デモムービー(音声が流れます)
背景と目的
近年の災害情報が,内容と伝達メディアの両面から充実を続ける一方で,地域住民に過剰な情報依存を与える危険性が指摘されています.自助の強化には,一人一人が災害情報の受け手であり続けるだけではなく,個人が主体的に災害情報に干渉できる環境が必要です.そして,日常的な防災の実現には,防災をより身近に,より楽しく続けられる仕組みが欠かせません.
図1. 日常的な防災支援手法の比較 |
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そこで本研究では,日常的な災害対策を支援する防災ソーシャルゲームシステム「防災エッグ」を開発しています.図1に示す【クエスト・アイテム・キャラクター・シナリオゲーム】で構成されるソーシャルゲームデザインを用いた防災システムが,利用者に「いつの間にか防災」をもたらすことで,ゲームと現実を循環する継続的防災支援の実現を目指します.
アイテムと防災用品
図2. アイテムを入手する流れ |
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図2に示すように,防災エッグでは,プレイヤーがクエストの条件を満たすことで様々なアイテムを収集できます.
図3. アイテムと防災用品 |
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これらのアイテムは図3(2)に示す防災用品に対応するだけでなく,防災用品に関する現実的な記録(現実での所持数の入力,撮影写真のアップロード)を行えます.この構造から,「アイテムコレクションの完成」というゲーム内の目標をプレイヤーに与えると同時に,「防災用品リストの完成」という現実上の目標達成をプレイヤーに促します.今後は,防災用品ごとに議論や情報共有を行う仕組みの実現を目指します.
キャラクターとシナリオゲーム
図4. キャラクター入手の流れ |
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図4に示すように,集めたアイテムを消費してエッグを割ることで,様々な防災キャラクターを収集できます.
図5. 防衛ゲームと避難所リスト |
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図5に示すシナリオゲームでは,集めたキャラクターに避難所を防衛させる任務を与えます.「多人数協力型ゲーム」を楽しむ構造の中で,システムは「避難所情報に関する学習」をプレイヤーに促します.今後は,キャラクターの育成要素やシナリオゲームの充実化を目指します.
口頭発表
- 谷岡遼太,吉野孝:防災エッグ:日常的な防災対策を支援する防災ソーシャルゲームシステム,情報処理学会,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2017)シンポジウム,pp.1259-1264 (2017-06).
連絡先
- 谷岡 遼太:s155024 at center.wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝:yoshino at sys.wakayama-u.ac.jp