1背景と目的
現在,日本の総人口の25%以上を高齢者が占める超高齢社会であり,その割合は今後も増加していくことが予想されています. また,終末期医療に関する調査では,国民の60%以上が自宅での療養を望んでいることが示されており,このような背景から,厚生労働省は在宅医療・介護を推進しています.
しかし,在宅での介護を行う介護者は要介護者の家族がほとんどであり,介護や介助のやり方(介助法)に対する専門的な知識を持ちません. よってどうやって要介護者を介護すればいいのか判断できないことが予想されます.
そこで本研究では,在宅介護者のための介助法提示支援システムの開発を行っています. 簡単な質問に回答するだけで現在の要介護者の状態を判定し,それに応じた適切な介助法を提示します. 本システムは,在宅介護者の負担を減らし,要介護者の状態に応じた対応ができるようになることを目指します.
2在宅介護者のための介助法提示支援システム
本システムは在宅介護者を対象としたWebアプリケーションです. 図1は,システムの利用図を示しています.
主な利用者である介護者は,要介護者の状態を入力することによって,それに応じた適切な介助法を閲覧することができます. 本システムでは,介護者への負担を最小限にし,要介護者と適切なコミュニケーションがとれることを目指しています.
図1. システムの利用図 |
---|
3システムの機能
(1) 要介護者情報の記録機能
要介護者の基本的な情報と,現在の状態を記録できる機能です. 図2はシステムのトップページです. 要介護者の状態は,2択~4択の簡単な質問に回答することで算出され,状態グラフとしてページに表示されます.
図2. 要介護者の情報 |
---|
ここでの状態とは以下の3つを指します.
● 運動ADL
● 認知ADL
● 介護環境
(2) 介助法提示機能
要介護者の情報や現在の状態に応じた介助法を提示する機能です.図3は実際の提示ページです. 介助法は文章に加え,適宜図または写真を用いて提示します.要介護者の状態が良ければ,考慮する必要のない項目を省くため,提示量は少なくなります.
図3. 介助法提示機能 |
---|
発表
- 梅本美月, 吉野孝, 永坂和子, 藤原奈佳子: 在宅介護者のための介助法提示支援システムの開発, 情報処理学会第79回全国大会
連絡先
- 梅本 美月:s195007 at center.wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝:yoshino at sys.wakayama-u.ac.jp