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No.12  観光戦略研究会調査・研究報告書

代表研究者 大津正和(和歌山大学経済学部助教授)
2005年3月発行  A4判/60ページ

 観光が地域の活性化に貢献することへの期待は近年高まりを見せている。確かに、大規模な投資や特殊な技術などを投入しなくても、観光は集客が可能に思えるし、地域外からの需要を呼び込めるので経済的な効果も期待できそうである。しかし、あまりに素朴で楽観的な期待ばかりが語られるだけでは、地域は観光に対して安易に対応してしまうかもかも知れないが、そのような姿勢では望ましい結果が得られるとは考えにくい。観光戦略研究会では、それまで学術的な研究対象としてはあまり重視されてこなかった観光そのものと観光を地域にとって望ましい形へと振興していくにはどのような点を考慮しなければならないかについて、経済学分野を中心により広い学術的視野から研究を行った。観光戦略研究会報告書は、このような各種研究成果をまとめたものである。
 報告書では、上述したように、様々な視点からの観光研究の成果が紹介されている。まず、観光統計データを利用した、観光が地域経済へ与える経済効果分析や観光客への意識調査から和歌山での観光にどのようなものが求められているのかといった定量的分析があり、地域にとって観光そのものと観光への取り組みがいかに重要を明らかにしている。また、国内および海外の先進的な事例を紹介し、そこから地域が観光に対して以下に向き合っていくべきかの示唆を得ている。さらに、これらの実証研究から、観光に直接関係する産業のみならず、自治体や、なにより地域住民が観光に対して正しい理解をして、地域が一丸となって地域の魅力を高める取り組みを進めることが観光振興にとって重要であるという提言を行っている。