背景と目的
現在,プレゼンテーションは授業やビジネスなど社会の多くの場面で利用されています. そのため,かぎられた時間の中で情報をわかりやすく聴衆に伝えるためのプレゼンテーションスキルが重要となっています.
プレゼンテーションスキルには5つの評価基準があり,その中に「身体表現」があります. プレゼンテーションにおける身体表現の効果は様々な書籍で書かれています. 身体表現に含まれるアイコンタクトは,聴衆の注意を引き付ける効果があります. また,ジェスチャーはプレゼンテーションに説得力をもたらすとても雄弁な非言語メッセージであります.
そこで本研究では発表者が聴衆に伝わるアイコンタクトとジェスチャーが適切に行われているのかを可視化するシステムを開発しています. プレゼンテーション中に発表者がどこをどれだけ見ているのか,ジェスチャーの範囲や頻度を色分けして表示します. 本研究の目的は,プレゼンテーション中のアイコンタクトとジェスチャーの様子をフィードバックを得て,次回のプレゼンテーションに活かすことです.
システム構成
図1に本システムのシステム構成を示します.
図1. システム構成 |
---|
(1) 身体挙動情報の取得
発表者が見ている方向を取得するために,発表者の顔の向きを取得します. また,ジェスチャーの動く範囲と量は,両手の動きを取得します. 顔の向きと両手の動きは,Kinect v2を用いて取得します.
(2) 聴衆の様子の撮影
聴衆の様子をWebカメラを用いて取得します.
(3) 可視化
(1)で取得した情報から全体時間に対する割合を求めてヒートマップを作成します. 顔の向きのヒートマップは,(2)で撮影した聴衆の様子の画像に重ね合わせて表示します. 両手の動きのヒートマップは,Kinect v2で取得するRBG画像に重ね合わせて表示します. そして,可視化を行った画像をPCに表示し,発表者にフィードバックを行います.
可視化の結果
(1) アイコンタクトの状況の可視化
本システムでは,プレゼンテーション中のアイコンタクトの状況を可視化して,フィードバックを行います. 発表者が聴衆とアイコンタクトが取れているかは,どこをどれだけ見ているのかを利用して判断します. プレゼンテーションの全体時間に対して発表者の見ていた時間が多いところから少ないところにかけて,ヒートマップのように赤→黄色→緑→青と色を変化させて表示することで可視化しています.
図2. アイコンタクトの状況の可視化 |
---|
(2) ジェスチャーの状況の可視化
本システムでは,プレゼンテーション中のジェスチャーの状況を可視化して,フィードバックを行います. ジェスチャーの動いている範囲と量を色分けして画像に表示します. 両手がよく動いた場所をヒートマップのように赤→黄色→緑→青と色を変化させて表示することで可視化しています.
図3. ジェスチャーの状況の可視化 |
---|
デモムービー
システムを利用しているムービーです.
発表
- 寺尾侑莉, 吉野孝 :身体挙動情報可視化によるプレゼンテーション状況把握支援手法の提案, 情報処理学会第82回全国大会,6ZB-01(2020-03).
連絡先
- 寺尾 侑莉:s226156 at wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝:yoshino at sys.wakayama-u.ac.jp