1 背景と目的
VR は,従来のディスプレイなどとは違い,2 次元の情報だけでなく,相手との距離などの3 次元の情報を伝えられるため,実際にその空間にいる感覚が強いのが特徴である.そのVR の特徴を利用し,人間の能力を再現,拡張する研究がある.人間の五感による知覚の割合が最も大きい視覚に焦点を当てた.今後,VRにおける視覚情報の提示が我々の生活をより豊かにする重要なファクターであると考えられる.
そこで本研究では,複数空間表現システムを開発し,新たなコミュニケーションの形を提案する. 本システムは,VR 技術を利用することで,擬似的にHMD を装着したユーザの視界を分割するように表現した. 分割された視界に異なる複数の空間の映像を投影した. 従来の画面分割による平面情報と異なり,立体的な空間情報を提示する. これにより,ユーザは目の前にある複数の立体的な空間を把握し,同時に関われる環境を実現した.
2 システム構成
図1にシステム構成図(垂直2分割)を示す.
(1)VR 空間内の異なる座標に存在する部屋がある.
それぞれの部屋内にユーザの視点となるカメラが設置されている.
(2)各部屋内にいるカメラのビューポートをカメラの数に応じて,本システムがカメラの描画範囲を制限する.
制限された各カメラビューの映像を描画し,HMD 内に表示する.
(3)各カメラビューの描画範囲が常に制限された状態を維持することにより,
ユーザは自分の視界が擬似的に分割されたように感じる.
そうすることで,ユーザは各カメラビューからそれぞれ異なる空間内の映像を視認することができる.
図1.システム構成図 |
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図2にHMDユーザ側の表示イメージ図を示す.
図2のようにHMD ユーザの視界には,複数の遠隔地(RoomB,RoomC)の映像が並べて表示される.
図2.HMDユーザ側の表示イメージ図 |
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3 デモムービー
参考文献・発表
- 本信 敏学,吉野 孝:視界分割を用いた複数空間におけるコミュニケーション手法の提案,2018年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集,No.2018,pp.1--3(2018).
- 本信 敏学,吉野 孝:CompoundViewer: 視界分割を用いた空間表現手法による複数の3次元的な空間把握の検証,情報処理学会 インタラクション2019,デモ展示 1A-00, pp1--6(2019).
- 本信 敏学,吉野 孝:視界分割による複数の空間表現を用いた身体的インタラクションシステムの提案,マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2019論文集,No.2019,pp.1131--1137(2019).
- 本信 敏学,吉野 孝:複数空間における多空間認知可能システムの提案,2019年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集,No.2019,pp1--3(2019).
連絡先
- 本信 敏学:s206263[at]wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝 :yoshino[at]wakayama-u.ac.jp