1 背景と目的
近年,様々な形態の遠隔会話手法が研究されてきた.その一例として,対話環境を半永続的に維持して行う遠隔会話の研究がなされている.しかし,遠隔地と半永続的にビデオチャットをする場合,プライバシーの問題が発生する.
特に,複数地点間で常時接続する場合,空間同士をそのまま接続しているため,誰が誰と何を話しているかが分かり,個人間の会話をシステム利用者全員が聞くことができるようになっている.
そのため,気軽にインフォーマルな会話をすることができないという問題がある.また,プライバシー保護のため会話中に会話の様子を第三者に表示しないようにしてしまうと,プライバシーを保護した状況下でもアウェアネスが不明確であるため,対話先の状況が分からず,会話を遮っても問題ないと判断することが難しい.
そこで,本研究では,プライバシーを保護した状況下で,各遠隔地点のプライバシーレベルに合った会話状況判別機能を提供することを目的とした.
2 提案手法の概要
本手法では,プライバシーを考慮した状態での会話状況提示手法の1例として,対話内容から抽出した対話のトピックを表す単語を表示することで,プライバシーを保護した状態で情報提示をすることができるかどうかを検証した.
図1.システムイメージ |
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3 システムの構成
図2.システムの構成 |
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表現情報の設定
各遠隔地の対話音声を遠隔地に設置されているマイクで取得する.WebSpeechAPIを利用して,マイクで取得した音声をリアルタイムに文字に変換する(図2(2)).変換された文字を一定間隔でテキストファイルに保存する.保存された文字を一定時間ごとにMeCabを利用して形態素解析を行い,抽出された名詞から会話内容のトピックをLDAを利用して一定間隔(30秒)ごとに推定する(図2(3)).以上の情報を,プライバシーレベルに合わせて提示する.
4 デモムービー
参考文献・発表
- 河島 健司,吉野 孝:プライバシーを考慮した常時遠隔会話のための会話状況判別手法の提案,2019 年度情報処理学会関西支部大会講演論文集,B-04(2019-09).
- 河島 健司,吉野 孝:複数地点間常時遠隔会話のためのプライバシーを考慮した対話状況伝達手法,GN Workshop 2019 論文集,2019巻,pp.33-38(2019-11).
連絡先
- 河島 健司:s206075[at]wakayama-u.ac.jp
- 吉野 孝 :yoshino[at]sys.wakayama-u.ac.jp