現することができる人。
普段から思ったことを表現する。普段から心がけているひとは欲しいですね。話をする前に決まります。なぜなら見た瞬間分かるから。色々理屈を付けるけど、最後は合うか合わないかの問題だね。気に入るか気に入らないか。それに加えて長続きする人がいいよね。

━━学生に薦める書籍があったら教えて下さい。
本を読むならものはなんでもいいですよ。
僕のオススメは
『ザ・フィフティーズ』(デイヴィト・ハルバースタム著)
です。
本を読むことについて心に残っている事と言えば、昔に宮本先生という名物先生がいて、「君たちは4年間大学生をしているだけで価値があるんだから、自信を持て。」って仰っていたなぁ。
あと、『ザ・フィフティーズ』については少し古い本なので中々手に入らないかも知れません。別に『ザ・フィフティーズ』にこだわりませんがドキュメンタリー物・歴史物に興味を持っていただければと思います。現在目の前にある色々な出来事は突然独立して存在するのではなく過去・現在・未来の連続する時間の流れの中でその断面が現れるのであり、言い換えれば時間の断面の中に過去・現在・未来が混然と存在している。またある時点では想像を絶する大きな問題でも連続する時間の流れの中で、起こるべくして起こる単なる必然に過ぎない事を感じて欲しい。あと…人間は繰返し同じ失敗をする癖があるので過去の出来事から学ぶ事は沢山あると思います。読むだけじゃなくてその行為の中で、その人なりに色々感じてほしい。それでOKです。
━━最後に和歌山大学の学生に何かメッセージはありますか。
・グローバルで活躍するにはまず日本の和歌山の故郷の良さを十分に理解しよう!
自分のアイデンティティを大切にして欲しい。和歌山って良い所だよ。和歌山の人って可愛いよね。女子は特にね。(笑)中身が可愛くて素直で真っ直ぐだと思う。和歌山弁も可愛いしね。
<取材の感想>
本当に感慨深い言葉を頂きました。我々は面接などを受ける際、有りのままの自分を伝えることよりも他社から見られる自分を作ることに必死になってはいないでしょうか。自分が今、何を感じているかよりもどうすれば印象が良く映るか、どうすれば採用してもらえるか、という様な事に少なからず頭を無駄遣いしているでしょう。しかし、そんな小手先の仮面など、企業の側から見れば全てお見通しなのです。我々が実行すべきことは、自分が何をどう感じているのかという感覚を大事にし、有りのままの自分を表現するのを恐れないことです。会社で部下を取り仕切る立場になられても尚、初心を忘れず御自分の信念を貫かれている小林様は格好良く素晴らしい方だと思いました。これから社会人になる身として、私も是非見習おうと痛切に感じました。大変有意義で貴重な経験をさせて頂きました。お忙しい中取材をさせて頂き、本当にありがとうございました。
取材日:2011年9月15日(木)
時間:11:00〜13:00
場所:日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
取材同行・写真撮影・記事編集:
丸尾美子(経済学部1年) ・上野隼人(経済学部3年)
