1背景と目的
音声対話システムの研究は,かねてより活発に行われています. 本研究室でも,鉢植え型会話ボット「おしゃべり鉢べえ」が開発されています. これは,公共空間での第三者間の間接的コミュニケーションを実現するものです. このシステムは,利用者に対し,他の利用者の存在を喚起させることに成功しています.
しかし一方で,会話の多様性や継続性の不足,といった課題も残っています. そこで,システムに柔軟な対話を行わせることを目標として,多様な発言の収集手法を検討しています.
2既存システム
公共空間設置型音声対話ボット「おしゃべり鉢べえ」は,ボットと利用者の会話を通じて, 面識のない利用者同士のコミュニケーションを実現します.このシステムは,以下の4つのモードを切り替えながら動作します.
- とりあえずお話し:ボットと利用者が自由に会話
- 誰かに伝えてみる:ボットが利用者の発言を記憶
- 誰かの発言を聞いてみる:ボットが記憶した発言を利用者に伝える
- あなたの発言:利用者が記憶させた発言を一覧
3柔軟な対話
柔軟な対話の一例として,「笑わせる発言」に注目しました. 笑わせる発言を収集してシステムに取り入れることで,会話の多様性や継続性を向上させられると考えています.
今回は,クラウドソーシングサービスを利用して不特定多数の回答者から発言を収集する手法を用いました. この手法では,多様な発言を効率的に収集することが可能です.
図1. 発言収集のイメージ |
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4発言の収集と分類
実際にクラウドソーシングサービスを利用して発言を収集した結果, 300件の収集依頼に対して128件の有効な発言が集まり,効率的な収集に成功しました.
また,収集した発言を「漫才の笑いの類型」を元に分類した結果, 発言内容の多様性が確保されたことも確認しています.
表1.収集結果 | ||||||||||||||||||||
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表2.発言の例 | ||||||
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表3.分類結果 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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今後はシステムに発言を組み込んで利用実験を行い,既存システムとの比較を行います.
口頭発表
- 辻本拓真,吉野孝: 公共空間設置型対話ボットのための「笑わせる発言」収集方法の検討, 情報処理学会大77回全国大会第4分冊,pp.231-232(2015).
連絡先
- 辻本 拓真:s175031 at sys.wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝:yoshino at sys.wakayama-u.ac.jp