吉野研究室(Yoshino Lab.)(コミュニケーションデザイン研究室)|和歌山大学 システム工学部 社会情報学メジャー

学生優秀発表賞:志垣 沙灯子さん(学部4年)

論文名:「隠蔽型防災情報提示システムにおける質問式記憶促進機能の開発」

学会名等:2017年度 情報処理学会関西支部 支部大会

2017年9月26日

  • 論文の概要
    • 日本は自然災害が発生しやすい国土である.災害時に的確かつ迅速に行動するためには, 災害時の情報提供を頼りにするだけでなく,災害時の行動を平常時から想定できるようにしておく必要がある. しかし,国土交通省が平成27年度に行った調査によると,紙媒体の水害ハザードマップの配布は自治体の負担が大きく,配布したとしても捨てられることが多い. また,一般的に人が一度に覚えられるチャンクは7個前後であるが, 田中らの調査によると,ハザードマップには,浸水範囲や避難場所の一覧表,避難時の心得など,おおよそ23項目の情報が記載されており, 情報過多の可能性が挙げられる. そこで,平常時から身の回りにある防災情報を覚えておくことを支援するシステム「クライマップ」を開発した. 「クライマップ」は,利用者が通った周辺にある避難所および避難場所(以降,「避難施設」と表記する)に気づきを与える防災情報提示システムである. 身近にある情報のみを提示することで,情報量が少なくなり,防災情報の記憶促進を図ることができる. 地図上の情報が一部しか見えない状態は「不便」に感じるが,情報量が少なくなり身近にある情報を覚えやすくなる点で「有益」であると考えられる. これは,「不便益」の考えに基づいている. 不便益とは,川上が提唱している,不便の中に楽しみや達成感を見出す活動のことである. 従来の「クライマップ」では,情報ウィンドウを利用して,「避難施設の名称」「避難施設の種別」「土砂災害・浸水・津波浸水予測地域」についての情報(以降,「避難施設情報」と表記する)を提示した. 我々は,クライマップの改善案として,クイズ形式による避難施設情報の提示を提案する. クイズ形式は,記憶や理解の向上に役立つことが東中らの研究で明らかにされている. また,クイズ形式による提示は,ゲーミフィケーション機能の役割を果たし,利用者が楽しみながら防災情報を覚えることができると考える. 本稿では,提案手法であるクイズ形式による情報提示の有用性について確認を行うため,従来の手法である情報ウィンドウによる情報提示との比較実験を行った.
  • 提案手法の概要
  • 提案システムの構成のスライド
  • 発表時の様子
  • 発表時の様子
  • 受賞時の様子
  • 受賞時の様子